宿直中の仮眠時間は労働時間・・・
山田さんの勤務時間の中には、深夜帯の勤務時間があり、深夜勤務をした場合には、1時間の休憩の他、4時間の仮眠時間が与えられます。
4時間の仮眠時間は、当然、その時間は賃金は計算されません。
しかし、同業の会社に勤める友人の田中さんが言うには、深夜勤務の場合は、仮眠時間も労働時間として扱われると言うのである。
山田さんは、その話を上司に話すと、仮眠時間は休憩時間で、その時間は自由に使える時間だから、と言うのです。
その話を友人にすると、就業規則では宿直中は、電話や警報に備えて仮眠室での待機が義務付けられている。
だとすれば、いくら自由に使えるといっても、会社の指揮命令下にあるので、仮眠時間は休憩時間ではなく、労働時間だ、言うのです。
労働時間とは、客観的に見て、従業員が会社の指揮命令下にある時間のことをいいます。
仮眠時間が休憩時間に当たるか、労働時間に当たるかについては、この定義により判断されます。
判例では、仮眠時間は労働時間とした事例があります。
24時間勤務のビル管理会社の従業員が、宿直の際の仮眠時間も労働時間として、その時間についても賃金を支払うよう求めたもので、裁判所は、労働者は仮眠時間中も待機して警報や報知器などに対応することが義務付けられており、実作業に従事していないからといって会社の指揮命令下から離脱しているとはいえないとしており、宿直中の仮眠時間も労働時間だと認めています。
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着古しの制服をネット販売して摘発・・・
花子さんは大学生で、親の仕送りとわずかなバイト代だけでは生活が苦しい経済状態です。
その花子さんの楽しみは、ネットの掲示板をのぞくことでした。
すると、その掲示板で、「着古しの女子高の制服や体操着を買いたい。」という書き込みを見つけました。
それによると制服1着3万円、体操着は1万円で買ってくれるとの話です。
花子さんの手許にも、女子高時代の制服があり、半信半疑で掲示板の書き込み者に「売ってもよい」と返事したところ、制服と引換に3万円が振込まれました。
花子は大学や高校時代の同級生から着古しの制服や体操服を譲ってもらい、自分のホームページで売り出しました。
売れたら、同級生たちに歩合を支払うという約束でした。
そして、これが大当たりして、この仕事を本格的に始めることにしました。
卒業生からだけではく、現役女子高生にもDMを送って、品物を集め、大量に売りさばき、数百万円の利益をあげました。
しかし、ある日の朝、花子の部屋に警察官がやってきて、古物営業法違反の疑いで家宅捜索を始めました。
古着に限らず、使い古しの品の売買を業としてする場合、古物営業の許可が必要なのです。
盗品売買の防止と、盗品の速やかな発見を目的とした古物営業法という法律に基づくもので、都道府県公安委員会の許可を得ずに古物の売買や交換の営業を営むことは許されないとされます。
無許可営業をすると、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
個人的な売買や交換には、この許可はいりませんが、事例の花子の場合には、DMによる商品集めなどをしており、営業行為に該当するとして古物営業法違反に問われたのです。
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露天風呂の盗撮で名誉毀損・・・
太郎さんは、旅好きのサラリーマンで、カメラを趣味にし、写真投稿雑誌の常連で、隠し撮りで、芸能人のお忍びデートの現場をスクープしたこともありました。
そんなことから、アダルトビデオ業者から露天風呂の盗撮を頼まれ、報酬も1本につき5万円を支払ってくれるといわれ、つい引き受けてしまいました。
そして、太郎さんは旅行に行く度に、そのバイトを成功させ、業者から月々給料並みのバイト料を受け取っていました、
しかし、ある朝、会社に出勤しようとした太郎さんの部屋に警察がやってきて、「露天風呂で女性の入浴シーンの盗み撮りをしていたな。業者がお前だと吐いた。」とこのことで、任意同行を求められました。
太郎さんが撮影したビデオは、編集され、販売されており、そのビデオをレンタルビデオ屋で借りた男性が、その中に自分の彼女が映っているのに気づき、彼女に連絡し、被害届をだしました。
太郎は、業者との打ち合わせどおり、自分で楽しむために撮っただけで、知人に貸しただけと答え、警察からは、「初犯だから、県の迷惑防止条例違反で罰金だな」といわれていたのですが、そのごの捜査で、業者からバイト料として月々多額の現金を受け取っていることが判明し、身柄を拘束され、名誉毀損で起訴されました。
女性の下着や裸身を盗撮した場合、各都道府県の迷惑防止条例違反に問われ、初犯の場合は罰金刑で住む場合も多いようです。
しかし、その罰則は強化されており、東京都条例は初犯でも1年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。
露天風呂で盗み撮りしたビデオを販売した元社長が名誉毀損に問われた事例で、「被害女性に自ら望んで撮影させたという印象を与えかねない」と、女性の社会的評価を下げることもあるので名誉毀損罪に当たると認定し、被告に懲役2年、執行猶予4年を言渡しました。
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模造品の販売で逮捕の無罪・・・
山田さんは、玩具卸メーカーの社長ですが、経営不振が続いている。
そこに、顔見知りのブローカーが現れ、今人気の電子ペットを大量に輸入したので、買わないかという話だった。
それは、模造品であったのですが、単価は本物の3分の1以下でした。
山田さんは、意を決して、模造品を仕入れ、取引先の小売店に売り込みをかけたところ、それは売れに売れ、会社は持ち直しました。
しかし、本物を扱う会社から告発を受け、会社に刑事訪れ、家宅捜索が始まりました。
山田さんは、法律の知識を吸収し、実は切り札を用意していました。
告発内容がデザイン形態の模倣についてだけと知ったとき、刑事処分を免れる方法を思いつきました。
著作権法では、著作権等を侵害する行為によって作成された品物を事情を知って領布し、また領布する目的で所持する行為は、著作権等を侵害する行為として、この権利を侵害した者は「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する」と定めています。
この事例では、電子ペットが著作物であるかどうかか問題になりました。
絵画や彫刻など、もっぱら鑑賞目的の創作物である純粋美術が同法の保護を受けることは明白ですが、実用に供され、産業上利用される美的創作物の応用美術も、純粋美術と同視しうる場合に同法の著作物となると、判例で認められています。
客観的にみて実用面や機能面以外に独立して美的観賞の対象となる美的特性のある物については、実用品のデザイン形態であっても著作権法上の著作物になるとされています。
しかし、電子ペットは、愛らしさがあって親近感を抱かせるという意味で美的特性を備えているが、玩具としての実用性及び機能性保持のための仕様が強く現れたため、これにより美感が削がれ、その結果、全体としては美術観賞用の対象となる審美性が備わっているとは認められないとしました。
そして、電子ペットのデザイン形態は著作物に該当しないとして、無罪としました。
実際の判例では、人気電子ペット「ファービー」の模造品販売事件でも、「実用性や機能性を重視するつくりが目立ち、純粋美術と同程度の審美性はない」として、ファービーのデザインは著作物に当たらないとし、著作物に当たるとする検察側の主張を退け、被告に無罪を言渡しました。
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