夫の飲み代の妻の支払義務・・・

夫の飲み代の妻の支払義務・・・

酒好きの夫が飲んだスナックの高額な飲み代を、妻の私に請求してくるのですが、妻に法律上支払う義務があるのでしょうか。

結婚生活を維持していくためには、婚姻に必要な費用がかかり、民法760条は、このことに規定しています。

(婚姻費用の分担)
民法第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

例え夫婦が別居中であっても、生活費と婚姻費用は分担すべきだとしています。

判例では、「夫と妻が共同生活において財産収入、社会的地位等に相応した通常の生活を維持するに必要な生活費は、これを760条にいわゆる婚姻から生ずる費用というべきであり、各自の生活費や子の養育費も含まれ、夫婦が別居生活に入っても離婚しない限り、右相当程度の各自の生活費や子の養育費は婚姻費用とみるべきである」としています。

民法761条では、日常の夫婦の生活から生ずる家事にわたる債務は、お互いに連帯責任があることを規定しています。

(日常の家事に関する債務の連帯責任)
民法第761条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

判例では、「民法761条は、その前提として、夫婦は相互に日常の家事に関する法律行為につき他方を代理する権利を有することを規定していると解するのが相当であるが、夫婦の一方が右のような日常の家事に関する代理権の範囲を超えて第三者と法律行為をした場合は、第三者が日常家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずることにつき正当の理由あるときにかぎり、民法110条の趣旨を類推適用して第三者の保護を図れば足りる」としています。

(権限外の行為の表見代理)
民法第110条 前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

日常の家事に関する法律行為とは、一般の家庭生活を維持継続していくために必要と思われる、食品や衣料など生活に関係のある法律行為といえます。

ですので、スナックで夫が飲んだ酒代は、日常の家事に関するものとして、妻に対して連帯債務となるとは到底考えられません。

また、高額な飲み代を請求されるようなスナックでの支払い債務を妻が支払う義務はないといえます。

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女の離婚直後の婚姻・・・

前の夫と離婚でき、すぐにでも付き合っている男性と結婚したいのですが。

結婚したくても法律で制限されている場合があります。

婚姻適齢である男は満18歳、女は満16歳に達していなければ、婚姻することはできません。

また、重婚を禁止していますから、配偶者のある者が重ねて婚姻することはできず、誤って重婚が成立すると、取消されます。

近親婚も禁止され、一定範囲の近親は優生学上若しくは道義的な配慮に基づいて、婚姻が禁止されます。

未成年の婚姻には、父母の同意が必要とされていますが、一方の同意が得られれば、他の一方の同意が得られなくてもよいとされます。

女が再婚するには、前婚の取消とか解消の後、6ヶ月を待たなければなりません。

6ヶ月待たなければならない理由は、前後の婚姻が接近していると、前婚消滅後300日以内で、後婚成立後200日以後に子供が生まれることがあります。

そうすると、子の父親を推定する民法の規定が、矛盾するからです。

(嫡出の推定)
民法第772条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2  婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

しかし、前婚の懐胎子を生んでしまえば、その時からは再婚期限の制限はなくなります。

また、前婚による懐胎がありえない場合、例えば、夫が3年以上生死不明であったために離婚したような場合には、再婚期限を待つ必要はないのです。

この要件を欠く婚姻届が誤って受理された場合にも、前後両婚の当事者、親類、検察官の請求で取消されることがありますが、前婚の終了後6ヶ月を経過したり、後婚による懐胎があれば、取消しの訴えはできません。

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子供の学費を払わない婚姻費用分担・・・

夫が会社の女事務員と同棲して、大学受験を控えている息子と高校生の息子の学費を出さなくなったのですが。

まずは、妻が家を出た夫と話し合いをして、家に戻ってもらう努力をしなければなりませんが、それができない場合には、家庭裁判所に夫婦間の調整の調停の申立をしてもらうこともできます。

この調停が不調に終わるようでしたら、離婚を請求し、財産分与、慰謝料、養育費の請求、夫の相手になっている女性に対して慰謝料を請求することになります。

成年に達しない子は、父母の親権に服すると民法で規定され、親権は父母の婚姻中は父母が共同して行うことになっています。

(親権者)
民法第818条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

(監護及び教育の権利義務)
民法第820条 親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

未成年の2人の子供に対しては、母親も父親も共に親権者として、教育する権利と義務を有しており、また子の監護義務を負うことになります。

学費を出さない父親に対しては、家庭裁判所に学費を出させる旨の婚姻費用の分担請求の調停を申し立てることができます。

父親に親権の濫用と思われる行為や不行跡がある場合には、親権喪失の宣告を家庭裁判所に求めることができます。

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