横領した金を受け取った責任・・・

横領した金を受け取った責任・・・

惚れた男のために、勤めている銀行の預金を横領して、男に貢いだというような話がありますが、この場合、貢がれた男に刑法上の責任があるかどうかついて問題になります。

会社のお金を使い込むということは横領罪になりますが、相手の男がそれを知っていたかどうかがによって責任が変わってきます。

積極的にその女に会社の金を使い込ませたのであれば、横領罪の共犯ということになります。

判例として、ある銀行の頭取が、ある女性実業家に何億円もの融資をしたことが刑事事件となり、この場合は、株式会社である銀行の頭取の背任が成立するとして、適用される罰則は商法の特別背任罪とされたのですが、借り受けた女性実業かも共犯として起訴されました。

一審は、その女性実業家も共犯として、その融資をした頭取と同じく責任があるとされ、刑の上では、その女性実業家のほうが重かったのですが、二審ではその女性は無罪となりました。

その理由は、頭取がどのように考えて融資を実行したかどうかと借り受けた女性実業家の融資についての認識とは全く別であって同一に論ずることはできないとしました。

この女性実業家は、銀行業務については素人であって、頭取と同一の認識があったとは考えられないから無罪であるとしました。

この判例を参考にして、女が銀行でどのような仕事をいていて、給料の額も知っていて、女から渡される金がどんな性質で、どのように工面してきたものかを承知して、継続的に受け取っていたという場合には、共犯になる可能性があります。

また、女が銀行の金を持ち出したときには横領罪が成立して、その金は盗品となりますから、これを承知して受け取る行為は、盗品譲受罪が成立します。

(盗品譲受け等)
刑法第256条 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。

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戸籍の省略で記載されない・・・

本籍地の市町村役場には、原戸籍というものがあって、生まれた時、生まれた所から始まって、さまざまな身分に関する事項が記載されています。

現在は省略することが許されていますから、それを確認するためには、別途、原戸籍をとる必要があるのです。

また、他の市町村に転籍の届出を出すと、婚姻その他のそれまでの歴史が記載されている戸籍が除籍されて、新たな市町村役場の戸籍が開かれるため、新たな市町村に本籍が移った以後の身分に関する事項は記載されますが、それ以前の身分の関する事項は省略することが許されているのです。

生まれてから現在までのことを知ろうとするには、転籍前の除籍簿を調べる必要があります。

例えば、妻子のある男性が他の女性との間に子供を作り、勝手に妻との離婚届を出し、別れたことにして、その他の女性と婚姻届を出し、子供は2人の間に生まれたようにして、またその女性と離婚の届出をして、再び元の妻との婚姻届を出すというようなことをする事例などがあります。

これは戸籍の記載事項の省略を狙ったものですが、戸籍は必ず結びついていますから、最終的には全てが判明します。

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浮気の相手への損害賠償の権利・・・

妻が若い男と浮気をしている現場を目撃してしまったのですが、その男に損害賠償を請求することができるでしょうか。

(不法行為による損害賠償)
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法709条は、不法行為の定義と根拠になる規定で、これには権利の侵害が必要で、その権利の内容について判例では、「不法行為があるというために何々権と呼ばれるものの存在が必要なのではなく、法律観念上その侵害に対し、不法行為に基づく救済を与える必要があると考えられる利益があればよい」としています。

侵害があった権利が、何々権と呼ばれる権利の存在は必要ではなく、救済を与える必要があると考えられる利益があればよしとされ、この場合の救済の利益とは、夫としての妻に対する貞操を求める権利や、夫のみが受けることができる性交渉権というものになります。

これを夫に断りなくした男は、夫がそのために受けた精神的苦痛に対する損害を賠償しなければなりません。

また、離婚をするからとの男の言葉を信じて、いつまでも離婚をしない男性と付き合っていたら、その男の妻から損害賠償の請求がされることがあります。

妻のあることを知っていて、男の「別れる」という言葉を信じて、付き合うような場合は、妻から損害賠償をされても仕方がないのです。

また、内縁の場合のついても判例では、「内縁は男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではなく、これを婚姻に準ずる関係という妨げず、したがって、709条による保護さるべき生活関係に外ならないのであるから、内縁が正当の理由なく破棄された場合には、不法行為の責任が肯定される」としています。

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