面接交渉の強制執行・・・

面接交渉の強制執行・・・

離婚に関する取り決めについて調停調書などの文書がある場合、その取り決めの内容を強制的に実行させる方法として、強制執行という方法があります。

強制執行の中でも、子供を強制的に連れて来るような、国家権力が権利の内容を直接に実行する直接強制は、性質上、面接交渉では利用できないと考えられます。

ですので、面接交渉の取り決めがあっても、強制的に面接交渉をすることはできないとされています。

取りえる手段としては、まずは、元配偶者に要求します。

要求しても子供に会わせてもらえない様な場合で、当事者の協議のみで決めた場合には、子供の面接交渉を求める調停や審判を申し立て、面接交渉の取り決めをします。

調停で面接交渉の取り決めをした場合、調停調書が作成されます。

その中に定められた面接交渉の取り決めを元配偶者が守らない場合には、離婚調停をした家庭裁判所に履行勧告を申し立てることができます。

この申立をすると、裁判所が元配偶者から意見を聴くなどして事情を調査し、判断したうえで、裁判所から元配偶者に対して履行勧告書を送ったり、元配偶者を裁判所に呼び出して直接履行勧告を行なったりします。

履行勧告でも面接交渉ができない場合、面接交渉について再度調停を申立て、以前の調停で決めた面接交渉に関する調停事項を実現するための調整を行なう方法もあります。

また、間接強制という方法もあります。

間接強制とは、強制執行の中でも、一定期間内に一定の行為をしない場合は一定の金銭を支払うことを命ずることによって、心理的に強制して権利の内容を実現する方法をいいます。

間接強制は、約束を守らなければ金銭を支払わなければならないという意味での間接的な強制にすぎず、元配偶者がそれでも面接交渉を拒む場合には、子供に会うことはできません。

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面接交渉拒否の慰謝料請求・・・

面接交渉の取り決めにもかかわらず、面接交渉の実施を不当に拒否した場合には、慰謝料の請求を認めた事例があります。

これは協議による取り決めしかない場合と、調停調書等の文書がある場合のいずれの場合にもこれを認めた事例があります。

協議離婚の際に、親権者を父親、監護者を母親と定め、父は子供に月1回面会し、また6ヶ月に3回面会したり宿泊旅行できるという約束をしたにもかかわらず、それが十分に守られなかった場合で、裁判所は慰謝料金46万5000円の支払を命じました。

また、離婚調停の際、親権者を母親とし、母親は月1回、2時間程度父親が子供と面会することを認め、父親からの申出により日時・場所・方法等について協議するとの内容で調停が成立し、父親がその調停事項に基づいて子供との面会を求めましたが、母親がこれを拒否し、さらに家庭裁判所の調査官からの履行勧告にも応じなかった場合で、裁判所は、親としての愛情に基づく自然の権利を、子の福祉に反する特段の事情もないのに、ことさら妨害したのであり、その妨害に至る経緯、期間、母親の態度などから、慰謝料として500万円が相当としました。

ただ、慰謝料請求は、元配偶者に単に金銭の支払を命ずるだけですから、慰謝料請求が認められても面接交渉が実現するわけではありません。

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子供の親権者と監護者の変更・・・

離婚後に親権者又は監護者でない親が、親権者又は監護者である親のもとで生活している子供を引き取る場合には、次の手続きを行ないます。

親権者でない親が子供を引き取るためには、親権者を変更する必要があります。

親権者の変更は、家庭裁判所の調停又は審判を経なければなりません。

離婚の際には話し合いで親権者を決められましたが、離婚後は話し合いで親権者を変更することはできません。

親権者の変更は、子供にとって重大な事項であり、戸籍の変更を伴うため、家庭裁判所の親権者変更の調停又は親権者変更の審判でなければできないことになっています。

また、親権者である親が監護者である元配偶者から子供を引き取るためには、監護者の変更をする必要があります。

普通、親権者は監護者を兼ねていますが、親権者と監護者を別々にして離婚する場合もあります。

監護者については、戸籍に監護者の記載がありませんから、離婚後でも、元配偶者との話し合いができれば監護者を変更することができます。

話し合いで解決ができないときは、家庭裁判所に調停又は審判を申し立てます。

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