法律上の親子関係・・・

法律上の親子関係・・・

①親権

年齢20歳未満の子供は、父母の親権に服します。

親権は、未成年の子供についてだけ必要になり、成年の子供には必要ありません。

②相続権

親子であると、親がなくなって相続が開始すると、その子供は親の第一順位の相続人となり、子供が亡くなると親はなくなった子供の第二順位の相続人となります。

親が離婚したとしても、親子関係はなくならないため、父母が離婚して、親権者とならなかった親が亡くなったときも、子供は親の財産を相続します。

③扶養

血のつながった親子は、直系血族といい、直系血族は、お互いに扶養する義務があります。

④親族

親子は、血族として親族になります。

親族であることにより、親や子供の不適法な婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができます。

(不適法な婚姻の取消し)
民法第744条 第731条から第736条までの規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
2 第732条又は第733条の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。

⑤氏

親子の氏には、親子同氏の原則があります。

嫡出子は父母の氏を称し、非嫡出子は母の氏を称します。

⑥生命侵害の不法行為の慰謝料請求権

他人の不法行為によって被害者が死亡したときは、被害者の父母、被害者の子供は、加害者に対して、慰謝料請求をする権利があります。

⑦婚姻

未成年の子供(男満18歳、女満16歳)が結婚するには、父母の同意を得なければなりません。

直系血族である親子は、法律上も婚姻をすることができません。

⑧離婚と親子

親権は、父母が婚姻している間は、父母が共同して行ないます。

しかし、夫婦が離婚する場合、未成年の子供については、父母のいずれか一方を親権者と定めなければならず、親権者とならなかった父又は母は当然親権を行使することはできません。

しかし、親権者とならなくても、親子の関係がなくなるわけではないので、親権以外の相続や扶養の権利義務などは、離婚後も存続します。

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親権者の親権とは・・・

未成年の子供は、父母の親権に服することになります。

親権とは、未成年の子供が、独立の社会人として成長するために、肉体的に監督・保護し、また精神的な発達を図るために教育し、さらに子供の財産を管理し、また子供の財産上の行為の代理人となる、未成年の子供に対する社会的な責務を負います。

親権は親の利益を図ることではなく、子供の福祉を図ることを内容としており、親の社会的責務です。

親権があるといっても、親が子供を自由に支配できるというものではありません。

親権の法律上の具体的内容としては、身上監護権と財産管理権があります。

①身上監護権

身上監護権は、独立の社会人としての社会性を身につけさせるために、子供を肉体的に監督・保護し、また精神的な発達を図るために教育する責務です。

この身上監護権には、居所指定権、懲戒権、職業許可権、第三者に対する妨害排除権、身分上の行為の代理権があります。

身上監護権は、他人の干渉を受けることなく、子供の生活の面倒を見ること権限で、原則として、親は、子供をどのように監護・教育をなすべきかの自由を有します。

居所指定権 子供がどこに住むかを指定する権利です。
懲戒権 子供のしつけのために、懲戒をする権利で、必要な範囲内で実力行使しても法律上の責任を問われません。
職業許可権 子供が就職したり、営業を始めたりすることを許可する権利です。
第三者に対する妨害排除権 他人が親権の行使を妨害したときに、これを排除する権利で、連れ去られた子供の引渡しを請求することなどです。
身分上の行為の代理権 認知の訴え、15歳未満の子供の氏の変更、相続の承認・放棄などの特別な身分行為について子供に代わって身分行為をすることができます。

②財産管理権

財産管理権は、子供が財産を持っているときに、その財産の管理をし、また子供の財産上の法律行為について、子供を代理したり子供が法律行為をすることに同意したりするものです。

未成年者が売買契約を結んだり、お金を借りるなどの法律行為をするには、法定代理人の同意を得なければなりません。

通常、未成年者の法定代理人は、親権者がなります。

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子供の監護者とは・・・

民法では、親権者とは別に「子の監護をする者」である監護者を定めることを認めています。

(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
民法第766条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議で定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
2 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。
3 前2項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

親権には、子供を監督・保護する監護権が含まれますが、親権のうち監護権のみを有するものが監護者です。

監護権は、具体的に法律では定められていませんが、監督・保護する監護だけでなく、実際に子供と暮らしてその面倒を全面的に見ることになり、教育も含めた広い範囲の責任を負っているとされます。

ですので、親権者と監護者は子供に対してほとんど違いはありません。

次の場合に親権者と監護者を指定することが妥当であるとされています。

①父を親権者とすることにしたものの、子供が乳幼児であるために母親の養育が必要とされる場合。

②父母がどちらも親権者となることを譲らず、紛争状態が長期化しているために、早期に解決して子供の精神状態を安定させる必要がある場合。

③父母のいずれも子供を養育するのに不適格である場合。

この場合には、祖父母などの第三者が監護者として指定されます。

④子供の福祉のために、親権と監護権を分けることによって共同親権に近い状態を保つことが適切な場合。

⑤親権者に子供を監護させる準備期間を必要とする場合。

離婚前の夫婦の共同親権を有している状態から、一方の親が子供を育てることを法的に正当化するために監護権を指定してもらうことがあります。

監護者と指定された親は、子供を抱えている他方から子供の引渡しを受けたり、逆に相手からの子供の引渡し請求を拒んだりすることができます。

子供の監護者は、夫婦間の協議で定めることができます。

協議が成立しない場合や協議ができない場合には、家庭裁判所に「監護者の指定」の調停の申立をして、調停又は審判によって監護者を決めます。

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