貸金請求訴訟の前に準備することとは・・・

貸金請求訴訟の前に準備することとは・・・

貸金請求訴訟を起こす場合には、貸金があり、それが債務不履行になっていることを立証しなければなりません。

借用証書があれば一番ですが、なければメモや受取証でも、とにかく証拠を集める必要があります。

ない場合には、当時のことを直接知っている証人に出てもらう用意をします。

全く証拠がない場合、証拠を作る必要があります。

訴訟のことを言わないで、書面で軽く催促してみると、相手方からもう少し待ってくれというような返事が書面でくればそれが証拠になります。

返事が来なかったり、来ても金額がはっきりしない場合は、誰かに催促にいってもらい、相手方がそれについての内容を話せば、その人が証人になります。

この人が後に法廷へ出て、証言をすれば、裁判官が認めてくれます。

また、保証人がある場合、貸主は借主だけに請求してもよいし、保証人だけに請求してもよいのですが、裁判では両方に対して一度に請求できます。

1通の訴状で両方に請求ができるのです。

請求する相手の数によって被告が増えるわけですが、訴訟としては訴状に貼る印紙など1人に対して請求する場合と同じでよいので、都合がよいのです。

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貸金請求訴訟の訴状とは・・・

訴状には、日付、裁判所名、原告の氏名、氏名の横に押印します。

その次に、当事者の表示、原告、被告の住所と氏名を書きます。

保証人も被告にするときは、借主である被告の横に連記します。

これに続けて貸金請求事件と書き、訴訟物の価額、貼用印紙を書きます。

次に用紙を変えて、請求の趣旨を書きます。

請求の趣旨の中には、仮執行の宣言を求める旨を書きます。

これは、訴訟を起こして勝訴判決をもらったとき、相手方が控訴しても、控訴審の判決を待たず、第1審の判決により強制執行できるようにするためなのです。

次の請求の原因は、請求の理由であるとともに、どの貸金かを特定します。

日時などをあげて具体的に書かなければなりません。

利息などのように、期間の始まりと終わりが決まっている場合などは利息の金額を計算して書き、遅延損害金など期間の終わりが決まっていないような場合には、「右合計額に対する、平成**年**月**日以降右完済に至るまで年*%の割合による遅延損害金」と書きます。

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貸金請求訴状ひな形・・・

訴状
平成**年**月**日
**地方裁判所民事第*部 御中
原告 山田太郎 印

〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
原告 山田太郎

〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
被告 鈴木一郎

〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
被告 田中次郎

貸金請求控訴事件
訴訟物の価額 ***円
貼用印紙額 **円

請求の趣旨
被告らは各自原告に対し、金**万円及び平成**年**月**日以降完済までの年*%の割合による金員を支払え。
訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決及び仮執行の宣言を求める。

請求の原因
1、原告は被告の鈴木一郎に対し、次の通り金員を貸し付け、被告田中次郎はこれに連帯保証をした。
(1)貸付年月日 平成**年**月**日
(2)貸付金額  金***円也
(3)弁済期   平成**年**月**日
(4)利息の割合 年*%
(5)利息支払期 元金弁済期日に日割計算のうえ支払うこと
(6)特約    期限に履行しないときは、年**%の割合による遅延損害金を支払うこと
2、鈴木一郎は期限になっても元金も利息も支払わず、その後、原告が再三催促しても全く支払わない。
3、そこで原告は、被告らに対し次の金員の支払いを求める。
(1)元金***円也
(2)右金員に対する平成**年**月**日より平成**年**月**日まで年*%の割合による利息金***円也
(3)右合計金額に対する平成**年**月**日より右完済に至るまでの年*%の割合による遅延損害金

証拠方法
1、甲1号証(借用書)
金を貸すにあたり、被告両名が作成して交付を受けたもの(請求の原因1項関係)
2、甲2号証の1(内容証明郵便)
甲2号証の2(配達証明)
被告に対し貸金返還を請求したもの(請求の原因2項関係)

付属書類
1、甲号証の写し 各1通

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貸金請求訴訟の証拠とは・・・

貸金請求の場合には借用書や受取証が証拠になりますが、友人間の貸借など書面などを残さなかった場合、訴訟は必ず証拠がなければならないものではないので、相手が事実を認めれば目的を達することができます。

ただ、相手が認めることはないでしょうから、証拠は必要なのです。

借用書などの証拠書面がないときは、金銭を渡したときに立ち会っていた人や、その事情を知っている人を証人とします。

振り込んだ場合には振込の明細、貯金通帳などから降ろしてお金を渡した場合には、不十分ですが、その貯金通帳を証拠として提出します。

その通帳に基づいて、法廷で、原告本人が証言します。

完全な証拠がなくても裁判官が原告の方の主張をそのとおりであると認めてくれればよいわけなのです。

貸金請求訴訟の保証人とは・・・

保証人に請求する場合、保証人が連帯保証人であれば問題ないのですが、単純な保証人のときは、保証人は貸主から請求を受けた場合、催告の抗弁権と検索の抗弁を有します。

催告の抗弁権とは、まずは借主に請求してくれと抗弁することです。

検索の抗弁権とは、まずは借主に請求してみて取れなかったら自分に請求してくれという抗弁をすることです。

ただし、抗弁が出なければそのまま請求できます。

この2つの抗弁権は連帯保証人には与えられていません。

催告の抗弁があれば、貸主はまず借主に請求したという事実を証明しなければなりません。

このような場合は内容証明郵便で請求し、証拠とするのが確実です。

検索の抗弁権に対しては、貸主は、まず強制執行をして結果をみるか、何らかの方法で、借主に財産がなくて借主からは取れないという反証をしなければなりません。

なお、保証人が2人以上なら保証額は頭割りになります。

これを分別の利益といいます。

連帯保証人なら1人に全額を請求できます。