特別養子と普通養子の違い・・・

特別養子と普通養子の違い・・・

特別養子とは、法律上実親との関係を消滅させ、養親との間に実の親子と同様な関係を形成する養子のことをいいます。

普通養子では、養子となっても実親との法律関係はもとのまま残り、養親と実親との二重の親子関係ができます。

特別養子は、子供の幸せのために必要な場合に、実親との親子関係を断ち切ってこれを安定させるとともに、法律関係が複雑になって紛争が生ずるのを防ぐ目的があります。

特別養子が成立しますと、特別養子が養親の嫡出子たる身分を取得し、縁組成立のときから、特別養子と実方の父母及びその血族との親族関係が終了することになります。

(実方との親族関係の終了)
民法第817条の9 養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。ただし、第817条の3第2項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。

また、特別養子の戸籍の記載は、子の福祉のため、一見しただけでは養子であることがわからないようにされています。

戸籍の届出がされますと、原則として、実親の本籍地に特別養子の単身戸籍が編製され、特別養子はこの単身戸籍から養親の戸籍に入籍し、単身戸籍は除籍となります。

特別養子は離縁することができません。

ただし、例外があり、家庭裁判所は、次の理由と事由があって、養子の利益のために、とくに必要があると認めるときは、養子、実父母、又は検察官の申立により、審判で当事者を離縁させることができます。

①養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由

②実父母が相当の監護をすることができる場合

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婚姻期間中の不貞行為の妊娠・・・

妻の不貞行為によって生まれた子は、婚姻中懐胎した子というだけの理由で夫婦間の嫡出子としなければならないかが問題となります。

(嫡出の推定)
民法第772条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2  婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

夫が親子関係を争う場合には、夫に妻を妊娠させる機会があったが、出生した子は妻の不貞によって生まれたと考えられる場合と、夫には全く妻を妊娠させる機会がなかった場合があります。

前者の場合、夫である父親のみが子の出生を知った時から1年以内に親子ではないという訴えを起こさなければ、親子関係は争えなくなり、また、夫が子の出生後においてその子を嫡出子だと承認したときは、親子ではないという訴えを起こせないとされており、これを嫡出否認の訴えといいます。

(嫡出の否認)
民法第774条 第772条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。

(嫡出否認の訴え)
民法第775条 前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。

(嫡出の承認)
民法第776条 夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う。

(嫡出否認の訴えの出訴期間)
民法第777条 嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から1年以内に提起しなければならない。

後者の場合、夫が妻を懐胎させることができなかったということがはっきりしているので、婚姻中に懐胎した子は夫婦間の嫡出子とみなすという嫡出推定の適用は受けないとされます。

この場合は、訴えを起す期間や、訴えを提起する人には制限がなく、利害関係のある人ならば誰でも訴えを起こせ、これを親子関係不存在確認の訴えといいます。

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婚姻関係にない子の認知・・・

民法では、嫡出でない子とその父との間では認知という要式行為によってのみ法律上の親子関係を認めるたてまえとなっています。

(認知)
民法第779条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

嫡出でない子とは、婚姻関係にない男女から生まれた子をいいます。

認知には、父がいつでも自ら進んで自分の子であると認める任意認知と、父が任意に認知しないときに、子、その直系卑属又はそれらの法定代理人が、父を相手とする訴えによって父子関係を確定することができる強制認知があります。

(認知の訴え)
民法第787条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、この限りでない。

強制認知の場合、子が訴えを起こせるほど成長していないなら、子の親権者である母が、子に代わって父親に対し認知の調停・審判の申立を提起します。

この認知の申立は、いつ行ってもよいのですが、父親である男が死亡すれば、その日から3年経てばできなくなりますが、死亡より3年以内ならば、検察官を相手として認知の裁判を申し立てることができます。

認知が裁判によって認められたなら、10日以内に裁判の謄本をつけて市町村長に届け出ます。

認知が認められたならば、子は出生の時からその父との間に親子関係があったものとされ、扶養・相続の関係のあったことになり、将来の養育費や認知されるまでに母親が養育するのに費やした費用も請求できることになります。

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