根抵当権譲渡契約の注意・・・
根抵当権は、譲渡人と譲渡人の間の契約で根抵当権設定者の承諾を得た上で譲渡することができます。
(根抵当権の譲渡)
民法第398条の12 元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
2 根抵当権者は、その根抵当権を2個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。
3 前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。
これは根抵当権だけの譲渡であって、これにより担保されている債権は譲渡されません。
根抵当権の譲渡には債務者の承諾は必要としませんが、後々のトラブルを防ぐため、債務者及び連帯保証人の承諾も取り付けておきます。
根抵当権は全部でも、また一部であっても譲渡することができます。
根抵当権の一部を譲渡した場合には、残った根抵当権は極度額が減少しただけでそのまま残ることになります。
根抵当権の譲渡については、根抵当権が確定する前でなければ、譲渡はできません。
根抵当権が確定した場合は、一般の抵当権と同じになりますから、債権と同時にでなければ譲渡できません。
確定後の譲渡は、確定の登記をした後、被担保債権の譲渡によって、これと同時に行います。
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根抵当権譲渡契約書雛形・・・
根抵当権譲渡契約書
根抵当権譲受人(甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎
根抵当権譲渡人(乙)東京都*******
田中商会株式会社
代表取締役 田中五郎
根抵当権設定者(丙)東京都*******
株式会社斉藤実業
代表取締役 斉藤一郎
債務者(丁)東京都*******
高橋製造株式会社
代表取締役 高橋二郎
第1条 乙は甲に対し、平成**年**月**日付根抵当権設定契約により後記物件に対し設定され、平成**年**月**日**法務局**出張所受付第**号をもって登記済の極度額金**円の根抵当権を全部譲渡した。
第2条 乙は甲に対し、直ちに後記物件に対する前条の根抵当権譲渡の登記手続を乙の費用において申請するものとする。
第3条 丙は甲に対し、第1条の根抵当権譲渡を承諾すると共に、同根抵当権の被担保債権の範囲を次のとおり変更することを約定した。
変更前 ①銀行取引に基づく債権
②乙が第三者より取得する手形又は小切手の債権
変更後 ①商品売買取引に基づく債権
②金銭消費貸借取引に基づく債権
第4条 債務者丁は本契約の条項につき、何ら異議なく承諾した。
上記のとおり本契約が成立したので本証書4通を作成し、甲乙丙丁各1通を保有する。
平成**年**月**日
根抵当権者(甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 印
債務者(乙)東京都*******
田中商会株式会社
代表取締役 田中五郎 印
根抵当権設定者(丙)東京都*******
株式会社斉藤実業
代表取締役 斉藤一郎 印
根抵当権設定者(丁)東京都*******
高橋製造株式会社
代表取締役 高橋二郎
不動産の表示
略
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譲渡担保設定契約の注意・・・
動産に担保権を設定する場合には一般に質権の設定という形を取りますが、質権の場合は、質物の動産を債権者が預かってしまうので、債務者はこれを使用することができません。
機械などの設備は債務者等において日常使用し、これによって収益を生み出し、債務の利息・元本の支払の原資を生み出すものです。
債権者が担保の目的となった動産の占有を取得せず、債務者等の手許においたまま、担保権を確保しようとするのが譲渡担保です。
譲渡担保権そのものは民法に規定がありませんので、契約で詳細を決める必要があります。
要件としては、担保の目的となった動産の所有権を債権者に移すこと、所有権移転の対抗要件としての引渡しをした上、改めて債務者らの担保提供者が債権者から借用してこれを使用すること、債務の支払がなされないときは、債権者が現実に担保の動産を占有を取得して、任意売却などの方法で換価し、代金を債務の支払にあてる、というものです。
債権者が担保物権の所有権を取得しますが、実際にはこれを直接支配できないので、当該物件が債権者の所有物であることを公示する方法を担保提供者にとらせる必要があります。
この契約は公正証書にしておくことが、他の債権者に対抗するためには必要で、これによって、強制執行ができます。
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譲渡担保設定契約書雛形・・・
譲渡担保設定契約書
第1条 株式会社山田工業(以下「甲」という。)は田中商会株式会社(以下「乙」という。)に対し、平成**年**月**日付金銭消費貸借契約に基づき、本日現在金**円の元本債務(利息**%毎月末日払い、元本は平成**年**月以降毎月金**円ずつ20回払いにて分割返済の約束)を負担していることを確認する。
第2条 乙は甲に対し前条の債務担保のため、乙所有に係る別紙担保目録記載の機械器具(以下「本物件」という。)の所有権を甲に譲渡し、占有改定の方法により本日同物件の引渡しを完了した。
第3条 甲は乙に本物件を無償で貸与し、乙がその用法に従い使用することを認める。
第4条 前条の使用に際して乙は本物件の修繕費を負担し、その維持補修を完全に行い、本物件の価値を減損せしめるような行為をしない。
第5条 下記の事由が発生したときは、本物件の使用貸借契約は通知催告を要せず解除され、乙は本物件を返還する。
(1)乙が第1条の債務につき分割金の返済あるいは利息の支払を1回でも怠ったとき
(2)乙につき手形不渡りの事実があったとき
(3)乙につき破産、会社更生、民事再生などの申立のあったとき
(4)第三者から仮差押、仮処分、強制執行などの手続がなされたとき
(5)その他本契約に反する事実のあるとき
第6条 乙は、本物件につき、常時これが甲所有物件であることを公示する表示を設置しておく。
第7条 本物件の使用貸借契約が解除されたときは、甲は乙より本物件の引渡しを受け、これを任意の方法により売却処分し、その代金をもって乙に対する第1条の債権に充当することができる。不足額はさらに乙に請求することができる。
第8条 乙が第1条の債務を完済した場合は、甲は乙に対し本物件の所有権を移転する。
上記のとおり本契約が成立したので本証書2通を作成し、甲乙各1通を保有する。
平成**年**月**日
債権者(甲)東京都*******
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 印
債務者兼設定者(乙)東京都*******
田中商会株式会社
代表取締役 田中五郎 印