土地売買契約の残金回収の先取特権・・・

土地売買契約の残金回収の先取特権・・・

所有権移転登記までに代金が完済されず、売主の買主に対する債権として残ってしまうような場合には、残代金確保を講じなければなりません。

考えられるのは抵当権設定登記ですが、売買による所有権移転登記と抵当権設定登記は同時に申請はできません。

この場合には、不動産の先取特権を行使することになります。

(不動産売買の先取特権の登記)
民法第340条 不動産の売買の先取特権の効力を保存するためには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければならない。

不動産売買の先取特権は、売買契約と同時に登記しなければなりませんので、売買による所有権移転登記申請と、先取特権の保存の登記申請は同時になされます。

ですので、この両者の登記申請の間に、他から差押、仮差押、仮処分の登記が入ることはないのです。

この時期を逃してしまうと、不動産売買の先取特権の保存登記をする機会をなくしてしまいます。

ちなみに、一般の住宅ローンの場合は、売主である建売業者、マンション分譲業者は、買主が獲得した借入金で代金の全額の決済を受けます。

代りに金融機関が買主に対する貸付金につき売買物件に抵当権を設定しますので、売主の業者が先取特権の保存はできないのです。

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先取特権付土地売買契約書雛形・・・

先取特権付土地売買契約書

第1条 株式会社山田工業(以下「甲」という。)は田中五郎(以下「乙」という。)に対し、後記表示の土地を更地として、総額金***円にて売渡し、乙はこれを買い受ける。

第2条 代金の支払方法、所有権移転登記、引渡等は次のとおりとする。
(1)本日内金として金**円。
(2)平成**年*月**日までに、乙は甲に金**円を後記土地の所有権移転登記申請並びに引渡と引換えに支払う。
(3)所有権移転登記申請の日から2年以内に残代金**円を甲に支払う。

第3条 乙は甲に対し、乙が後記土地の所有権移転登記を受けるのと同時に、前条(3)の後記土地の残代金**円につき甲のために不動産売買の先取特権保存の登記申請をなすものとする。
二 所有権移転登記、前項の先取特権の保存登記に要する登録免許税、登記申請手続費用はいずれも乙の負担とする。

第4条 甲は乙に対し、第2条(2)の中間金**円を受領するのと引換えに、後記土地の所有権移転登記手続及び引換えをなし、かつ所有権を乙に移転する。
後記土地公簿面に基づき、かつ境界については現況のまま乙に売渡し引き渡すものとし、実測によって過不足があっても互いに何ら代金額の増減を請求しないものとする。

第5条 乙は甲に対し第2条(3)の残代金**円につき、後記土地の所有権移転登記申請の日から完済までの間、年**%の割合による利息を付するものとし、毎月末に限り当月分を甲に持参又は送金して支払う。

第6条 乙が甲に対し、前条の利息の支払を2回以上怠ったときは、甲は乙に対し催告の上残代金についての期限の利益を失わしめ、後記土地の競売を申し立てることができる。

上記のとおり本契約が成立したので本証書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。

平成**年**月**日

売主(甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 印

買主(乙)東京都*******
田中五郎 印

(不動産の表示)
所在   **区**町**町目
地番   **番**
地目   宅地
地積   公簿上 **、**平方メートル
実測  **、**平方メートル

先取特権付土地売買契約書雛形WORD

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売買予約の契約とは・・・

法律上の売買の予約というのは、予約の完結権を相手方に与える契約で、この予約完結権をもつ当事者は相手方たる当事者に対して、ある一定の期間内に売買を完結するという意思を伝えることによって、売買契約の効力が発生するものをいいます。

例えば、借地人に対して地主が貸地を買ってくれと申し入れたのに対し、借地人は、「お金ができた場合には、**年以内に時価で買いますが、お金ができないときは借地のままにしておいてほしい」などの場合には、予約契約が成立したものとみることができます。

この場合、借地人が資金ができた時点で借地人が買う旨を伝えることになりますから、借地人に売買予約の完結権があることになるのです。

完結の時点で新たに契約を締結する必要はないのです。

(売買の一方の予約)
民法第556条 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。
2 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。

通常は、売買予約の仮登記という形で行われ、売買の予約というより担保のためになされます。

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土地売買予約契約書雛形・・・

土地売買予約契約書

第1条 株式会社山田工業(以下「甲」という。)は田中五郎(以下「乙」という。)に対し、後記表示の土地を売り渡すことを予約し、乙はこれを本契約締結後5年以内に買い受けることを予約した。

第2条 本契約の売買予約完結権は乙が有するものとし、甲は完結権を有しない。

第3条 売買代金額は、乙が予約完結権を行使した時点における後記土地の更地価格(時価)の35%とし、乙は甲に対し予約完結の意思表示を発した日から30日以内に上記金額を後記土地の所有権移転登記申請と引換えに支払うものとする。

第4条 甲は乙に対し、乙より売買予約完結の意思表示を受領したときは、同通知発送の日から30日以内に前条記載の代金受領と引換えに後記土地につき担保権等の負担を抹消したのち所有権移転登記申請をするものとする。

第5条 売買代金額算定の基礎となる更地価格について、甲乙間の合意が成立しないときは、****不動産の鑑定価格とする。

第6条 乙が本契約締結の日から5年以内に第2条の予約完結権を行使しないときは、乙は本契約上の権利を失う。

第7条 乙が予約完結権行使前に、金**円を甲に保証金として預託したときは、甲は乙に対し後記土地につき乙のために売買予約の仮登記申請をなすものとする。

第8条 本予約契約書作成費用、仮登記並びに所有権移転登記に要する登録免許税、登記手続費用は乙の負担とし、第5条の鑑定費用は半額ずつ甲乙において負担する。

上記のとおり本契約が成立したので本証書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。

平成**年**月**日

土地所有者(甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 印

借地権者 (乙)東京都*******
田中五郎 印

(不動産の表示)
所在   **区**町**町目
地番   **番**
地目   宅地
地積   公簿上 **、**平方メートル
実測  **、**平方メートル

土地売買予約契約書雛形WORD