面接交渉を拒否した場合・・・

面接交渉を拒否した場合・・・

面接交渉について調停又は審判で決められた義務について、相手が履行しない場合には、家庭裁判所に履行勧告を求めることができます。

家庭裁判所調査官が、双方の言い分を聴いて調整を図り、履行を促します。

履行勧告を求めるためには、特別の方式は必要なく、調停や審判をした家庭裁判所に、調停調書又は審判書の事件番号と義務の履行がされないことを伝えます。

ただし、履行勧告には強制力はなく、相手が面接交渉を拒む場合には、他の方法によらざるをえません。

面接交渉の実現には、子供を育てている監護親の協力が必要なことから、裁判所から強制的に面接交渉を実現させても問題の解決にならないことが多く、面接交渉に対する監護親の理解を得ることが重要であり、調停や審判の際に十分に理解を得た上で、調停や審判を成立させることが必要となります。

それが不十分で、相手が面接交渉の履行に応じない場合には、「子の監護に関する処分」の再調停の申立をして、調停委員会や家庭裁判所調査官の関与のもとに再度、調整してもらうことも考えられます。

家庭裁判所の調停又は審判によって、面接交渉権の行使方法が具体的に定められたにもかかわらず、面接交渉義務を負う者が、正当の理由がないのに義務の履行をしない場合には、面接交渉権を行使できる者は、裁判所に間接強制の申立をすることができます。

間接強制とは、一定の日時までに債務の履行をするように債務者に求め、それまでに履行しないときは一定額の金銭の支払をせよ、と命じて、債務者を間接的に圧迫して、債務者自ら債務を履行するように仕向ける強制執行です。

間接強制によって面接交渉を求めるときも、あくまで監護親が自発的に面接交渉に応じることを前提としていますので、監護親が面接交渉の実現に協力しない場合には、その実現は困難なのが実情です。

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面接交渉の間接強制の申立・・・

間接強制の申立の際には、審判書又は調停調書などの債務名義が必要です。

審判書又は調停調書には、あらかじめ、執行の当事者を特定して、実際に強制執行することができることを、裁判所の書記官が証明した執行文の付与を受ける必要があります。

この執行文の付与を受けた審判書又は調停調書を、執行力のある債務名義といいます。

また、審判書又は調停調書が、相手方に届けられたことを証明する送達証明書が必要です。

審判や調停で定められた面接交渉の義務を、子供を監護している親が履行しない場合に、間接強制の申立をするには、審判や調停がなされた家庭裁判所に間接強制の申立書を提出して手続をします。

申立書には、「債務者が債務の履行をしないときには、一日金**円の割合による金員を支払え」との間接強制金の支払を請求することになります。

申立があると、裁判所は、申立の相手方から事情を聴くための機会を設けます。

これを審尋といいます。

このとき、債権者も間接強制金の根拠を説明することになります。

間接強制金は、申立をした債権者が負担している養育費の月額を基準として定められることが通常です。

間接強制を申し立てても、正当の理由があるときには、間接強制が認められないことがあります。

子供及び監護親の側における間接強制を不相当とする諸事情がある場合には、、監護親が間接強制を拒むことができる「正当の理由」があるといえます。

例えば、監護している子供が面接交渉を求める親に対し、それまでの養育態度などに起因する強い拒否的感情を抱いていて、面接交渉が、子供に情緒的混乱を生じさせ、子供と監護親との生活関係に悪影響を及ぼすなど、子供の福祉を害するおそれがあるといった場合です。

また、非監護親の面接交渉が、監護親に対する復縁を目的とするものであるとか、その方法、手段が不適当であるなど、面接交渉が権利の濫用にあたるといった、主として非監護親に側における、間接強制を不相当とすべき諸事情があるときにも、非監護親による間接強制を求めることは許されません。

相手方が間接強制の決定に従わない場合には、決定に定められた金銭の支払について強制執行をすることが可能です。

債権者は、間接強制の決定に、執行文の付与を受けて、履行しない債務者に対して、その財産の差押などの強制執行をして、間接強制の取立てをすることになります。

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子供と離婚手続の流れ・・・

離婚には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、認諾離婚、判決離婚、和解離婚があります。

子供に関するものとして、それぞれの手続の際に、親権者の指定、養育費の支払い、子供の引渡し、面接交渉などを取り決めることが必要になり、離婚後は、子供の名字、戸籍をどうするかを決める必要があります。

また、離婚後に子供の面接交渉、養育費の取り決めをすることもできます。

協議離婚の際には、夫婦のどちらかを親権者と定めなければなりません。

子供を監護する者、養育費、子供の引渡し、面接交渉などの子供の監護について必要な事項についても協議して定めることができます。

離婚することについては、夫婦間で合意しても、養育費や面接交渉などの子供の監護について必要な事項に関して、協議が成立しなかったり、協議できないときには、調停又は審判の申立をして、最終的には家庭裁判所が審判で定めることになります。

親権者をどちらにするかが決まらなかった場合には、協議に代わる親権者指定の審判又は調停を申し立てます。

夫婦間で協議が成立しないときは、家庭裁判所に離婚申立を申し立てなければなりません。

いきなり離婚の裁判を申し立てても、調停手続に回されます。

離婚調停の申立をして、調停の席上で、離婚の合意が成立した場合には、その内容を調停調書にして、調停離婚が成立します。

調停で離婚の合意が成立しない場合に、特別の事情があるときには、家庭裁判所の審判という裁判によって離婚が認められることがあります。

これを審判離婚といいます。

子供に関しては、離婚調停の段階では、離婚調停と一緒に監護者の指定、養育費、子供の引渡しを一緒に申し立てることもできますし、調停離婚成立後に改めて調停を申し立てることもできます。

離婚を申し立てられた当事者としては、離婚の条件として、面接交渉や監護者の指定を、事実上申し立てることもできます。

この場合も離婚調停終了後、別途正式に監護者の指定、面接交渉の調停を申し立てることができます。

調停の中で、子の監護者の指定や養育費、面接交渉について申立をしているときに、調停が成立しなかった場合は、家庭裁判所の審判で定めることになります。

この審判にあたっては、子供が15歳以上であるときには、その子供の意向を聴取しなければならないことになっています。

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