借地非訟事件とは・・・

借地非訟事件とは・・・

借地借家の揉め事について、借地借家法では、地主の承諾に代えて裁判所が許可する方法を認めています。

これを借地非訟手続といいます。

このような場合、借地人が地主に対し承諾料や名義書換料を支払ったりと、金銭の授受により解決を図りますが、これについて揉めることがあります。

そこで、裁判所が地主に代わって承諾を与えるとともに、借地人に対し承諾料の支払を命ずるとか、借地の条件を変更するなどの方法により、解決を図るのです。

例えば、借地権の譲渡・転貸の場合、契約の条項で、事前に賃借権の譲渡や転貸を認める特約をしていない限り、賃借権の譲渡や転貸しは、地主の承諾を必要とします。

承諾なしに建物の譲渡をした場合には、契約違反を理由として契約は解除されます。

ただし、譲渡の約束をしただけで、名義の移転を実行していなければ契約違反にはならず、建物に他人を住まわせることも自由です。

借地非訟事件では、このように承諾なしに建物を譲渡したような場合の契約違反を解決するものではないのです。

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借地非訟事件の申立・・・

申し立てる裁判所は、借地の所在地を管轄する地方裁判所が原則ですが、当事者で合意ができているときは、借地の所在地の簡易裁判所でもよいとされています。

借地非訟手続では、当事者の主張する事実の中で必要があれば証拠調べも行われます。

裁判所が職権で事実を探知することもできますから、裁判所としては正式の証拠調べの方法ではなく、問合せなどによって必要な事項を調べることもできます。

また審問期日を設けて、当事者の陳述も聞きます。

事実関係が一応明確になると、当事者の陳述や鑑定委員会の意見を聞き、これらを総合して、裁判所が地主の承諾に代わる許可を出すか、裁判をすることになります。

この手続の欠点は、手続が長引く事が多く、許可を受けるべき借地権の譲渡の話が流れてしまうことが多いのです。

この許可については、裁判所が承諾料を定めます。

額を決めるにあたっては、土地の価格や借りるときの権利金の額、性質、残っている契約期間の長短などが考慮されます。

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賃借権譲渡・土地転借許可申立書ひな形・・・

賃借権譲渡・土地転貸許可申立書
(借地借家法19条第1項)
平成**年**月**日
**地方裁判所 御中
申立人 山田太郎 印

借地権の目的の土地の価額
金*******円
貼用印紙  ***円
予納郵券  ***円

添付書類
1、申立書副本      1通
2、固定資産評価証明書  1通
3、現場付近の地図    1通

当事者
別紙当事者目録記載の通り

申立の趣旨
「申立人が、別紙譲受人目録記載の者に、別紙土地目録記載2の土地の賃借権を譲渡することを許可する。」との裁判を求める。

借地契約の内容等
1、契約当事者
(1)現在の契約当事者
賃貸人 鈴木一郎
賃借人 山田太郎
2、最初に契約を締結した日
昭和**年**月**日
3、借地権の目的の土地
(1)別紙土地目録記載1のとおり(甲1号証)
(2)(1)の土地のうち、譲渡転貸をする部分
別紙土地目録記載2のとおり
4、契約の種別
普通借地権
5、存続期間
(1)契約上の定め
平成**年**月**日
(2)契約の更新
最後に更新した日 平成**年**月**日
(3)残存期間
平成**年**月**日まで(あと**年**月間)
6、現存する建物
(1)別紙建物目録記載のとおり(甲2号証)
(2)使用状況
自己使用
7、地代
(1)現在の地代
平成**年**月**日以降1ヶ月**万円
(2)地代の推移
契約更新時には地代1ヶ月**万円であったが、その後平成**年**月より**万円となった。
(3)相手方からの増額請求の有無とその内容
無し
8、敷金・更新料その他の金銭の支払状況
当初契約時に敷金**万円を入れ、その後契約更新のときに金**万円を支払う。
9、契約の存否
あり(甲3号証)

申立の理由
1、建物の譲渡契約(予定)
(1)建物上との相手方
別紙譲受人目録記載のとおり(甲4号証)
(2)契約の内容(甲5号証)
契約の種類    売買
所有権の移転時期 平成**年**月**日
2、本件賃借権の譲渡転貸が賃貸人に不利となるおそれのない理由
(1)譲渡転貸の別
土地賃貸借権の譲渡
(2)譲渡転貸の相手方の職業、資力その他の事情(甲6号証)
譲渡の相手方の田中次郎は会社員(株式会社****勤務)で、月収は約**万円である。
(3)譲渡転貸を必要とする事情(甲7号証)
申立人は現在****株式会社勤務の会社員であるが、仕事の都合により転居(**********)するので、建物を売却したいため。

当事者間の協議の概要(甲8号証)
1、申立人の申入れの内容
平成**年**月、相手方宅を訪問し、賃借権譲渡の承諾を求めた。その際、承諾料として**万円を提供する申出をした。
2、相手方の対応
現在まで、相手方の態度は譲渡を承諾しないとのことであるが、一方**万円ぐらいの承諾料をもらいたいとの話も出ている。

付随処分に対する意見・希望
1、相手方に支払う財産上の給付
(1)金額  金**万円
(2)その算定根拠
近隣の借地権譲渡の承諾料が借地権価額の1割前後が相場となっていることから。
2、地代
現状のままがよい。

当事者目録

〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
申立人 山田太郎

〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
相手方 鈴木一郎

譲受人目録

〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
譲受人 田中次郎

土地目録

1、借地権の目的の土地
所在  東京都**********
地番  **番
地目  宅地
地積  **平方メートル
上記土地のうち全部
契約面積 **平方メートル
実測面積 **平方メートル
2、1の土地のうち、賃借権の譲渡転貸をする部分は全部である。

目録

所在    東京都*********
家屋番号  ***番
構造    木造瓦葺2階建
種類    居宅
床面積   一階 **平方メートル
二階 **平方メートル

証拠目録

甲1号証 土地登記簿謄本    1通
甲2号証 建物登記簿謄本    1通
甲3号証 借地契約書      1通
甲4号証 商業登記簿謄本    1通
甲5号証 譲渡又は転貸契約書等 1通
甲6号証(譲受人の職業、資力等を明らかにする証拠)     1通
甲7号証(譲渡転貸の必要性を明らかにする証拠)       1通
甲8号証(相手方との間の協議、交渉の経緯を明らかにする証拠)1通

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