手形の有害的記載事項・・・
無益的記載事項や有益的記載事項の他に、有害的記載事項というものがあります。
これは統一手形用紙に記載すると手形自体が無効になってしまうものです。
手形は、一定の金額を支払う約束のみを記載するものですがから、「請負工事の完了を条件として支払う」「分割で支払います」などと、支払の条件を設定するような記載をすることはできないのです。
「商品を手渡されることを条件として手形金を支払う」などと、振り出しの原因となった取引を手形金支払の条件とするような記載も手形を無効にしてしまいます。
手形が無効のものであるとわかっていても、いったんそれを受け取ってしまうと、手形の支払請求権がなくなってしまい、売買代金や借金支払など、もともとの債権に対する請求になってしまいます。
また、手形が不渡りになった場合の損害金の支払に関するもので、「不渡りになれば年率**%の損害金を支払う」という記載をしても、商法で手形金の不払いについての遅延損害金は年率6%と定められていますので、手形上はこの文言の効力は認められず、当事者以外の手形所持人は年率6%の遅延損害金しか請求でません。
ただし、当事者間であれば、手形の効力としてではなく、契約の効果として定めた遅延損害金を請求できます。
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手形の印紙額と貼る義務
手形金額10万円以上の手形には、印紙を貼る必要があります。
印紙の金額は、手形金額に応じて印紙税法によって定められており、貼った印紙には消印を押すことになっています。
手形は課税対象の文書とされていますので、手形金額によって貼る印紙の額も違い、次のようになります。
記載金額 | 税額 |
10万円未満のもの | 非課税 |
10万円以上 100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え 200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え 300万円以下のもの | 600円 |
300万円を超え 500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え 1,000万円以下のもの | 2,000円 |
印紙を貼らなかった場合、印紙額の3倍の罰金、印紙に消印を押さなかったときは印紙額と同額の罰金となります。
印紙は原則として振出人が貼ることになっており、金額欄が白地の手形の場合、金額を記入した人が手形の作成者とされ、印紙を貼らなければならなくなります。
受け取った手形に印紙を貼っていない場合、裏書人や手形の保持者が印紙を貼れば、後で振出人に請求できるとされています。
裏書人や保証人が、振出人よりも先に金額が記入されている手形に署名してしまってときは、先に署名した裏書人や保証人のほうで印紙を貼らなければなりません。
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手形の保証人の義務・・・
手形の振出人や裏書人が手形金額を支払えないときのために、保証人がつけられることがあり、振出人や裏書人の保証人は、振出人や裏書人の手形金の支払について、同等の責任を負います。
振出人や裏書人の保証人となる場合、手形面上に「保証人」という肩書き、保証人の署名・住所・押印、被保証人の名前を書きます。
被保証人とは、保証人が支払を保証する振出人や裏書人のことです。
また、保証する手形金額についても、全額を保証するのか、その一部を保証するのかを明らかにします。
例えば、「手形金額の半額」「手形金額のうち**円分」など金額を定めることができます。
保証人は、手形面上に記載した金額について、被保証人の責任を負うのが原則ですが、金額を記載していない場合は、手形金額全額についての支払義務を負います。
振出人の保証人が「保証人」の肩書きを書かなかった場合には、共同振出人とみなされ、振出人としての義務を負います。
保証人は手形の不渡りになっても不渡処分を受けませんが、振出人とみなされますと不渡処分を受けてしまうのです。
被保証人の記載がない場合、裏書人の保証人であったとしても振出人の保証人であるとみなされます。
振出人の保証人は、振出人より先に支払請求されても拒めませんが、支払呈示期間に呈示されていない手形金の場合、裏書人の保証人には支払義務がありません。
振出人が呈示された手形金を支払わない場合、裏書人の保証人にも支払義務が生じます。
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