強制執行と債務名義の関係は・・・

強制執行と債務名義の関係は・・・

強制執行のためには、債務名義を確保する必要があります。

債務名義とは判決、裁判所の和解調書、調停調書、支払督促、公証人の作成した公正証書などです。

ただし、判決や支払督促は、確定したものか、仮執行宣言のついたものでなければなりません。

まだ不確定で、しかも仮執行の宣言もついていない判決などは強制執行はできません。

また、一定の命令を内容としたものでなければなりません。

「金**円を支払え」「家屋を明け渡せ」「登記手続きをせよ」などです。

公正証書は、一定の金銭の支払などについて強制執行ができるだけで、土地の明け渡しなどの強制執行はできませんし、公正証書上で債務者が「強制執行を受けることを承諾する」ということを認諾したものであることが必要です。

債務名義には判決があり、債務名義となる判決は次になります。

①仮執行宣言付判決

②控訴なしにその期間が終わった判決

③控訴が却下又は棄却された判決

また、強制執行では、一部の財産は差押さえが禁止されています。

差押禁止動産は次になります。

①債務者の生活に欠くことのできない衣服・寝具・家具・台所用品・畳及び建具

②生活に必要な1ヵ月分の食料・燃料

③標準的な世帯の2ヶ月間の必要生計費と認められる一定額の金銭

④その他、実印等、仏像、位牌、系譜、商業帳簿等

民事執行法22条(債務名義)

強制執行は、次に掲げる(以下、「債務名義」という)により行う。

一 確定判決

二 仮執行の宣言を付した判決

三 抗告によらなければ不服を申し立てることができない判決

四 仮執行の宣言を付した支払督促

四の二 (略)

五 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されていますもの(以下「執行証書」という

六 (略)

六の二 (略)

七 確定判決と同一の効力を有するもの

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強制執行申立の書類と費用は・・・

強制執行申立に必要な書類と費用は次になります。

①強制競売申立書

執行の申立書を作成します。

競売の場合は強制競売申立書です。

動産の競売については執行官室に用紙があり、それに書き込むことになります。

②添付書類(不動産の場合)

1、債務名義の正本

執行力のある判決あるいは公正証書など

2、同謄本の送達証明書

3、不動産登記簿謄本

4、公課証明書

5、資格証明書など

当事者が会社などの法人の場合

③強制執行に要する費用は次になります。

1、申立書に貼付する収入印紙は、請求債権につき4,000円です。

2、不動産の競売の場合は、このほかに予納金が必要になります。

強制競売には競売物件の調査・評価など、費用がかかるので、申立人が立て替えるため予納する必要があります。

その額は請求債権額により異なり、2000万円未満の場合、60万円です。(東京地裁の場合)

これを申立と同時にまたは事後の指示で裁判所の経理課へ予納します。

この予納金は競売代金が入れば優先的に還付されます。

3、競売開始決定があれば物件に対するその登記の費用が必要です。

これは債権額に対し、1000分の4と登録免許税法で決まっています。

これも裁判所へ提出し、裁判所が登記嘱託書とともに法務局へ送付します。

また、不動産に対する強制執行手続には、その不動産を管理して、そこからあがる収益で債務の返済に充てる方法があり、これを強制管理といいます。

申立手続等は、借りている第三者を表示する事と、強制競売での換価手続が、強制管理では管理手続となるくらいで、ほとんど強制競売との場合と同じです。

民事執行法21条(強制執行の申立書の記載事項及び添付書類)

強制執行の申立書には、次に掲げる事項を記載し、執行力のある債務名義の正本を添付しなければならない。

一 債権者及び債務者の氏名又は名称及び住所並びに代理人の氏名及び住所

二 債務名義の表示

三 第五号に規定する場合を除き、強制執行の目的とする財産の表示及び求める強制執行の方法

四 金銭の支払を命ずる債務名義に係る請求権の一部について強制執行を求めるときは、その旨及びその範囲

五 民法第414条第2項本文又は第三項に規定する請求に係る強制執行を求めるときは、求める裁判

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送達証明書とは・・・

強制執行には債務名義の送達が必要です。

その送達があったことを証明するのが送達証明書です。

送達証明書には、150円の印紙を貼った申請書を提出します。

一通の余白に書記官や執行官が「右証明する」と書き込んで印を押して、返してくれます。

これが証明書となります。

送達証明書は訴訟が終わった直後に取ることができます。

送達ができてない場合は、あらためて送達が必要になります。

その場合は送達申請をします。

送達は裁判所書記官の職務です。

ただし送達の実施は郵便又は執行官によります。

普通の送達ができない場合は公示送達という手続もあります。

送達申請や送達書類の謄本の下付は、その事件の記録がある裁判所の担当になります。

原則的にはその訴訟をした第一審裁判所が記録を保管します。

民事執行法29条(債務名義の送達)

強制執行は、債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本又は謄本が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。

第27条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。

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