株式に担保設定する方法・・・
担保として株式を差し入れる場合には、差入人が受入人に株券を引き渡すことが必要でした。
しかし、株券電子化後は、質入れの場合であれば、差入人(質権設定者)の口座の保有欄に記録されている株式を受入人(質権者)の口座の質権欄に振り替えることが必要となります。
質権設定者が質権者に質入れする場合、質権設定者は自分の口座のある証券会社等に対して「振替の申請」を行います。
この際には、いつ、どの口座(質権設定者の口座の保有欄)から、どの口座(質権者の口座の質権欄)に、どの銘柄を、何株振り替えるのか指定します。
そして、この質権欄への「振替の申請」が行われると、質権設定者の口座の保有欄における指定された銘柄の株数が減少され、証券会社等を結ぶネットワークを通じた処理により、最終的に質権者の口座の質権欄にその銘柄の指定された株数の増加の記録がされるとともに質権設定者での氏名や住所の情報も記録されます。
質入れの場合は質権者の口座に株数と質権設定者の氏名等が記録されます。
譲渡の場合には、売手は株主でなくなり買手が新たに株主になるのに対し、質入れの場合には、質権者が新たに株主になるのではなく質権設定者が依然として「株主」であるからです。
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公社債に担保設定する方法・・・
公債とは、国や都道府県などの地方自治体が資金調達のために発行するもので、国の発行するものを国債、地方自治体が発行するものを地方債といいます。
社債は、株式会社が資金調達のために発行するものをいいます。
公社債の担保方法としては、質権設定と譲渡担保があります。
無記名の国債は当事者間で質入の合意をし、債券の引渡をすることによって質入の効力が生じます。
(質権の設定)
民法第344条 質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
無記名社債の質入もこれと同じ手続で、対抗要件は債券の継続占有になります。
(動産質の対抗要件)
民法第352条 動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
記名社債の質入も、質入の合意と社債券の交付によって効力を生じますが、質権者が質権を会社その他の第三者に対抗するためには、会社の社債原簿に質権設定を記載してもらうことが必要です。
(指図債権を目的とする質権の対抗要件)
民法第365条 指図債権を質権の目的としたときは、その証書に質権の設定の裏書をしなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
譲渡担保の場合は譲渡担保の合意をし、債券の交付、引渡という方法によって行われる。
この場合、無記名の国債や社債では債券の引渡が第三者に対する対抗要件となります。
記名社債については会社の社債原簿に取得者の氏名、住所を記載し、かつ、債券に氏名を記載してもらうことが会社その他の第三者に対する対抗要件です。
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手形に担保設定する方法・・・
債務者がその取引先などから売買代金等の支払のために受け取っている手形を、債権者の担保にとることがあり、これを手形担保といいます。
この場合には、手形について裏書もできますし、また、手形割引をしてもらって換金もできます。
手形を担保にとる方法としては譲渡担保と質入があります。
譲渡担保の場合は、譲渡担保の合意をし、債権者において担保手形に裏書譲渡を受け、裏書によって債権者は手形上の権利者となり、手形債務者に手形上の権利を行使することができます。
手形を質入させる場合には、普通の裏書方式に「質入のため」とか「担保のため」などの質権の設定を示す文言を記載し、手形の交付を受けます。
質権者は、手形の振出人、裏書人など手形債務者に対し、手形上の権利を行使することができます。
隠れた質入裏書というのもあり、これは、実際は質入の目的をもちながら、形式上、譲渡裏書をすることをいい、この場合は手形関係の上では譲渡裏書として扱われ、当事者間だけで質入の関係となります。
手形を担保にとるときは、その手形の手形要件に欠けるところがないか、裏書は連続しているかなどを調べる必要があります。
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