為替手形とは・・・
為替手形とは、ある人が、債権と債務を別々の人に対して持っている場合に、債権者を受取人、債務者を支払人として振り出す手形のことです。
AがCに対して100万円の借金があり、Bに対しては100万円の貸しがあるとします。
Aは、Cを受取人、Bを支払人とする100万円の手形を振り出して、Bに引き受けてもらってCに渡します。
この手形を受け取ったCは、支払人であるBから手形金を取り立てることになります。
為替手形は、約束手形の代用としても債権の取立に利用されます。
例えば、AがBに対して持っている100万円の債権を、Bが支払わない場合に、Aは受取人をA自身にして手形金額100万円の為替手形を振り出し、これをBに引き受けさせて支払期日に取り立てるようにです。
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為替手形の要件とは・・・
為替手形の要件は次になります。
①為替手形文句
為替手形であることを示す文句で、統一為替手形用紙に印刷されています。
②手形金額
支払う金額を記載します。
③支払委託文句
「**殿またはその指図人へこの為替手形と引替えに上記金額をお支払ください」という文句が印刷されています。
④支払人
支払人の住所は要件ではありませんが、あると引受提示の際に便利です。
⑤支払期日
金額と支払う年月日を記載します。
⑥支払地
支払人の取引銀行がわからなければ記載しません。
この記載がなく、支払人の住所が記載されている場合は、そこが支払地とみなされます。
⑦受取人
手形を受け取る人の氏名または法人名を記載します。
⑧振出日
振り出した年月日を記載します。
⑨振出地
記載がなくても住所が記載されていれば、そこが振出地とみなされます。
⑩振出人
手形の振出人が署名または記名・押印します。
印は銀行届出印で押印します。
為替手形の任意的記載事項は次になります。
⑪支払場所
支払地と同じで、引受人がどこで支払うかわからないので印刷されていません。
⑫拒絶証書作成免除文句
「拒絶証書不要」という文句が印刷されています。
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為替手形の引受とは・・・
為替手形要件では、統一手形用紙の引受欄について何も言っていません。
ですので、支払人が引き受けの記名・押印しなくても有効なのです。
引受欄に支払人の記名・押印のない為替手形を受け取った場合には、支払人に支払い義務を負わせるため、手形を見せて、引受のための記名・押印してもらう必要があります。
これを引受呈示又は引受のための呈示といいます。
引受呈示は、手形の所持人或いはその代理人が、支払期日の前日までに支払人の住所か営業所で行います。
引受呈示を受けた支払人は、その場で諾否を決めずに、翌日もう一度呈示してもらうよう要求できます。
この呈示によって支払人が引受ければ、その手形の信用は増します。
引受呈示をする前に裏書をすることもできます。
しかし、引受を拒否されたら、支払期日まで待ってもその手形が決済される可能性はないので、その場合、所持人は支払期日前でも振出人や裏書人に遡求できます。
統一為替手形用紙の表面に「拒絶証書不要」と印刷されているので、これが抹消されていない限り、公証人に引受拒絶証書を作成してもらう必要はありません。
引受呈示は所持人の義務ではありませんが、振出人や裏書人が義務付けている旨を記載しているのに怠った場合は、引受拒絶による振出人への遡求権、支払拒絶による裏書人への遡求権を失います。
振出人は引受呈示を禁止したり、その呈示期間を指定することができます。
引受禁止の記載があるのに引受呈示をして拒絶した場合は、所持人は引受拒絶による遡求を認められません。
ただし、一覧後定期払いの手形は支払期日を決める必要があるので、引受呈示を禁止する事はできません。
この場合は、振出日から1年以内に呈示する必要があります。
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為替手形の引受人の責任とは・・・
為替手形の引受欄に記名・押印すると、引受という行為をしたことになり、約束手形の振出人と同じく、手形金の最終的な支払い義務を負うことになります。
したがって、支払期日に支払わないと不渡りになります。
受取人は、約束手形と同じように裏書譲渡することができます。
また、為替手形が不渡りになった場合には、為替手形の所持人は、振出人や自分より前の裏書人に遡求出来ます。
しかし、所持人が遡求権を行使するには、呈示期間内に銀行に取立委任していなければなりません。
この遡求権の時効は、支払期日から1年です。
遡求を受けた振出人は、その義務を果たして手形を受け戻せば、引受人にその金額を請求できる再遡求権を取得できます。
なお、為替手形帳の表紙の裏に印刷された為替手形法は、ほとんど約束手形法と同じですが、「手形のお振出しにあたっては、支払人が金融機関と当座取引があることをできるだけ確かめてください」とあるのは、原則として、当座勘定をもっていない者を支払人にすることもできますが、手形の信用を維持するために、不渡り処分という制裁の対象になる者を支払人にするのがよりよいという意味です。
荷為替手形とは・・・
手形上の権利のほかに、運送している商品の引渡請求権を持つ運送証券によって担保されている為替手形を荷為替手形といいます。
この手形はおもに遠隔地にいる者との売買、とくに輸出入の決済に利用されています。
輸出業者は、運送業者に商品の船積みをしてもらって船積書類を受け取り、輸入業者を支払人とした為替手形を振り出します。
この手形に船積書類を添付して取引銀行に輸入業者からの取立を依頼します。
銀行は、輸入業者が居住する国の支店又は自行の取引銀行に、手形と船積書類を送付して取立を依頼します。
輸入業者は手形金の支払いと引替えに船積書類を受け取り、それを運送業者に呈示して商品を引き渡してもらいます。
外国為替取引銀行による荷為替手形の取扱は、輸入業者が手形を決済した後に輸出業者に手形を支払う方法と、荷為替手形を割り引いて手形上の権利者として取り立てる方法があります。
後者の場合には、輸入業者の取引銀行が、輸入業者に代わって手形の引受や支払いを保証する意味で、信用状を発行して輸出業者に送付して、輸出業者がその信用状を船積書類とともに、自分の取引銀行に渡して割引きを受けるのが一般的です。
信用状とは、「輸入業者の依頼によって、信用状の発行銀行が、信用状の受取人又はその指図人に対して信用状の条件が満たされている限り、船積書類と引替えに代金支払いを保証する」ことを約束したものです。
輸入業者は信用状を開設するために、商業信用状約定書、信用状開設申込書、信用状開設依頼書の3つの書類を銀行に差し入れる必要があります。
銀行は、これらの書類の内容・条件にしたがって信用状を開設します。
荷為替手形が不渡りになった場合、振出人である輸出業者は、割り引いてもらった手形を買い戻さなければなりません。