手形の呈示の流れ・・・
手形金の支払は、満期日に手形が振出人に呈示されることで行われますが、このとき手形の所持人が手形を呈示するのは自分の取引銀行になります。
手形所持人が手形を持参して支払銀行に直接出向けばよいのですが、支払銀行が遠隔地にあることもあり、取引銀行に取立てを依頼することになるのです。
手形所持人が取立てを依頼する銀行は、所持人が普通口座を設けていたり当座勘定取引契約を結んでいる取引銀行です。
取立てを依頼するためにには、あらかじめ手形の裏面に記名押印し、「取立委任のため」と記載しておかなければならず、これが取立委任裏書又は譲渡裏書といいます。
手形所持人は裏面に取立委任の文句の書かれた手形を満期日前に取引銀行へと持ち込み、その手形を預かった取引銀行が代理人となって手形金の取立てをしてくれます。
手形所持人が取立てを依頼した銀行は、手形交換所を通じてその手形に記載されている支払銀行へと手形を呈示します。
手形の呈示は、満期日及びそれに次ぐ2取引日以内にされることになっています。
手形所持人の取引によって呈示された手形が不渡であった場合、呈示を受けた手形交換所は、その手形の振出人が不渡を出したことを各銀行へ通達することになります。
手形の振出人は、6ヶ月間に2回の不渡を出すと、2年間の銀行取引停止処分を受けることになります。
手形が不渡りでなければ、取立てを依頼された手形金は、手形所持人であった受取人の普通口座に振込まれます。
不渡になった場合には、振込はなく、支払期日の翌営業日が不渡通知時限なので、それまでに不渡通知が来ることになります。
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白地手形の支払呈示・・・
手形の振出人欄に押印する印鑑は、手形法では定めがなく、認印でもよいことになっていますが、銀行は銀行印でなければ受け付けてもらえません。
逆に、受取人欄と振出日欄の白地の手形は、銀行では有効ですが、判例では振出日欄や受取人欄が白地の手形は不完全な手形として扱われるので、白地未補充のままの呈示は有効な支払呈示とは認められないとされています。
銀行取引の場合は、手形の振出日欄が白地であっても、満期日になると、取立てに応じて手形金を支払ってくれます。
しかし、裏書人の場合、自分が裏書した手形が不渡になっても、手形に白地の部分があって不完全な手形であれば、それを理由に責任を回避することができるのです。
手形所持人が手形の責任を裏書人に追及しようとするには、白地部分を全部補充して満期に呈示することが必要なのです。
白地手形による支払呈示
↓
判例では、有効な支払呈示とは認めない
↓
銀行では、支払の応じる
↓
裏書人に対する遡及権は確保できない
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支払呈示期間に呈示しなかった手形・・・
手形の支払期間は、満期日及びこれに次ぐ2取引日と決められており、もし満期日が土曜日や日曜日、祝日の場合は、その翌日である満期日に次ぐ平日が新たに満期日となり、呈示期間は満期日から銀行休業日を数えずに3日間となります。
金 | 土 | 日 | 月 | 火 | 水 |
満期日 ○ |
× | × | ○ | ○ | |
満期日 × |
× | ○ | ○ | ○ | |
満期日 × |
○ | ○ | ○ | ||
満期日 ○ |
○ | ○ |
手形金が支払われるためには、この支払呈示期間に、手形交換所を通じて支払銀行に手形が呈示されなければなりません。
手形を呈示する目的は、手形の振出人に対し、現在の所持人を知らせ、振出人が支払を拒否したときに、現在の所持人より前に手形を所持していた裏書人などに対して担保責任を追及できるようになります。
一覧払手形の場合、満期が手形面上定まっていないので、呈示することによって満期が確定することになります。
手形所持人が支払呈示期間内に呈示しない場合、支払場所とされている金融機関の店舗ではその手形を取り扱ってもらえなくなります。
この場合、振出人の営業所若しくはその住所地で手形を呈示しなければなりません。
自分の取引銀行でも取り立ててもらえますが、それには支払銀行の確認や振出人の承諾がなければ、支払は拒絶され、不渡として扱われます。
この不渡は、所持人が支払呈示期間内に呈示しなかったことにあるので、振出人に対して責任を問うことはできず、また、裏書人に対しても責任を追及できません。
しかし、このような手形でも手形自体は法的に有効とされ、手形の満期日から3年間は時効にならず、請求できます。
呈示期間経過後として手形が手許に戻ってきた場合、直接振出人に支払の請求をし、それでも振出人が支払を拒否した場合は、この3年間以内に手形訴訟を起すことになります。
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