内縁の夫の交通事故死で損害賠償・・・

内縁の夫の交通事故死で損害賠償・・・

事実上離婚状態の法律上の妻がある夫と内縁の関係にあったのですが、夫が交通事故で乗用車に追突され、事故死し、加害者に損害賠償を請求したいのですが。

自動車損害賠償保障法によりますと、自己のために自動車を運行の用に供する者である運行供用者は、次の全てを立証しない限り、損害賠償責任を免れることはできません。

①自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと

②被害者又は運転者以外の第三者に過失のあったこと

③自動車の構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと

(自動車損害賠償責任)
自動車損害賠償保障法第3条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

また、このほかに民法の規定が適用され、損害賠償の内容として、精神的損害として慰謝料請求権、生命侵害の場合に父母・配偶者及び子の損害賠償請求権が認められます。

(財産以外の損害の賠償)
民法第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

(近親者に対する損害の賠償)
民法第711条 他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。

これらについて、内縁の配偶者に認められるかについて、裁判所は、生命侵害による慰謝料の請求につき、これを認めています。

しかし、法律上の婚姻関係にある配偶者がいる人と内縁関係にある場合には、重婚的内縁関係といいます。

この場合には、法律上の配偶者いますから、生命侵害による慰謝料請求権は配偶者にあるといえます。

では、重婚的内縁関係の配偶者には慰謝料請求権がないのかといいますと、重婚的内縁関係が、通常の内縁関係といえるような場合には、慰謝料請求権を認めており、次のような場合に、通常の内縁関係といえます。

①法律上の婚姻関係がその実質を失い、事実上の離婚状態になっていること

②第二の異性との間に実質を伴った内縁関係が社会的事実として成立していること

③第二の異性が、相手に法律上の配偶者があることを知らず、あるはこれを知っていてもそれとの離婚が近く実現し、自分が正式の配偶者になれるものと信じていたこと

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強姦された妻と夫の法的手段・・・

妻が仕事の帰りに、顔見知りの男に強姦されたのですが、妻や夫に法律上どんな手段がとれるでしょうか。

刑事上の強姦罪は、暴行又は脅迫をもって13歳以上の婦女を姦淫した者は、強姦の罪となり、2年以上の有期懲役に処せられます。

(強姦)
刑法第177条 暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

暴行又は脅迫とは、相手方の自由意志を抑圧し、犯行を著しく困難にさせるものであることを要し、また、暴行は被害者に向けられたものであることを要します。

ただし、強姦罪の訴追は、輪姦の場合と致死傷の結果が生じた場合とを除き、親告罪といって、被害者などの告訴を必要とします。

告訴は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員に対してしなければならず、また、親告罪の告訴は、犯人を知った日から6ヶ月以内に行われなければなりません。

また、民事上として、強姦のように暴行・脅迫を伴う性交渉はもちろん、その他、詐術・地位の濫用などを伴った性交渉も相手の貞操を侵害する不法行為となり、損害賠償を請求することができます。

既婚者に対する強姦は、当人自身に対する不法行為であるだけでなく、夫に対する不法行為にもなります。

裁判所は、妊娠中の妻が強姦された事例について、その妻と夫にそれぞれ強姦者に対して慰謝料請求を認めています。

また、強姦された妻とその夫が慰謝料を請求した上さらに、名誉回復のための謝罪広告を求めた事例については、「被告等の不法行為により、その妻が精神上の苦痛を感じ、かつ名誉を毀損せられたとなす以上は、被告等において、その妻の精神上の苦痛を慰めるため、慰謝料の支払いをなすべき義務がある」として慰謝料を認めています。

ただし、夫の名誉毀損による慰謝料請求並びに謝罪広告の請求については、これを認めませんでした。

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浮気した妻と相手の男へ制裁・・・

浮気をした妻に対する制裁と、相手の男に対して損害賠償を請求することはできるでしょうか。

民事上、不貞行為を理由として、妻に対して離婚を請求し、慰謝料を請求することができます。

(財産以外の損害の賠償)
民法第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

また、相手の男について、婚姻届をした法律上の妻と知りながら、不貞行為を行うことは、夫権の侵害の不法行為となり、男は夫に対して損害賠償する義務を負います。

これは、婚姻の届出がなされていない内縁の妻と通じた男についても同じで、内縁の夫に対して賠償責任を負わなければなりません。

戦前の事例ですが、内縁の夫が出征中に、隣家の男が内縁の妻と姦通し、一子をもうけたために、内縁の夫が精神上の苦痛を受けたとして、隣家の男に対して、損害賠償を請求した場合について、裁判所は、内縁の妻と通じた男について、夫への賠償責任を認めています。

夫が他の女と姦通した場合の事例として、夫が家出して、雇われた先の女主人と情交関係が生じて同棲した場合について、夫婦は互いに貞操義務を負うので、夫の姦通は妻の権利を侵害するとして、夫とその女の両者が共同で賠償義務を負うとする判決があります。

この場合にも、妻は夫に対して離婚を請求することができ、また、内縁の夫婦の場合も同じです。

不貞行為を行った妻を許し離婚をしなかった場合でも、相手の男に対する損害賠償請求はできるとされています。

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