協議事項を定める条項・・・

協議事項を定める条項・・・

「乙(買主)は甲(売主)に対し、本機械が本格的に稼動した後30日以内に代金を支払う」

この条項では、甲は乙に対して代金をなかなか請求できないことになり、この条項であいまいな表現は「本格的に稼動」という表現です。

買主は機械をガンガン稼動させて、仕事をしておきながら、未だ「試運転中」などといい、代金の支払を延ばし、まだ履行期が来ていないと主張するかもしれません。

このような場合には、「乙(買主)は甲(売主)に対し、本機械の受領後60日以内に代金全額を支払うものとする。但し甲の責に帰することが明らかな理由により、本機械の稼動が遅延したときは、乙は甲に対し代金の支払の延期を求めることができる」などと規定します。

また、「乙(買主)において本件土地にマンションを建築するに際し、周辺住民の反対によりマンション建設が遅延し、あるいは建設困難と認められるときは、甲乙協議の上、残代金の支払期を定める」

このような条項は、住民の反対の程度、建設困難の認定、協議という法律上明確でない要件を定めているので、残代金の回収をしにくくしています。

債権の発生、履行期については、条件にかからせないことと、協議事項にしないことが重要です。

どうしても協議にしなければならないような場合には、協議が成立しなかった場合にどうするかを明確にしておく必要があります。

「前項の協議が成立しなかったときは、乙(買主)は甲(売主)に対し、土地代金残額を第*条に約定に従い直ちに支払わなければならない」などと規定します。

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契約を無効とする条項・・・

契約書の中に絶対に入れてはならない条項は、契約全体を無効にする条項で、公序良俗に違反する条項です。

公序良俗違反のほかに、次のような条項は入れてはいけません。

①前後矛盾して、全体の意味が不明になるような条項

甲会社は乙会社に対し、技術援助を行うために技術援助契約を締結し、技術使用料を受け取ることになりました。

しかし、技術指導が先行するのに、甲への製造設備の購入を強制して契約成立の条件としました。

「乙は甲より**製造設備を購入する義務を負う。乙が甲より**の製造設備の購入をしなかった場合は、本契約は遡って無効となる」

技術指導が先行しているのに、遡って契約が無効になれば、甲は技術指導料を取得できなくなります。

技術指導が先行している場合は、契約を無効とせずに、単に製造設備を購入する義務不履行に対し損害賠償を請求することができるという条項にすべきだったのです。

②錯誤を理由に無効とされるおそれのある条項

市街化調整区域の土地を売るのに、いかにも住宅用地として売るような条項を入れることによって、契約全体が錯誤によって無効とされてしまいます。

③債権者又は債務者の恣意によって重大な要件が決まる条項

「甲(債権者)は乙(債務者)に対し、本日現在の債務金**円の支払を猶予し、乙は会社再建に励み、乙において余裕をもって前記債務支払が可能と判断した場合は、右債務元本を直ちに弁済するものとする」

この条項は、乙(債務者)が余裕をもって前記債務支払が可能と判断しない限り、いつまでたっても債務の履行期が到来しないことになります。

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契約の解約と解除の違い・・・

解約というのは、解除と混同されて使われる場合があり、解約も解除も、契約の当事者の一方が相手方に対し、意思表示で契約の効力を失わせることは同じです。

解約は、賃貸借、使用貸借、雇用、委任など、継続的な契約関係を将来に向かって効力を失わせ、消滅させる場合をいいます。

借地借家法27条では、「建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合」と規定しています。

民法620条は、「賃貸借の解除をした場合」というように、解約の代わりに解除を使用しています。

解除は、契約当事者の一方の意思表示で、契約を初めからなかった状態まで失わせることです。

例えば、不動産の売買契約が解除された場合は、手付金を返還し、もしくは倍返しを、何も無かった状態に戻します。

逆に、建物の賃貸借の場合は、過去に遡ることはなく、過去の期間は、既に契約が履行されてしまっていて、何も無かった状態には戻せないのです。

将来に向かって契約の効力を一方の当事者が意思表示によって失わせる場合を、告知といいます。

解約又は解除が、一方の意思表示だけで、契約の効力を失わせ消滅させるの対し、当事者双方が話し合って、契約を失効させることを、合意解約、合意解除といいます。

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