重婚的内縁の不当破棄の判例・・・

重婚的内縁の不当破棄の判例・・・

花子は妻子もちの太郎から妻と離婚すると言われ、太郎と肉体関係を結び、その後30年間、花子と太郎は、花子が建てた家に一緒に住んでいましたが、その間花子は太郎の子を出産し、太郎はその子を認知しました。

太郎は妻との間にも子供がいましたが、太郎と妻との間は既に破綻しており、花子と太郎が同居生活を始めてから20年ぐらい経過した後に太郎は妻との間で離婚届を渡していました。

太郎は花子に対し、今まで支払ってきた生活費を支払わなくなり、花子と太郎との間は完全に破綻してしまいました。

花子は太郎に対し、太郎が結婚を餌に花子を利用し、花子の一生を踏みにじったとして内縁関係の不当破棄を理由に損害賠償を請求しました。

裁判所は、太郎に妻がいる場合、花子と太郎との関係は重婚的内縁関係であるが、太郎とその妻との間の婚姻関係がすでに破綻し形骸化している場合には、花子に対し相応の保護が与えられるべきで、太郎が内縁を不当に破棄したとして、期間が長期間であることと太郎が内縁の破棄について一方的な責任があるということで1000万円の慰謝料を支払うよう命じました。

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養子縁組した養女と結婚・・・

夫婦で妻の姪を養女として育てていたのですが、妻が死亡し、夫と養女との生活になり、夫と養女は男女の仲になってしまい、養女が夫の子を妊娠してしまいました。

生まれてくる子のために結婚したいのですが。

養子縁組をしますと、その縁組届出が行われた日から養子と養親の間に、法定の親子関係が生ずることになり、法律上は、嫡出の実子と同じ扱いを受けます。

ですので、民法734条の規定の適用を受けることになります。

(近親者間の婚姻の禁止)
民法第734条 直系血族又は3親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
2 第817条の9の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。

民法は、いとこ同士の結婚ならば認められるとし、婚姻は三親等の傍系血族までとしています。

たとえ養親子であっても、親子に違いありませんから、婚姻を行うことは許されないとされています。

もし、離縁したのなら血族関係であり養親子関係が終了してしまうので、2人の婚姻は許されるのではないかと思われるかもしれませんが、いったん親子関係に入った者は、たとえ親子関係の終了がなされたとしても、婚姻は認められません。

(養親子等の間の婚姻の禁止)
民法第736条 養子若しくはその配偶者又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第729条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。

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人工授精で生まれた子の法的地位・・・

人工授精とは、医学的手段により妻の胎内に精液を注入することにより懐胎させることをいいます。

人工授精の方法として、夫の精液で行う場合と、夫以外の精液で行う場合があります。

前者の場合には、夫の子であることが明らかなので、問題はありません。

後者の場合、生まれてくる子を夫婦間の嫡出子として扱うのか考え方が分かれています。

一般に婚姻中に懐胎した子は、その夫婦間の嫡出子と推定されますが、明らかに夫の子でないと考えられる場合、例えば、刑務所の3年入っていたとか、長年留学していて夫婦間の交渉がもてないことが明らかなときは、嫡出子としての推定は受けないとされています。

生まれてくる子を嫡出子とみなさないと考える場合、人工授精子も当然に嫡出の推定を受けないとし、その子を嫡出子として届け出ることは、公文書不実記載であると考えられています。

これに対し、生まれてくる子を、人工授精を受けた夫婦間の嫡出子と考える場合、生まれてくる子には何の責任もないし、また、子の福祉を考えるなら、夫も人工授精を受けたことに同意しているのであるから、夫婦間の嫡出子と認めても問題はないと考えられています。

そして、この場合の夫の同意は、ひるがえすことができないものとして、後になって真実の父親を探すことは許されないとされています。

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