非定期の建物賃貸借契約の注意・・・
建物の賃貸借契約は、土地の賃借と同様、借地借家法によって規制されており、一旦貸した以上、簡単に明け渡しを求めることはできません。
建物の賃貸借は、賃貸人の自己使用の必要性その他正当の事由がなければ解約の申込又は期間の更新の拒絶ができないことになっています。
(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
借地借家法第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
一度貸した建物の明渡しは、賃借人の契約違反である賃料不払いや無断転貸しなどの場合以外は困難であるとされています。
建物賃貸借契約の期間は、2年や3年が多く、1年未満と約定しても、それは期間の定めのないものとされます。
ただし、書面で契約する場合に限って、賃貸期間満了のときに更新のない借家契約を締結することが認められ、この場合の契約期間は、1年未満でも20年を超えてもよいとされます。
(定期建物賃貸借)
借地借家法第38条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4 第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5 第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6 前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7 第32条の規定は、第1項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。
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非定期の建物賃貸借契約書雛形・・・
建物賃貸借契約書
第1条 山田太郎(以下「甲」という。)は田中五郎(以下「乙」という。)に対し、後記表示の建物を次の目的及び条件にて賃貸し、乙はこれを借り受ける。
(1)目的 店舗並びに住居
(2)期間 3年
(3)賃料 月額金**円
(4)支払期 毎月20日限り翌月分を持参払い
(5)敷金 賃料の6ヵ月相当額(賃料改定のあった場合は差額を積みますこと)
第2条 乙は甲の書面による承諾なくして次の行為をしてはならない。
(1)建物の模様替え、造作の変更
(2)建物の転貸し、もしくは借家権の譲渡、家族以外の者の同居
(3)建物を住居及び店舗以外に使用すること
第3条 乙が前条の約定に違反したときは、甲は催告を要せず本契約を解除することができるものとし、乙が賃料の支払を遅滞したときは催告の上契約を解除することができる。
第4条 後記建物の構造部分及び外壁についての修繕は甲において行い、内部の小修繕、建具類の補修は乙がその費用を負担して行う。
第5条 乙が甲に対し後記建物を明渡す時は、この費用において造作部分をとりはずし、建物を原状に復して返還するものとする。
第6条 本契約の期間満了1ヶ月前までに乙が賃料の2ヵ月分相当額を支払った時は、甲は本契約の更新を拒絶できない。
第7条 本契約の賃料が公租公課の増加により、又は土地建物の価格の上昇により、又は近隣の建物の賃料に比較して不相当になったときは、期間内であっても、甲は乙に対し増額を請求することができる。
第8条 連帯保証人斉藤一郎は本契約上の乙の債務(解除後の損害賠償債務を含む)につき乙と連帯して保証し、支払の責を負う。
上記のとおり本契約が成立したので本証書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。
平成**年**月**日
貸主(甲)東京都*******
山田太郎 印
借主(乙)東京都*******
田中五郎 印
連帯保証人 東京都*******
斉藤一郎 印
(建物の表示)
略
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建物一時賃貸借契約の注意・・・
建物を通常の方法で賃貸すると、賃貸期間が満了しても借地借家法によりほとんど明渡しを求めることができません。
しかし、一時使用のために賃貸したことが明らかな場合や定期賃貸借の場合には、期間満了になれば明け渡しを請求することができます。
例えば、区画整理による建物移築のため、臨時に店舗を借りるため、建築期間中の仮住居のための住み家の貸借、建築又は土木工事の飯場のための寄宿舎などの賃貸が考えられます。
これは借主側に臨時の必要性が存在する場合なのです。
貸主側の事情での一時使用の賃貸借は借地借家法の適用を免れないので、貸主の事情の場合には、更新のない定期賃貸借契約とする方法があります。
(定期建物賃貸借)
借地借家法第38条 期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第30条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。この場合には、第29条第1項の規定を適用しない。
2 前項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
3 建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
4 第1項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対しその旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。
5 第1項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る。)において、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。
6 前2項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
7 第32条の規定は、第1項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。
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建物一時貸借契約書雛形・・・
建物一時貸借契約書
第1条 山田太郎(以下「甲」という。)は後記表示の建物を臨時に田中五郎(以下「乙」という。)に賃貸するものとし、乙は乙の都合による一時使用のため甲より賃貸する。
第2条 乙は後記建物を乙の営業する****小売業のために使用するものとし、賃貸期間は本契約締結の日から、乙の所有店舗(**所在、家屋番号**番の建物)が区画整理により乙の仮換地上に移築され、担保として造作工事が完了し、開店営業が可能となる時までとする。但し、いかなる事由があっても満10ヶ月を超えることはできない。
第3条 乙は甲に対し、本契約の保証金として、金**円を本契約締結と同時に差入れる。
二 前項の保証金には利息を付さず、乙が後記建物を前条の期間内に原状に復して甲に明渡した後直ちに乙に返還する。
第4条 賃料は月額金**円とし、当月分を前月末日までに乙より甲に持参して支払う。
二 乙が第2条本文により仮換地上において営業を再開した後もなお後記建物の明渡しを完了しないとき、あるいは本契約締結後10ヶ月の期間経過後も明け渡しを完了しないときは、乙は甲に対し1日につき金**円の遅延損害金を支払う。
第5条 乙は下記の行為をしてはならない。
(1)後記建物の転貸、占有又は占有名義の第三者への移転
(2)入居の際の造作模様替を除く一切の造作模様替工事又は建物の原状の変更
第6条 乙が本契約を違反し、あるいは賃料の支払を2回分以上遅滞したときは、甲は乙に対し催告を要せず本契約を解除し、直ちに後記建物の明渡しを請求することができる。
第7条 乙は明渡に際し明渡料、造作買取などを請求することができない。
上記のとおり本契約が成立したので本証書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。
平成**年**月**日
貸主(甲)東京都*******
山田太郎 印
借主(乙)東京都*******
田中五郎 印
(建物の表示)
略