離婚の家事調停とは・・・

離婚の家事調停とは・・・

家事調停とは、一般に家庭に関する事件について家庭裁判所で行なわれる調停をいいます。

家事調停は、学識経験を有する一般の人から選ばれた調停委員会や裁判官である家事審判官が、当事者など話を聴き、事案の真相を明らかにして、当事者の実情に即した妥当な解決をするように当事者双方を説得し、お互いに譲りあうことを勧告しあるいは解決案を示してその受諾を促すという過程を経て行なわれます。

調停は、当事者間の話し合いを前提として、両者の合意ができて初めて、調停が成立します。

合意ができない場合には、調停は不成立となり、手続は終了し、これを「不調」といいます。

調停を申し立てて、家庭裁判所から呼び出しを受けても、調停の期日に出頭しないことがあります。

この場合には、合意をすることができませんので、裁判所によっては、念のため1回目に申立人の話を聴いて、2回目の期日を設けて再度呼び出すこともあります。

それでも相手が出頭しない場合には、調停は不調となります。

離婚の調停が不調の場合、離婚を請求するには、離婚の訴訟を提起しなければなりません。

婚姻費用分担調停で、調停が成立しなかった場合には、調停を申し立てた時に、婚姻費用分担の審判の申立があったものとみなされ、特に改めて申立をするまでもなく、裁判所が審判を下します。

このように当然に審判を下す事件には次のような事件があります。

①夫婦の同居その他夫婦間の協力扶助の関する処分

②離婚などの場合の子の監護者の指定その他子の監護に関する処分(子の引渡し、養育費、面会交流など)

これらの事件については、調停を申し立てることも、最初から審判を申し立てることもできますが、審判を申し立てた場合には、裁判所が関与して話し合いによる解決を図るため、裁判所の判断で調停事件に回されることが一般的です。

家事調停の流れ

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離婚の家事調停の流れ・・・

家事調停は、家庭裁判所の裁判官である家事審判官と一般の人から選ばれた調停委員2名の合計3名が調停委員会を組織して事件を担当します。

調停委員は、学識経験のある一般の人から選ばれた、非常勤の国家公務員です。

家事審判官は、事件の最初の期日に調停手続等について説明するだけで、実際には調停委員が中心となって手続が進められます。

調停の手続には調停委員のほかに、家庭裁判所調査官が同席することもあります。

家庭裁判所調査官は、必要に応じて、事件の関係人の性格、経歴、生活状況、財産状態及び家庭その他の環境等について、医学、心理学、社会学、経済学その他の専門的知識を活用して、事実の調査を行ないます。

具体的には、専門的な見地から、当事者から話を聴いたり、直接子供に会って子供の様子をみて、そのことを裁判官に意見を報告して、裁判官の判断の材料を提供します。

家庭裁判所で行なわれる手続は、調停手続で話し合いによって解決されますが、対立が激しい場合には裁判所が強制的に解決せざるを得ません。

このように裁判所が、さまざまな事情をもとに一定の判断を下す手続が審判や訴訟です。

家庭に関する事件は、家庭裁判所に調停を申し立てることができますが、審判、訴訟は、家事審判法、人事訴訟法に定められた一定の事件しか申し立てることができません。

また、家庭裁判所に訴訟を提起する事件については、原則として、訴訟の前に調停を申し立てることとされており、審判が可能な事件についても、裁判所は調停が相当と考えればいつでも事件を調停に付することができます。

家庭に関する事件は、原則として、調停から始められることになります。

これを調停前置主義といいます。

調停は家庭裁判所における話し合いですから、当事者間で合意に至ることができなければ調停が不成立になります。

このうち、審判が可能な事件については、調停を申し立てた時に、審判の申立があったものとみなされ、特に改めて申立をするまでもなく、手続が当然に審判に移行します。

その他の事件は、調停不成立で終了します。

調停前置主義のために調停を申し立てた場合には、改めて家庭裁判所に訴訟を起こすことになります。

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離婚の家事審判とは・・・

審判とは、家庭裁判所の裁判官である家事審判官の判断の結論である裁判のことをいいます。

通常の民事訴訟事件における判決のことをいいます。

審判では、審判官が当事者から言い分を聴き、提出された証拠や家庭裁判所調査官の調査結果などを踏まえて、最終的な審判を下します。

審判は、家事審判官が中心となって手続を進めます。

審判には、手続の記録などをとる裁判所書記官のほかに、離婚調停と同じような役割を果たす家庭裁判所調査官が立ち会うことがあります。

その他、参与員が立ち会うこともあります。

参与員は、審判に立ち会ったり、あらかじめ提出された書類を審査したりして、裁判官が判断をするのに参考となる意見を述べます。

離婚訴訟などの人事訴訟事件の証拠調べや和解の試みなどに立会い、率直な意見を裁判官に述べるなどして、紛争を解決に導きます。

審判の申立をした場合でも、家庭裁判所の判断である審判が出るまでは、事件によって時間がかかる場合があります。

例えば、子の引渡しを求める審判を申し立てても、審判が出るまでに時間がかかると、すでに審判までに相手と子供が一緒に生活する状態が既成事実化して、審判によって容易にその既成事実を変更することができなくなり、審判が意味をなさなくなることも考えられます。

審判が出るまでの仮の判断を求める手続きとして認められ、申立をする際には、審判が認められる可能性が高いこと、審判前の保全処分を求める必要性を、裁判所に示さなければなりません。

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