保証人や担保を立てさせる条項・・・

保証人や担保を立てさせる条項・・・

支払い能力のある保証人があることは、債権回収において絶対に必要なことです。

しかし、保証人は第三者ですから、その保証を取り付けるのは簡単ではなく、保証を取り付けるのに日時、手続等を要することがあります。

そこで、契約時に保証人の保証が間に合わないときは、「乙(債務者)はその叔父山田太郎を、本契約上の乙の債務を連帯保証し、乙と連帯して支払をなす旨の保証を立てる義務を負い、本契約後直ちに保証人の保証書を甲に差入れるものとする」などと規定します。

不動産担保では、債権者本人の所有不動産の場合は直ちに抵当権の設定登記をするのですが、今後取得する予定の不動産の場合には、予約になりますし、第三者の所有物を担保に差入れるときにはその義務を確認する条項になります。

「乙(債務者)は、後記土地建物の所有者山田太郎の承諾を得て、上記土地建物に本契約上の債務担保のため債権額金**円の抵当権を設定する義務を負う」

債務者は、契約をするまでは、口頭で担保の差入れや保証人を立てることなどを約束しますが、お金を借りてしまうと全てを怠ります。

これを怠っても、強制的に担保を差入れさせたり、保証人を立てさせるのは不可能ですが、これを契約上の義務として条項に規定しておくと、これを履行しないときは、一種の契約違反になります。

これらの契約違反を理由に契約を解除し、若しくは債務の期限の利益を喪失させることもできそうです。

(期限の利益の喪失)
民法第137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
1.債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2.債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
3.債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

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相殺と強制執行認諾の条項・・・

商取引の中での債権回収で最も有効なのが相殺です。

同じ相手に対し、債権と債務がある状態で、差引することをいいます。

債務者が破産したり、会社更生手続開始になった場合、相殺は有効な回収方法です。

「甲(債権者)が乙(債務者)に対して債務を負担している場合には、甲は乙に対し、甲の債権の弁済期到来前であっても、いつにても甲の債務につき期限の利益を放棄し、甲の債権をもって対等額にて相殺をすることができる」などと規定します。

これは、乙(債務者)が甲(債権者)に対して有する債権を第三者に譲渡したり、あるいは、乙の他の債権者から差押、仮差押がされた場合に有効に作用します。

また、債権が発生し、あるいは債権の確認をする契約において、相手が了解すれば入れておきたい条項は強制執行認諾の条項です。

「乙(債務者)は、甲(債権者)に対し、本契約の債務不履行の場合には、強制執行されても異議ない旨を約し、本契約を強制執行認諾約款付公正証書とすることを承諾した」

一定の金銭を支払うことを目的とした契約では、この文言を規定し、債務者の印鑑証明書と強制執行認諾約款付公正証書作成を委嘱するという委任状をとって、公正証書にしておくことが重要です。

契約書上で執行認諾約款があっても、公正証書を作成しなければ意味はありません。

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遅延損害金と合意管轄の条項・・・

債務の弁済期を過ぎた場合は、金利と同率の遅延損害金を請求することができます。

(金銭債務の特則)
民法第419条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第1項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

「乙(債務者)が本契約上の債務を期限に支払わなかったときは、不履行の翌日から年*%の遅延損害金を支払う」などと規定します。

また、地方の顧客相手の取引においては、債務者の支払遅滞に対して、債権者又はその代理人がその地に赴き督促することは困難です。

地方の顧客であっても、債権者の住所地の地方裁判所、又は簡易裁判所に裁判を起せるよう裁判所の管轄の合意をしておくことによって、早期に判決を取り、強制執行をすることができます。

「甲(債権者)及び乙(債務者)は、本契約に関して裁判上の紛争が生じた場合は、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。」

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