女装で出勤の男性社員の解雇・・・

女装で出勤の男性社員の解雇・・・

山田さんは、30歳の男性で独身、メーカーの研究員をしており、実は性同一性障害であり、病院でも診断されていました。

そして、山田さんは悩んだ挙句、女性として生きることを決意し、次の日から女装をして出勤し始め、仕事もしっかりこなし、以前よりも元気になったようでした。

上司には、性同一性障害であることを告白し、診断書を見せたのですが、会社側は女装をやめるよう命令し、山田さんが取り合わなかったところ、会社は服務規定違反を理由に、懲戒解雇としました。

会社は、その目的達成のため社員に整然と職務を遂行させるよう、業務上の指揮命令に対する社員の遵守義務、また職場秩序の維持義務など、必要なルールを就業規則で定めます。

この社員の職場における基本的なルールを定めたものが服務規定といいます。

社員が、この服務規定に違反すると、会社はその違反の程度により懲戒処分を行うことができます。

性同一性障害として診断を受けた社員に、この服務規定違反を理由とする懲戒処分をすることはできないとされています。

判例では、性同一性障害と診断された男性が、女装して出勤したことを理由に会社から懲戒解雇処分を受け、処分は不当だと仮処分の申立をした事件で、「女装で就業しても会社の秩序や業務に著しい支障が起きるとはいえない」として、男性社員の主張を認めました。

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交通事故の女児の逸失利益・・・

山田さんの10歳の娘は、通学路で飲酒運転の暴走トラックに、青信号を渡っているところを、同じ10歳の男の子と一緒に轢かれて死亡しました。

その後、山田さんのところに加害者が加入している任意保険会社の担当者が来て、一切の示談交渉を任されていると述べ、加害者側が一方的に悪いとした上で、娘の逸失利益、慰謝料など総額1700万円の損害を支払うと言いました。

しかし、一緒に亡くなった10歳の男の子には、2100万円を支払うのだと言い、担当者の話では、逸失利益において、男児は男子労働者の返金賃金を基礎とするの対し、女児は女子労働者の平均賃金によるからだと言うのです。

まだ働いてもいない子供の将来得るであろう賃金を男女差別するのは納得行かず、裁判に訴えました。

判例は、交通事故で、当時11歳の娘を失った父親が、加害者らに総額4000万円の損害賠償を求めた事件で、裁判所は逸失利益の算定基準に男女別の平均賃金を使う従来の方法を不合理な差別と認め、男女とも年少者の逸失利益の算定には男女合わせた全労働者の平均賃金を使う方が妥当としました。

この事件では、第一審が女性の社会進出など社会情勢の変化を初めて明記した上で、現在ある男女間の賃金格差をそのまま基準にするのは適当ではないと指摘し、男女労働者の平均賃金で算定して、女性の平均賃金によるより約400万円高い総額約2130万円の支払を加害者側に命じています。

控訴審でも第一審同様、男女全労働者の平均賃金を基準に逸失利益を算定し、同様の支払を加害者に命じました。

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裁判所のミスは控訴するしかない・・・

裁判所で口頭弁論期日の通知ミスによる被告欠席の裁判が起きました。

また、期日通知ミスではありませんが、交通事故の損害賠償請求事件で、裁判官が賠償額の算定方法を誤って、加害運転手に対し、実際の判断金額の3倍以上の賠償額を言渡してしまった事例もあります。

どちらも裁判所がミスを認め、謝罪しているのですが、たとえミスでも一度判決が出てしまうと、職権により判決を取消したり、判決内容を訂正するのは、原則として、できないのです。

ですので、裁判所のミスで不利益を被っても、その判決を覆すには、控訴するしかないのです。

民事訴訟法では、判決に不服がある場合、その判決書の送達後2週間以内に控訴しないと、たとえミスによる判決でも確定し、取消されなくなるのです。

控訴は、第一審で争われた内容全てではなく、判決内容のうち、不服な部分についだけすることもできます。

裁判所のミスで敗訴し、それによって損害を被った場合、不利益を受けた当事者は国に対し、国家賠償請求ができると考えられます。

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大株主の短期売買益を会社へ返還・・・

山田さんは、株式会社田中の大株主で、以前は経営陣にいた人で、現在は隠居暮らしをしていました。

ある時、以前の取引相手であった斉藤さんが訪問し、斉藤さんが言うには、「株式会社田中が大手グループと提携する。」ということを言っていました。

それを聞いた山田さんは、株式会社田中の株を約20万株1株200円で買い、その後、株式会社田中は大手グループと提携することを発表して、株価は一気に400円まで上がりました。

山田さんは、その株を売り、数千万円の利益を上げたのですが、その売買であげた利益は証券取引法が禁ずるところの主要株主の短期売買に当たるので、儲かった数千万円を会社に返還して欲しいと言ってきました。

山田さんは株式会社田中の経営に関する重要な事実を知る地位にあるとみなされ、同社の株式を6ヶ月以内に売買して利益を上げた場合、その利益は会社のものになるというのが、会社の言い分でした。

新株発行、合併、解散、業務提供の決定事項など、会社の重要な情報を事前に知る立場にいる会社関係者が、その情報の公表前に株取引すると、インサイダー取引として3年以下の懲役、又は300万円以下の罰金に処せられます。

この対象となる会社関係者は退職などにより関係者でなくなった後も、その後1年間は関係者だった会社の株取引を同様に規制しています。

また、証券取引法でインサイダー取引を間接的に防止する規定を設け、主要株主らの短期間の株売買を規制し、上場企業の役員や主要株主らが6ヶ月以内の持ち株売買で利益を上げた場合には、会社はその利益である短期売買益を会社に返還するようになっています。

この短期売買益返還の規定について、経済活動を保障した憲法29条に違反すると、争われた事例で、東証二部上場の会社が、短期売買で利益を上げた主要株主を相手取り、同規定に基づき利益の返還を求めたもので、最高裁は、証券取引市場の公平性、公正性を維持し、市場に対する一般投資家の信頼を確保する目的の規制で合意と判断を下しています。

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