養育費の金額の変更・・・
養育費の金額を決めたとしても、子供が成人するまでの養育費の金額は必ず同じというわけではありません。
子供の成長に応じて学費など必要な金額が増えることもありますし、親の側も、年齢と共に収入が上昇することもありますし、逆に失業などのために収入が減ることもあります。
当事者間の協議や審判などによって、養育費の支払が定められた後に、支払い能力に変化が生じた場合など、事情変更を理由として、家庭裁判所にその協議又は審判の変更等の手続きを申し立てることができます。
養育費の増減額等は、事情変更によって変更することができますが、増減額が認められるのは、次のような場合です。
①支払う義務のある親の失業又は転職により収入が減少した場合
②支払を請求する親の就職等により収入が増加した場合
③子供が病気などのため予想外の医療費が必要になった場合
④子供の入学金としてまとまったお金が必要になった場合
⑤進学によって子供の学費が増加した場合
⑥支払う義務のある親の収入が増加した場合
勤務先を退職して養育費の支払が困難になった場合でも、養育費の支払を免れるために故意に退職したような事情があるときには、養育費の免除や減額が認められないこともあり、次のような事例があります。
父は、養育費の支払を求める審判の時から強制執行を受けた場合には勤務先を退職して抵抗する意向を有していて、養育費の支払を命じる審判後も一度に任意に履行せず、実際に強制執行を受けると、裁判所により強制的に支払わされることに納得できなかったことから、勤務先を退職しました。
父は、勤務先を退職して、収入がなくなったとして養育費の免除の調停を求めました。
これに対して、裁判所は、父が強制執行を免れるために勤務先を退職したのであるから、現在収入を得ていないことを前提に養育費を免除することは相当でないとし、潜在的稼動能力を有していることを前提に、勤務を続けていれば得られたはずの収入に基づき、養育費を算定するのが相当と判断しました。
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児童扶養手当とは・・・
児童扶養手当とは、父と生計を同じくしていない子供が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するために、手当てを支給して、児童の福祉の増進を図ることを目的としています。
父母が離婚して母親と暮らしているなどの法律の定める条件を満たしている児童(18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある者)を監護している母や、母に代わってその児童を養育している人に支給されます。
児童が心身に中程度以上の障害を有する場合は、20歳未満まで手当てが受けられます。
手当てを受けるには、住所地の市区町村の窓口で認定を受ける必要があります。
請求した日の翌月から支給されます。
<児童扶養手当の要件>
手当を受けることができる方は、次の条件にあてはまる「児童」を監護している父母、または父母に代わって児童を養育している方(養育者)です。
なお、「児童」とは18歳に達する日以降、最初の3月31日までをいいます。
また、心身におおむね中程度以上の障害(特別児童扶養手当2級と同じ程度以上の障害)がある場合は、20歳まで手当が受けられます。
いずれの場合も国籍は問いません。
①父母が離婚した後、父(母)と生計を同じくしていない児童
②父(母)が死亡した児童
③父(母)が重度の障害の状態にある児童
④父(母)の生死が明らかでない児童
⑤父(母)に1年以上遺棄されている児童
⑥父(母)が引き続き1年以上拘禁されている児童
⑦母が婚姻によらないで懐胎した児童
⑧棄て子などで、母が児童を懐胎した当時の事情が不明である児童
次の場合は手当を受けることができません。
①対象児童や手当を受けようとする父母または養育者が、公的年金給付(老齢福祉年金を除く)や労働基準法等に基づく遺族補償を受けることができるとき
②児童が里親に委託されたり、児童福祉施設等(通園施設は除く)に入所しているとき
③児童が父(母)に支給される公的年金の額の加算対象となっているとき
※障害基礎年金に限り、子の加給と児童扶養手当を選択できる場合があります
④児童や、母(父)または養育者が日本国内に住んでいないとき
⑤母(父)が婚姻している時(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあるときを含みます。)
⑥児童が父(母)と生計を同じくしているとき
児童扶養手当は、全部支給と一部支給がありますが、扶養親族等により全部支給、一部支給が決定されます。
児童が1人の場合、全部支給の手当月額は41550円です。
一部支給手当額は、所得に応じて41540円から9810円まで10円単位で支給となります。
児童扶養手当についても所得制限の限度額が定められています。
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児童手当の支給額・・・
<児童手当の支給額>
対象児童数 全部支給のとき 一部支給のとき
対象児童数 | 全部支給のとき | 一部支給のとき |
1人目 | 41550円 | 9810~41540円 |
2人目 | 5000円を加算 | |
3人目以降 | 3000円を加算 |
*支給額は変更される場合があります。
<児童扶養手当の所得制限限度額表>
扶養親族等の数 | 母又は養育者 | 孤児等の養育者 | |
配偶者 | |||
全部支給の所得制限限度額 | 一部支給の所得制限限度額 | 扶養義務者の所得制限限度額 | |
0人 | 19万円未満 | 192万円未満 | 236万円未満 |
1人 | 57万円未満 | 230万円未満 | 274万円未満 |
2人 | 95万円未満 | 268万円未満 | 312万円未満 |
3人 | 133万円未満 | 306万円未満 | 350万円未満 |
4人 | 171万円未満 | 344万円未満 | 388万円未満 |
5人 | 209万円未満 | 382万円未満 | 426万円未満 |
受給資格者の収入から給与所得控除等を控除し、養育費の8割相当額を加算した所得額と上表の額を比較して、全部支給、一部支給、支給停止のいずれかに決定されます。
所得税法に規定する老人控除対象配偶者、老人扶養親族又は特定扶養親族がある場合には、上記の額に次の額を加算した額
①本人の場合は、老人控除対象配偶者又は老人扶養親族1人につき10万円、特定扶養親族1人につき15万円
②孤児等の養育者、配偶者及び扶養義務者の場合は、老人扶養親族1人につき6万円
<所得額の計算方法>
所得額 = 年間収入額 - 必要経費(給与所得控除額)- 80,000円 - 次の諸控除
諸控除の額
・障害者控除、勤労学生控除・・・270,000円
・特別障害者控除・・・400,000円
・配偶者特別控除、医療費控除等・・・住民税で控除された額
<一部支給の場合の手当額計算式>
手当額=41,540円-(X-Y)×0.0183410 (*10円未満を四捨五入)
X:所得額
Y:全部支給の所得制限限度額
<児童扶養手当の支払日>
手当は、認定請求をした日の属する月の翌月分からとなります。
4月、8月、12月の各11日土、日、祝日と重なるときは繰り上げ)に、支払月の前月までの分が支払われます。
次のような場合には、手当を受ける資格がなくなりますので、必ず資格喪失届を提出してください。
届け出をしないまま手当を受けていますと、その期間の手当を全額返還していただくことになりますからご注意ください。
・手当を受けている母(父)が婚姻したとき(内縁関係、同居などを含みます。)
・ 対象児童を養育・監護しなくなったとき(児童の施設入所、里親委託、婚姻を含みます。)
・ 国民年金、厚生年金、恩給などの公的年金を受けることができるようになったとき
・ 遺棄されていた児童の父(母)が帰ってきたとき(安否を気遣う電話、手紙など連絡があった場合を含みます。)
・ 児童が父(母)と生計を同じくするようになったとき
・ その他受給要件に該当しなくなったとき
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