手形の裏書の保証人・・・

手形の裏書の保証人・・・

手形上の債務と手形が振り出される原因となった債務は、別のものと考えられ、例えば、商品の代金の支払のために手形を振り出した場合、その手形が流通すれば、手形所持人は振出人と受取人の間の契約とは無関係に支払呈示期間に手形の支払を求めることができ、保証人も支払義務を負うのが原則です。

ただし、手形所持人が売買契約の直接の相手方の場合、振出人が現金で代金を支払っていたり、商品を受け取っていないのに支払を求められた場合、振出人は支払を拒絶できます。

この場合、保証人も手形所持人の権利の濫用を主張して、支払を拒むことができます。

手形を保証する場合に、手形上に保証人の記載があることで、手形の信頼性を損なわせる可能性があるので、保証の目的で裏書をすることがあります。

これを隠れた手形保証といいます。

隠れた手形保証は、複数の裏書人で行うこともできます。

例えば、保証人として裏書人が2人いて手形の受取人がいる場合、この2人の裏書人の負担は2人であらかじめ定めている場合はその定めどおりですが、何も定めていない場合には半分ずつとなります。

手形が不渡になって、受取人が裏書人の2人のどちらかに手形金の支払を求めた場合、求められた人は、受取人に全額を支払わなければなりません。

受取人に全額を支払った方の裏書人は、共同で保証している裏書人に対して、分担の場合に応じた金額を請求できます。

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手形の共同振出人・・・

手形の共同振出とは、複数の振出人が共同して手形を振り出すことをいいます。

保証人や裏書人が手形保証をする場合、手形が不渡となったときに所持人に対して支払義務を負い、これは共同振出も同様です。

手形保証と共同振出との違いは、不渡処分となったとき、共同振出人それぞれも不渡処分を受けます。

これに対して、保証人や裏書人は不渡処分を受けることはありません。

共同振出をする場合、まず筆頭者である振出人が振出人欄に署名し住所を記載して押印します。

他の振出人は筆頭者の下や横に「振出人」という肩書きとともに署名し、住所を書いた上で押印します。

「振出人」という肩書きを書かなかった場合、その人が振出人なのか保証人なのか判断できません。

この場合の判例は、共同振出人とみなされることが多いようです。

手形の共同振出人は、保証人や裏書人よりも、筆頭者である振出人が不渡になると、同様に不渡処分を受けることなど責任は重いといえます。

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取締役と自社の手形取引・・・

取締役が自分の会社と取引を行うことを自己取引といい、会社が取締役に手形行為をする場合も含まれます。

手形行為とは、手形を振り出したり裏書譲渡することです。

自己取引の場合、会社と取締役との間は利益が対立する関係になり、会社としては、取締役が会社ではなく自分の利益を図るために取引を行うことを避けなければなりません。

会社は、取締役に対して手形行為を行う場合、取締役会の承認が必要であるとされており、取締役が他の会社の取締役を務めている場合も同様で、他の会社に対して手形行為をするには、取締役会の承認が必要とされています。

取締役会の承認がない状態で会社から取締役に振出された手形は、有効な手形とは認められないため、原則として会社に対して手形上の権利を請求することはできないのですが、手形所持人が取締役会の承認がないことを知らずに取引していた場合、そのような手形の所持人を保護するため、会社に対して権利を行使することも認められています。

取締役会の承認を得て振出された手形面上には、「取締役会承認済」という記載と会社の押印がなされているため、受け取るには確認する必要があります。

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