手形の振出から支払・・・
手形を振り出すためには、原則として銀行などと当座勘定取引契約を結び、当座預金口座を開設して統一手形用紙を入手することが必要です。
法律上は統一手形用紙でなくても必要事項が記載されていれば有効とされますが、現実には統一手形用紙を用いていないものは決済されません。
銀行約定や手形交換所の規則においては銀行所定の用紙以外では手形金を支払わないとされており、統一手形用紙以外の用紙を用いた手形を受け取る人はいません。
約束手形の流れは次のようになります。
①山田工業が田中商会の商品を購入します。
②山田工業から田中商会に対し、手形を振り出します。
③田中商会は甲銀行に取立を依頼します。
④甲銀行は手形交換所を経由して、乙銀行に対し取立を行います。
⑤山田工業は乙銀行に、手形金額を預け入れます。
⑥乙銀行から甲銀行に支払がなされます。
⑦田中商会に手形金の支払がなされます。
振出人が統一手形用紙に署名して受取人に交付することを手形の振出しといいます。
手形の振出については、手形用法という一定の注意事項に沿って振り出さなければなりません。
これにより、振出人は記載された満期日に手形金を支払う義務を負い、受取人は満期日に手形金を受け取る権利を得ることになります。
振出された手形は、一定の支払日まで待って支払に代えられる場合と、満期前に他人に譲渡される場合があります。
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手形の裏書譲渡とは・・・
手形は、裏書をすれば第三者に譲渡ができ、手形の裏面に署名するだけで譲渡が可能になります。
譲渡によって、債務の支払に宛てることができます。
裏書人とは手形を譲る人、被裏書人とは手形をもらう人を指します。
譲渡人が手許にある手形の裏側に署名して譲渡するため、裏書譲渡と呼ばれます。
この手形を受け取った人は、さらにこの手形を第三者に譲渡することもできます。
裏書譲渡されるのは1回だけと限らず、さらに第三者に譲渡されることもあります。
手形の裏書には、被裏書人を記入する記名式裏書と被裏書人を記入しない白地式裏書があります。
記名式裏書をする場合、直前の裏書の被裏書人が次の裏書人になって裏書が連続していなければなりません。
もし連続していないのであれば裏書不備とされ、不渡りになったときに支払がなされなくなります。
手形の裏書人には振出人と共に手形金の支払義務が生じています。
通常は満期が来れば手形金が支払われ手形が振出人に戻ることで決済が終了しますが、振出人が不渡りになった場合、手形の受取人は手形の裏書人を信用して手形を受け取ったということで、手形の裏書人は支払に対して一定の責任を負うことになります。
裏書人が手形金を支払った場合には、手形金と引換えにその手形を受け取り、振出人や、裏書譲渡が繰り返されていれば、前の裏書人に対して手形を呈示し、手形金の支払を求めることになります。
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手形の決済の仕組み・・・
手形の手形金を支払ってもらうには、自分の取引金融機関に対して、支払金融機関に手形を呈示してもらう方法をとります。
金融機関としては、支払金融機関に手形所持人も口座を開設しているのであれば口座間の金銭残高移動ですませることができますが、実際には他の金融機関とのやりとりになることが多いため、手形交換所が設けられ、利用されています。
手形交換所は、全国の主要都市にあり、銀行や信用金庫、農協などの信用のある金融機関が加盟しています。
この加盟金融機関が一斉に手形を持ち寄って受け渡しをします。
法律上も、手形交換所での呈示を適法としています。
手形の決済は、実務上は金融機関同士が手形交換所に手形を持ち寄って決済する方法がとられます。
この際、取立て依頼されている総額と、取り立てられる総額を決済して差額を出し、その差額は交換じりと呼ばれ、各金融機関の日銀当座預金を経由して加盟金融機関同士の交換じりを互いに決済する仕組みになっています。
交換じりの決済が終了すると、金融機関は呈示された手形について、振出人の口座から手形金を引き落とします。
振出人の口座に手形金を支払えるだけの残高がなく、引き落としが不可能であれば手形の不渡りとなります。
不渡りが生じた場合は、支払い金融機関と取り立て金融機関から手形交換所に連絡がされ、手形交換所を通じて加盟しているすべての金融機関に不渡りの事実が連絡されます。
手形の不渡りを出した会社は金融機関からの信用を失い、取引が困難になり、6ヶ月以内に2回の不渡りを出すと銀行取引停止処分となります。
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