譲渡担保の目的物を勝手に売却・・・

譲渡担保の目的物を勝手に売却・・・

譲渡担保にとっていた動産を設定者が売却してしまった場合、債権者は無断で担保を処分してしまった設定者に対して、損害賠償請求などできます。

担保物が動産の場合、買主に即時取得される危険があり、債権者としてこれを避ける必要があります。

(即時取得)
民法第192条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

動産譲渡担保の対抗要件は占有ですが、通常債権者に代わって設定者に占有させることが多く、この外観上、買主としては、設定者が真の所有者であると信じてしまい、ここに買主の即時取得の余地が発生するのです。

即時取得には、買主が善意かつ無過失で占有を開始することという要件があります。

そこで、目的物に張り紙やプレートを貼ったり、ロープで囲ったり、立て札を立てるなどして、その動産は債権者のために譲渡担保が設定されていることを掲示しておきます。

これがあるにもかかわらず、買主が譲渡担保の存在を知らないということは困難ですし、少なくとも知らなかったことについて過失が認められますから、即時取得できなくなります。

これらの方法は、倉庫や工場の前に看板を立てるなどすることによって、内容物が変動する集合動産の譲渡担保に効果があります。

設定者の意思に反して、他の債権者が目的物を引揚げてしまった場合、法律上認められる方法以外で強制的に権利を実現する禁止されていますので、他人の物を勝手に持って行ってしまうことは窃盗罪になります。

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質権設定した債権の譲渡・・・

質にとっていた債権が譲渡された場合、対抗要件が問題になります。

確定日付ある通知が第三債務者に到達した先後によって、質権者が優先するのか、あるいは債権の譲受人が優先するのかが決まります。

(指名債権を目的とする質権の対抗要件)
民法第364条 指名債権を質権の目的としたときは、第467条の規定に従い、第三債務者に質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。

質権者の通知の方が先に到達しているのであれば、譲受人は、質に入っている債権を取得したにすぎなくなります。

第三債務者が質権者に無断で譲受人に弁済することはできず、仮に弁済が行なわれたとしても、質権者はこれを無視して、質権を行使することができます。

判例も、第三債務者が、質権設定通知到達後に取得した債権をもって、質入債権と相殺した事案において、第三債務者は通知到達後は質権者の取立権能を害する行為はできなくなりますから、右のような相殺をもって質権者に対抗できないとしています。

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保証人の資力悪化等の規定・・・

債務者が法律上又は契約によって保証人を立てる義務を負う場合には、弁済の資力のある者を保証人を立てなければならないとされています。

(保証人の要件)
民法第450条 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
1.行為能力者であること。
2.弁済をする資力を有すること。
2 保証人が前項第2号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
3 前2項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。

保証人が弁済の資力を欠くにいたった場合には、債権者は債務者に対して資力を有する他の人を保証人に立てるように請求することができます。

また、債務者が資力を有する人を保証人に立てることができない場合には、債権者は債務者の期限の利益を失わせて一括弁済を求めたり、契約を解除することができます。

(期限の利益の喪失)
民法第137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
1.債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2.債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
3.債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

(履行遅滞等による解除権)
民法第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

債務者は、これを避けるためには、他の担保を提供する必要があります。

(他の担保の供与)
民法第451条 債務者は、前条第1項各号に掲げる要件を具備する保証人を立てることができないときは、他の担保を供してこれに代えることができる。

民法では、このように規定されており、債権者としては、債務者に対して、他の資力を有する保証人を立てるか、他の担保の提供を請求し、債務者の態度によっては、解除や損害賠償の請求をすることができるとされていますが、現実は債務者次第になります。

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