代理受領とは・・・
代理受領とは、債権者が債務者の第三者に対して有する債権について、債務者から受領権限の授与を受けて、第三者からその弁済を受けて、これを債務者の債権者に対して負担する債務の弁済に充てることをいいます。
その方法として、債務者が債権者に対して、第三者から代金を受領する権限を与えるという趣旨の委任状を交付してする方法や、債権者、債務者、第三債務者の当事者間の契約によって、債権者に債務者の第三債務者に対する債権について弁済を受ける権限を与え、これを第三債務者も承諾する、というような方法があります。
代理受領というのは、債権者が債務者に代わって弁済を受領し、それを債務者に対する債権の回収に充ててしまう担保方法なわけです。
債権者が債務者に対する手形金債権を担保する目的で債務者が第三債務者に対して有する請負代金債権の代理受領を債権者に委任したのですが、第三債務者が債権者の代理受領権を承認していながら請負代金を直接債務者に支払ったような場合には、判例は次のようにしています。
第三債務者が請負代金を債務者に支払ったため、債権者が手形債権の満足を受けられなくなったときは、第三債務者の承認は単に代理受領を承認するというにとどまらず、代理受領によって得られる債権者の利益を承認し、正当の理由がなくその利益を侵害しないという趣旨をも当然含んでいるものと解すべきであるから、第三債務者は、受任者たる債権者に対し、過去による不法行為責任を負う、としています。
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所有権留保とは・・・
割賦販売では、商品について所有権留保販売という形がとられます。
一般に商品の売買では、買主側がその代金の一部しか支払ってなくても、売買契約が結ばれ、売主から買主に商品が引き渡されると、買主が買い受けた物は特定され、その商品の所有権は買主に移転する事になります。
商品の所有権は買主に移転したのだから、買主の債権者はこれに対して執行も出来ることになりますし、買主はこれを他に売却することも、質に入れることできるようになります。
これだと売主としては、大変な不安材料が生まれます。
そこで、売買契約を結ぶ時に、売主・買主間で所有権留保の特約を結ぶ事が考えられたわけです。
商品は一応売られたましたが、買主がその代金を完済するまで、商品の所有権は売主に留保しておくことにします。
代金が全部支払われて、はじめて買主に商品の所有権が移転するという特約を結ぶわけです。
これを所有権留保の特約といいます。
買主に商品が引き渡され、それを事実上、買主が使用していても、買主が代金を完済しないうちは、その所有権は売主が持っていますから、買主の債権者によって商品を差し押さえられる事もありません。
売主は商品に対する自己の所有権を主張すればよいことになります。
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契約書の必要性とは・・・
取引に際しては、まず契約書が作られます。
契約書が取り交わされる事によって、相手方に契約どおりに、義務を履行させることができますし、相手方が義務を果たそうとしない場合には、その契約書によって契約内容を立証して、相手方に義務の履行や損害賠償の請求を裁判所から命じてもらうこともできます。
契約書を作る際には、詳細な取引内容を定め、担保や保証の条項、契約を履行しなかった場合の損害賠償、商品の引上げ条項等まで定めているものを作るべきです。
契約の際に債務者に対して、うるさくすることも債務者に対する教育になります。
債権者の債権とそれを保全する担保や保証も、契約書によって明確、強力になります。
契約については、それを作成、調印する際に、また事情の変更に応じて契約内容に変更がある場合にも、できるだけ詳しい契約書やその変更の合意を証する書面を作る必要があります。
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担保物の対抗要件とは・・・
担保設定者から担保物をとり、担保権を取得したときは、必ず対抗要件を備える必要があります。
債権者は、担保物から他の債権者など第三者に優先して被担保債権の弁済を受けようと考えて担保物を取得するわけですから、第三者に対抗できないままの担保権では意味がありません。
担保権の対抗要件は次になります。
①抵当権
不動産や登記船舶・登録自動車、工場財団などの目的物について、抵当権設定の登記や登録をすることが対抗要件になります。
②質権
目的物が不動産質のときは質権設定登記、動産質では質物の占有、権利質ではその権利の種類により、証書の継続占有とか債務者への通知又は承諾が対抗要件になります。
③不動産の先取特権
第三者に対抗するだけでなく、当事者間で先取特権の効力を保存するためにも一定の時期に登記することが要求されています。
④譲渡担保
目的物が不動産のときは所有権移転登記、目的物が動産のときは引渡がそれぞれ対抗要件となります。
⑤不動産についての代物弁済の予約
所有権移転請求権保全の仮登記が対抗要件として必要です。
担保物の変動とは・・・
担保を取る際に、十分に調査し、対抗要件も備え、取得した担保を完全に把握したとしても、債権者は担保についての変動に注意をしなければなりません。
建物を担保にとっている場合、それが焼失してしまったり、担保に取っていた土地が収用されてしまったりする可能性もあります。
建物が焼失して火災保険金に代わったような場合でも、建物に設定されていた抵当権には物上代位性がありますから、抵当権は火災保険金請求権におよぶことになります。
抵当権が設定されている土地が収用された場合の補償金についても、抵当権はその目的物の収用によって債務者が受けるべき補償金に対して行うことが可能となります。
ただし、抵当権者は、その引渡前に差し押さえる事が必要になります。
担保物に変動があり、価値が落ちてきたような場合、担保を追加してもらう事も必要になってきます。
これを追加担保、増担保といいます。