手形の書換に応じる場合・・・

手形の書換に応じる場合・・・

取引先のA社から売掛金の支払として、約束手形を受け取り、その約束手形には第三者の山田さんが保証人として署名押印してくれています。

満期日が近くなり、A社は手形の決済が難しそうだから、手形をジャンプして欲しい旨の申入れがあったのですが、手形の書換を応じる場合にはどうすればよいでしょうか?

手形の書換の場合、新手形と引換に旧手形を返還する方法と、旧手形を返還せず新手形を受け取る方法とがあります。

旧手形を返してしまった場合には、旧手形債権は消滅してしまいますから、旧手形上の保証がなくなってしまいます。

新手形に旧手形の保証がとれない場合には、旧手形を返還しない方法を取ることが無難です。

旧手形を返還しない手形の書換の場合には、新旧2つの手形債務が併存することになり、新手形に署名していない保証人に対しても旧手形で権利が行使できます。

ただし、旧手形で権利を行使するには、制約を受ける場合があり、例えば、裏書人が何人か介在する場合は、旧手形に署名してあっても、手形を書き換えた場合には、旧手形の裏書人に請求することができず、裏書人に対して償還請求するためには、満期日に手形を呈示しなければならないとされ、書換の場合には旧手形を満期日に呈示しないのです。

手形の書換をに応じる場合には、新手形にも保証してもらうことが無難です。

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支払期日の延期と消滅時効・・・

取引先の売掛金の支払期日を延期して欲しい旨頼まれたのですが、時効などにならないのでしょうか?

債権があっても、一定の期間放っておくと、債権が消滅してしまうのが、消滅時効です。

債権が時効によって消滅するためには、権利を行使しない一定期間を経過することが必要です。

令和2年4月1日施行の民法改正では、①消滅時効の時効期間、②起算点、③時効障害事由が変更されました。

①②消滅時効の時効期間は、原則として「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」または「権利を行使することができる時から10年」のいずれか早い方とされました。

時効にかからないようにするためには、時効を更新しておかなければなりません。

時効を更新させる方法には、請求、差押、仮処分、承認などがあります。

(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
第147条
1.次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停 四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
2.前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。

請求には裁判上の請求や裁判外の請求がありますが、裁判外の請求は催告の効力しかないので請求時から6ヶ月時効が延びるだけで、この間に裁判上の請求などの方法をとらないと時効にかかってしまいます。

請求を6カ月おきに繰り返しても、時効は更新しないのです。

支払の猶予を与える時は、債務の承認をさせておく方法があります。

(承認による時効の更新)
第152条
1.時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
2.前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない。

債務の承認の方法に方式はありませんが、残高確認書に署名をもらうとか、債務承認書、支払誓約書をいれさせるなど、約束手形や小切手を振出させるなどの方法をとります。

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抵当権と根抵当権の対抗要件・・・

同一物に複数の担保が設定された場合は、先に対抗要件を備えた債権者の方が優先弁済を受けることができます。

設定者が第三者に対して担保物を譲渡した場合は、第三者が担保物の取得に関する対抗要件を備える前に、担保権者が対抗要件を備えてしまえば、第三者に対しても担保権を主張できます。

しかし、先に譲渡が行なわれ、取得者がその取得につき対抗要件を備えてしまうと、その担保を主張できなくなってしまいます。

この場合には、債権者の担保権を侵害した設定者に対して、損害賠償請求をすることができますが、担保がなくなってしまうと回収が難しくなります。

担保を取った場合には、すぐに対抗要件を備える必要があるのです。

不動産を担保の目的物として、抵当権や根抵当権を設定する場合の対抗要件は、原則として登記をすることです。

自動車などの登録制度のあるものついては、特別法によって抵当権の目的物とすることができる場合があり、この場合の対抗要件は登録になります。

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