即決和解で引渡しの強制執行・・・
即決和解とは、和解を成立させることを目的として、裁判所に和解の仲介をしてもらう手続です。
当事者が話し合いで紛争を解決することを希望している場合に、裁判所に仲介してもらう手続きです。
現実には、訴訟外での話し合いがまとまった結果を裁判所に持ち込み、万一合意内容に違反があった場合には強制執行できるようにしておく手続なのです。
相手方の住所・事務所・営業所の所在地を管轄する簡易裁判所に対して申し立てるのが原則ですが、現実には、双方の合意により、任意の簡易裁判所に申し立てることができます。
申立てがなされると、期日に双方の当事者又は代理人が出席し、争いの有無・内容、和解の可能性を裁判官が確認し、間違いがなければその和解内容を調書に記載します。
この和解調書は確定判決を得たのと同じ効力がありますので、相手方が和解内容に違反した場合には、改めて判決を得ることなく、この和解調書に執行文を付与してもらい、強制執行することができます。
即決和解は不動産とか機械類の引渡しの合意をしたいような場合に利用されます。
和解調書の和解内容は、支払うべき金額・給付すべき数量が一義的に読み取れることが必要で、あいまいな記載では、強制執行ができないので、注意が必要です。
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示談交渉で債権回収・・・
示談とは、当事者双方が互いに譲歩しあうなどして、当事者の合意によって事件を解決する方法で、特に決まった方法というのはありません。
示談によって債権回収できるのであれば、費用や時間や労力の点で効率的です。
特に法律的な争いがないような場合には、債務者の支払い能力をみながら現実的な支払い方法を検討し、示談交渉によって解決することが効率的です。
また、既に債権の消滅時効期間が経過しているような場合、消滅時効が完成していても、債務者が債務を承認したり、支払猶予を求めてきたりした場合には、債務者が消滅時効を主張して支払を拒むことができなくなりますので、債務者が時効の主張をする前に、示談交渉によってこれらを引き出すことができます。
また、将来の全額回収よりも一部でも現時点で回収することは、債権回収の鉄則になります。
これも示談交渉で行い、必要に応じては債務の一部免除をなどの譲歩を示し、これと引換に弁済を受けることを検討する必要があります。
全額回収にこだわるあまりに、結局何も回収できなくなってしまう可能性もあるからです。
示談交渉の結果、合意ができた場合には、その合意内容は必ず書面にしておくべきで、書面にすることにより、合意内容が明確になり、後日の紛争を防ぐことができます。
できれば、相手方が合意内容に違反した場合に備えて、公正証書や即決和解にしておき、強制執行できるようにしておきます。
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保全処分仮差押で和解・・・
裁判で判決を得て強制執行するまでに時間がかかりますが、債務者が自分の資産を処分するのは自由ですので、判決が下るまでの間に、債務者が財産を処分・費消するなどしてしまい、強制執行とする資産がなくなってしまうこともあります。
そこで、訴訟に先立ち、債務者がその資産などを処分してしまうことを防止するための手続きとして保全処分があります。
保全処分とは、仮差押や仮処分をいいます。
債権者は一定の保証金を積む代わりに、簡易迅速に保全命令を得ることができます。
例えば、銀行による抵当権が評価額一杯に設定されているような場合、この不動産の仮差押をしても意味がありませんが、当該不動産の売却が予定されているような場合には、仮差押を受けることによって不動産の売却がストップするため、債務者が示談に応じてくる可能性も出てきます。
保全処分を行うに当たっては、保証金を預けますが、この保証金は本案訴訟で勝訴するか、相手方の同意がないと取り戻せません。
相手方が示談をしないような場合には、勝訴判決を取らなければならなくなります。
保全処分の申立ては、本案訴訟を管轄する裁判所か、仮差押対象物・係争物の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます。
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