裏書手形を受け取る場合・・・
裏書手形を受け取る場合、次の点に注意が必要です。
①裏書禁止
裏書禁止手形として振り出されたものではないか。
裏書禁止手形は裏書譲渡できず、単なる記名債権となります。
②裏書欄
裏書人の記名・押印がされているか。
裏書人が法人の場合には、法人名・代表資格・代表者の氏名がすべて記載されているか。
③被裏書人欄
被裏書人の氏名、法人の場合は会社名が記載されているか。
記載されていなくても白地式裏書として有効です。
④支払期日
支払期日が過ぎていないか。
⑤裏書の連続
裏書は連続しているか。
裏書が連続していない手形は裏書不備で不渡りになります。
⑥裏書禁止裏書
裏書禁止裏書や無担保裏書ではないか。
裏書禁止裏書の手形をさらに裏書をすることはできますが、その際の被裏書人は、不渡りになった場合に自分の直接の裏書人にしか遡求することができません。
また、無担保裏書された手形の被裏書人は、その手形が不渡りになった場合、裏書人に遡求できません。
⑦有害的記載事項
有害的記載事項はないか。
「商品納入後・・・」「分割払い」などと書かれていると裏書は無効になります。
⑧その他
裏書の日付と裏書人の住所が記載されているか。
これについては、記載がなくても裏書自体は有効です。
日付が記載されている場合には、振出日と前後していないかどうか。
振出人と裏書人に資金力があるか、法人の場合は代表資格を持っている人が署名しているか。
「拒絶証書不要」の文句が削除されていないか。
融通手形でないかどうか。
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白地手形を受け取る場合・・・
手形要件の一部が記載されずに空白になっている手形は、無効になるのが原則です。
しかし、実際には、振出日や受取人が記載されていない手形を受け取ることもあります。
この手形を白地手形といいます。
そして、振出日、受取人、支払期日、金額の4つについては白地のまま振り出しても有効とされています。
白地手形は、そのまま譲渡できますが、銀行に取立委任するときには白地部分を補充しなければなりません。
白地を補充する権限は、白地手形を所持している者に与えられています。
白地手形を補充する場合には、振出人との約束どおりに記入しなければなりません。
例えば、金額が150万円か100万円か確定していないが、とりあえず手形を振り出しておいて、金額が確定した時点でその日から60日後を支払期日とし、受取人が金額と支払期日を記入する、という約束だったのに、受取人が金額を200万円にしたり、支払期日を30日後にするというように約束違反をすると補充権の濫用で支払いを拒否できます。
しかし、白地のまま善意の第三者にわたった場合は、振出人は支払いに応じなければなりません。
何かの事情で金額白地のまま振り出すには、「裏書禁止」と記載して第三者へ譲渡されないようにする必要があります。
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手形の裏書の連続確認とは・・・
裏書が連続してる手形の所持人は、適法な所持人と推定され、手形を所持しているだけで手形上の権利を行使できます。
裏書が連続していない手形を取立に回すと、銀行は裏書不備という理由で支払いに応じてくれません。
何人もの裏書がある手形は、裏書の連続があるかどうか確認してから受け取る必要があります。
裏書の連続がない手形の権利を行使する所持人は、不連続部分について実質的な権利移転があったことを立証しなければなりません。
裏書の連続を判断する場合、受取人が第1裏書人で、以下それぞれの被裏書人が次の裏書人になっていれば、問題ありません。
この連続さえ整っていれば、途中の裏書が偽造、架空の会社の裏書があっても有効です。
例えば、第3裏書人の被裏書人が「佐藤良夫」で、第4裏書人が「株式会社佐藤製作所 代表取締役 佐藤良夫」になっている場合には、連続しているとみなされません。
個人と法人では人格が異なるからです。
白地式裏書の場合、裏書の連続が問題になるのは受取人と第1裏書人の間だけです。
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月6日 拒絶証書不要 住所 東京都杉並区******* |
被裏書人 鈴木産業株式会社 連続 殿 |
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月10日 拒絶証書不要 住所 東京都中野区******** |
被裏書人 田中製作株式会社 不連続 殿 |
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月15日 拒絶証書不要 住所 東京都練馬区******** |
被裏書人 佐藤良夫 不連続 殿 |
表記金額を下記被裏書人または指図人へお支払ください 平成23年 1月18日 拒絶証書不要 住所 東京都世田谷区******* |
被裏書人 殿 |
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