債務引受の性質・・・
債務引受とは、債務の同一性を変えることなく契約によって債務を移転し、債務者が変わることをいいます。
債務引受の当事者には、債権者、旧債務者、新債務者がいます。
債務引受契約を結ぶには、誰と誰が結ぶのかについて、債権者と新債務者、旧債務者と新債務者で結ぶことができます。
債権者と新債務者で結んだ場合には、旧債務者の意思に反してはならないとされています。
旧債務者と新債務者が結ぶ場合には、債権者の承諾が必要とされています。
債務引受によって、債務はそのまま同一性を保持して新債務者に移転することになり、旧債務は債務を免れる債務引受を免責的債務引受といいます。
旧債務者も債務から免れることなく、依然として債務を負担し、債務引受人が新たにこれと同一の債務を重ねて負担する債務引受を重畳(ちょうじょう)的債務引受といいます。
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免責的債務引受契約書書式・・・
債務引受契約書
債権者山田太郎を甲、債務者田中五郎を乙、債務引受人斉藤一郎を丙とし、甲乙丙は本日次のとおり債務引受契約を締結する。
第1条 乙は、甲に対し平成**年**月**日より平成**年**月**日までの間に、甲から買い受けた**の代金合計金***円のうち、金***円については未払のまま、現在その債務を負担していることを確認し、丙は本日乙の甲に対する債務を免責的に引き受けることを約し、甲はこれを承諾した。
二 甲と丙は、乙が前項の債務を免れたことを認める。
第2条 丙は、甲に対し自らが引き受けた前条の債務を次のとおり支払う。
(1)平成**年**月末日限り 金***円
(2)平成**年**月末日限り 残金全額
第3条 丙が次の各号に一つに当てはまる場合は、丙は期限の利益を失い、甲に対し直ちに前項の金員の残金全額及び期限の利益を喪失した日の翌日から支払済みに至るまで年**%の割合による遅延損害金を支払わなければならない。
(1)他の債務につき仮差押、仮処分、又は強制執行を受けたとき
(2)他の債務につき競売、破産又は和議の申立を受けたとき
上記契約の成立を証するため本書3通を作成し、署名押印の上各1通を保持する。
平成**年**月**日
(甲)東京都********
山田太郎 印
(乙)東京都********
田中五郎 印
(丙)東京都********
斉藤一郎 印
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担保物権の性質・・・
担保物権には次の性質があります。
①附従性
担保物権という権利は、債権者の有する被担保債権を担保することを目的としており、担保すべき被担保債権が発生しなければ担保物権も発生しないし、また、被担保債権が消滅してしまえば担保物権も消滅します。
②随伴性
被担保債権が他に譲渡されたりして移転するときは、原則として担保物権もこれに伴って移転します。
③不可分性
債権者はその有している債権の全部について弁済を受けるまでは、担保物についてその権利を行使することができます。
(留置権の不可分性)
民法第296条 留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。
債務者は債務の一部を弁済したからといって、それに見合う部分の担保物権の消滅を主張できるものではないとされます。
④物上代位性
担保物権は担保物が他に売却されたり、賃貸されたり、焼失したり、売買代金に代わったりして、保険金や損害賠償請求権が発生した場合には、これらの代金や損害賠償請求権の上に効力を及ぼすものとされます。
(物上代位)
民法第304条 先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2 債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。
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