私的整理で債権回収・・・

私的整理で債権回収・・・

債務者が倒産した時の手続きには、私的整理と法的整理があります。

私的整理は、裁判所の関与なしに、債権者と債務者が自主的に話し合って、債務者の清算や事業の再建を目指す手続きです。

これに対し、法的整理は、法律に基づき、裁判所の関与・監督の下で債務の再建又は清算を行うものです。

私的整理は、法律で手続きが決まっているわけではなく、様々です。

債権者として、私的整理に参加するかどうかを決める必要があり、先取特権、質権、抵当権などの物的担保権などを実行する、あるいは連帯保証人などの人的担保を通じた方が債権回収しやすい場合には、私的整理に参加する必要はありません。

私的整理を行う際には、債権者集会が行われ、その中で債務者の実態、負債の種類・金額、資産の管理状況などの情報収集ができます。

債権者集会では、債権者委員を決めることになり、適任者に決まったら、正式に委任状を発行し、その人物に資産・負債の調査、資産の管理・処分、配当などを委任することになります。

債権者委員の方針に納得できない場合には、委任状を出す必要はありません。

私的整理の場合には、裁判所が監視・監督してくれるわけではありませんから、自らがこれを行います。

不正などが見つかったときは、債権者委員に報告を求め、場合によっては委任契約を解除し、私的整理から離れて単独行動を取ることも必要です。

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民事再生の債権回収・・・

民事再生は、債務者が事業又は経済生活の継続を希望し、債権者としても、清算よりも事業継続などより清算したほうがよい場合になされます。

債務者又は債権者が手続開始の申立を行い、これを受けた裁判所は、申立の原因があり、これを受けた裁判所は、申立の原因があり、申立棄却事由がないときは、再生手続開始の決定をします。

その後、債権調査と財産の調査が行われ、債務者は、再生計画を作成、提出します。

債権者集会ないし書面による決議を経て、不認可事由がなければ再生計画案が認可されます。

その後の業務執行は債務者自身が行なうのを原則としますが、一定の場合には、再建計画の認可後も管財人や監督委員が履行の監督を行います。

民事再生では、強制執行などの手続きの中止命令、全ての債権者に強制執行を禁じる包括的禁止命令、担保権の実行としての競売の手続きを一時的に中止する命令などが定められています。

再生手続きが開始されたら、債権者としては、債権届出を提出し、債権調査の結果、再生債権者表に記載されると、確定判決と同一の効力が認められます。

相殺については、再生手続き開始時に債権債務の対立があり、かつ、再生債権届出期間の満了前に相殺適状が生じたときのみ、その期間内に限り、相殺できることになっていますので、早めに相殺の意思表示をしなければなりません。

民事再生法では、できるだけ事業継続を可能とするため、債権者が債務者の財産に担保権を有していても、それが事業継続に不可欠なときは、債務者が当該財産の価額に相当する金銭を裁判所に納付して、財産上にある全ての担保権を消滅させることができるとされています。

債権者としては、その財産が事業継続に不可欠でないと判断したときは即時抗告を、申出額に不満があるときは価額決定請求をすることができます。

再生計画案は、例えば、債権額の15%から30%を10年以内に弁済するといった内容であり、債権者はそれについて賛否の意思を決めることになります。

再生計画案は債権者集会に出席したものの過半数であって、議決権者の議決権の総額の2分の1以上に当たる者の賛成により可決されます。

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破産手続と債権回収・・・

破産は、破産法に従って行われる清算型の倒産手続きをいいます。

破産事件の申立があり、債務者が支払不能又は債務超過の状態にあることが判明すると裁判所が破産宣告を行い、破産管財人を選任します。

その後、裁判所の監督を受けながら、破産管財人が中心となって債権調査を行い、破産宣告時に債務者が所有していた財産を強制的に換価・処分した上で、公正かつ平等に債権者に配当します。

破産手続は、裁判所の監督の下、中立的な破産管財人によって、厳格な手続きに従い進められますから、公正さが損なわれることはないのですが、時間と費用がかかり過ぎたり、配当率が低い傾向があります。

破産管財人が抵当権者らに対し、抵当目的物などを任意売却するので、抵当権設定登記の抹消登記手続に応じるよう持ちかけることがあります。

このような場合には、任意売却による回収と競売手続きによる回収とを比較することが必要です。

主たる債務者が破産しても、保証人の責任には影響はないので、債権者は保証人への責任追及ができます。

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