手形を偽造された場合・・・

手形を偽造された場合・・・

手形の偽造とは、手形の振出しや裏書などの権限を有しない者が、他人の署名押印を勝手に行い、他人名義の手形行為をして、その他人が手形行為をしたような外観を作ることをいいます。

偽造された本人は、自らが追認しない限り、偽造された手形については支払義務を負わないのが原則です。

しかし、一定の場合に本人が責任を負わなければならないことがあります。

例えば、印鑑を押した手形用紙が安易に他人に保管させていた場合や、手形用紙と印鑑を誰でも取り出せるようなところに保管していた、などの簡単に手形を偽造されてしまうような管理をしていた場合です。

また、偽造者が偽造された人の従業員であった場合、偽造された人は使用者としての責任を追及されることもあります。

支払前に偽造がわかった場合には、支払銀行に事故届を提出します。

支払銀行は、その手形が呈示されても支払を拒絶することになります。

警察には告訴状を出し、受理証明書を受け取っておきます。

不渡異議申立手続も同時に行い、不渡の発生を防ぎます。

偽造の場合、異議申立提供金を積む必要はないのですが、その手形が偽造されたものであることを証明する資料を添付する必要があります。

不渡処分が先に行われてしまった場合、不渡報告又は取引停止処分が偽造手形について行われたものであるとして、銀行より手形交換所に対し、その取消を請求することができます。

支払後に偽造がわかった場合、振出人から事故届が提出されておらず、支払拒絶事由がないため、支払銀行が偽造手形について支払を行なっています。

この場合は、振出人は偽造者に対して不法行為に基づく損害賠償請求をするか、偽造手形によって支払を受けた手形所持人に対して不当利得返還請求をすることになります。

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手形が変造された場合・・・

手形上の記載を有効に変更・抹消することができるのは、権限者本人だけで、手形上の記載に、無権限の他人が変更を加えることを変造といいます。

手形を変造することは「有価証券偽造罪」とされ、変造者は刑事責任を負うことになります。

また、その行為で損害を受けた者に対して民事上の損害賠償責任も負います。

振出人本人の責任ついて、本人が変造前に署名したような場合は、署名した時点での手形の記載内容にのみ責任を負い、変造によりその責任の内容が変わることはありません。

無権限者に記載内容の変更を許可した場合は、変造ではないので、変更後の記載内容についても責任を負うことになります。

また、本人が変造後に署名した場合は、変造後の記載内容について責任を負うことになります。

変造がわかった場合には、警察への告訴状の提出・受理証明書の受領、銀行への事故届・支払拒絶、手形交換所への異議申立手続をとります。

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白地手形の効力・・・

手形は、手形要件として定められた記載事項を欠くと、原則として手形としての効力がありません。

しかし、金額や支払日が手形交付の時点ではっきりしないようなとき、後日その手形要件を手形の取得者に補充させることを前提として、手形要件の一部若しくは全部を記載しないで、署名押印して交付する場合があり、これを白地手形といいます。

受取人を記載しなければ、譲渡の際に裏書をする必要はありません。

白地手形を振出した人が、後日他人に白地の部分を補充させる意思で、相手方に対して手形を振り出していた場合には、無効手形ではなく白地手形として扱われるものと考えられています。

振出された白地手形は、未完成な証券であり、内容が確定しておらず権利行使をすることはできませんから、支払呈示のときまでには、必要的記載事項を記載し、有効な手形にしておかなればなりません。

白地を補充しないで呈示した場合、実務上銀行は応じてくれるのですが、手形債務者に履行遅滞の遅延損害金の請求ができなかったり、裏書人の責任を追及することもできません。

白地手形を振出された人が、手形債務者の意思に反するような補充を行ってしまうこともあり、不当な補充がなされたことを知らず、あるいは知らなかったことについて重過失がない場合、手形債務者は補充内容に沿った支払をしなければなりません。

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