実子でない子の虚偽の出生届・・・

実子でない子の虚偽の出生届・・・

実子でない子を、虚偽の出生届をして育ててきたが、後日になって親子の縁を切れるかについて、判例は、虚偽の出生届に対しては、真実の親子関係が存在していない以上特別の条件のある場合を除いて無効としています。

この場合、親子関係不存在確認の訴えで、容易に親子関係を否定することができます。

家庭裁判所に親子関係不存在確認の調停を申し立てて、関係者で合意に達すれば審判が出されます。

関係者の間で合意が成立しなければ、地方裁判所に訴えを提起することになります。

また、養子と養親との仲が円満にいっており、誰からみても親子と見える場合でも、親子関係不存在の訴えは利害関係人のある人なら誰でも容易に提起できますので、円満な家庭を壊すことになります。

判例では、虚偽の出生届に養子縁組への転換の効力を認めたものがあり、親子関係の不存在が確認されても養親子関係は残ることになる場合もあります。

また、学説では、自ら親子として出生届をしておきながら、後日になって、不都合が生じたからといって、自らの行為の虚偽を主張して一切の親子関係を否定することは許されないとする、と主張しているものもあります。

このような虚偽の出生届は、刑法上の「公正証書原本不実記載罪」となります。

(公正証書原本不実記載等)
刑法第157条 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
3 前2項の罪の未遂は、罰する。

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妻の連れ子の氏の変更・・・

妻の連れ子の氏を、再婚した現在の夫の氏に変えたいのですが。

15歳未満の子と父又は母の氏が異なっている場合は、その子の法定代理人が本人に代わって、家庭裁判所の許可を得ることによって、子は父又は母の名を名乗ることができます。

(子の氏の変更)
民法第791条 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
3 子が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前2項の行為をすることができる。
4 前3項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から1年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。

子が、父又は母と氏と違う場合は、次の場合があります。

①父母が離婚した場合、復氏した方の親の氏と子の氏

②父母の一方の死亡後、復氏した親の氏と子の氏

③親が連れ子をして相手方配偶者の氏を称する再婚をした場合の親の氏と子の氏

④父母が養子となる縁組をした場合、その父母の氏と縁組前に出生している子の氏

⑤養子である父母が離縁して復氏した場合の、親の氏と縁組後出生した子の氏

⑥認知された子の氏と父の氏

幼児である連れ子の氏を、夫の氏に変えるには、母が法定代理人として家庭裁判所に子の氏の変更許可申立を行うことになります。

また、戸籍筆頭者である現在の夫の同意や承諾は必要ではありません。

申立許可の審判があると、その謄本を添えて、子の本籍地又は所在地の市町村役場に届け出れば、夫婦の籍に入り、現在の夫を同じ氏を名乗ることになります。

しかし、このように子の氏を変更するだけでは、現在の夫と子は親子ではなく、氏が同じだけなので、親子関係を発生させて、なおかつ氏を同じにするには、養子縁組をすればできます。

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甥との養子縁組に配偶者が反対・・・

夫が亡くなり、子供もいないので甥に養子になってもらおうと思っているのですが、甥の妻が反対していますので、甥だけでも養子にしたいのですが。

夫婦共同縁組とは、配偶者のある者が養子縁組を行う場合と、配偶者のある者を養子とする場合をいいます。

従来は、それぞれの配偶者の同意が必要で、配偶者とともに縁組しなければなりませんでした。

現行の民法では、配偶者のある者が縁組するには、養親となる場合又は養子となる場合を問わず、その配偶者の同意を得なければならないとされます。

配偶者の同意を要件として、個別縁組ができます。

配偶者の同意を要件としたのは、一方が行った個別縁組によって他方にも姻族関係、相続、扶養、氏などに影響が及ぶからです。

ただし、配偶者とともに縁組する場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この同意は不要となります。

(配偶者のある者の縁組)
民法第796条 配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。

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