面接交渉の制限・・・

面接交渉の制限・・・

非監護親が子供と面接交渉をすることは、原則として認められるべきものですが、子供の福祉に反する場合には、面接交渉が制限されます。

判例では、次のような要素を判断するようです。

①子供の意思、子供の年齢、面接交渉が子供の心身に及ぼす影響、子供の生活環境に及ぼす影響など。

子供が面接交渉を求める親に嫌悪感を抱いていたり、恐怖感を抱いており、面接交渉を拒否する感情を示している場合。

面接交渉を認めることによって子供の心身に悪影響が及ぼされる可能性が高い場合。

両親の離婚の紛争が原因で、子供の心身の状況が極めて不安定な状況にある場合。

②別居や離婚に至った経緯、別居期間、別居後の父母の関係、父母の離婚調停・離婚訴訟の経過など。

父母が別居に至った経緯を引きずり、深刻な紛争・緊張状態にあって、面接交渉を行なえば、子供が父母の緊張関係に巻き込まれ、精神的な動揺を与えるような場合。

③監護親の意思、子供の監護状況、監護親の監護・教育への影響、監護親の仕事・収入・生活状況など。

監護親が面接交渉を強く拒否していて、それによって子供の精神的な安定に多大な悪影響を及ぼすような場合。

④非監護親の生活状況、子供に対する態度・愛情、面接交渉に望む姿勢、面接交渉の目的など。

面接交渉を求める動機が金銭の要求や相手方との復縁を求めるなどの不当な目的の場合や面接交流と求める親が、子供や他方の親に対して暴力を振るっていたり、飲酒によるトラブル、薬物使用などの重大な問題がある場合。

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面接交渉の拒否・・・

面接交渉を正当な理由もなく拒否したことが、面接交渉を求める人に対し不法行為となり、損害賠償請求を受けることがあります。

離婚した父親が、親権者となった母親に対して、子供との面会を求めたのを、母親が拒絶した事案において、母親が父親に対して子供との面接交渉を拒否したことは、父親の親としての愛情に基づく自然の権利を、子供の福祉に反する特段の事情もないのに、ことさらに妨害したということができるとして、慰謝料500万円の支払を認めた事例があります。

面接交渉を拒否したことに正当な理由がなければ、相手から親権者、監護権者変更の申立をされたり、場合によって親権喪失宣告の申立を受けることもあります。

(親権の喪失の宣告)
民法第834条 父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができる。

面接交渉が子供の福祉にとって有益であると考えられていることから、親権者あるいは監護者としての適格性に疑問を抱かせる結果になりかねません。

子供の福祉に反するような事情もないのに、子供と非監護親との面接交渉を拒否することは、親権者や監護者として不適格であると考えられる可能性も出てきます。

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面接交渉の方法・・・

家庭裁判所の調停などで当事者間の協議によって、面接交渉について定めるときは、日時、回数、時間、場所、方法、事前の連絡方法などについて定めます。

面接交渉の内容としては、面会、訪問、旅行、学校行事へ参加、電話、手紙、プレゼントなどが考えられます。

面接交渉の調停において、当事者間で面接交渉について合意が成立した場合の、調停条項は、次のような内容となります。

「相手方は、申立人に対し、申立人が長男**と、月1回程度の面会をすることを認める。その具体的日時、場所、方法については、子の福祉を考慮して、当事者間で協議して定める。」

「相手方は、申立人に対し、申立人と長女**とが、相互に、Eメール、郵便、ファックス等で節度を持って交流することを認める。」

面接交渉は、親の権利というより、子の監護のために適正な措置を求める権利あるとされています。

面接交渉をする場合、親の権利としての自らの感情・都合を押し付けることなく、子供の健全な成長に支障を与えないようにする必要があります。

夫婦の話し合いや裁判所の審判によって親権者あるいは監護者として子供の監護・教育に当たらないことにした非監護親は、子供の監護・教育について、監護親に委ね、監護親の監護・教育を妨害してはなりません。

面接交渉権の内容は、監護親の監護・教育内容に触れることにまで及ぶことは許されず、権利行使の具体的な方法は監護親の指示に従う必要があります。

家庭裁判所では、面接交渉について、次のような指導をしています。

①非監護親は、監護親の監護方針を尊重する。

子供の愛情を引こうと、子供に高価なプレゼントをするなど、監護親のしつけを無意味にするようなことをしてはいけない。

②監護親は、非監護親に子供の情報をよく伝える。

非監護親は、日常、子供と生活を共にしていないため、子供の最近の情報を知らないことが多いので、監護親は、非監護親に子供の情報をよく伝える必要がある。

③双方の親が、子供に対して相手の悪口を言わないように心がける。

④面接条項の定めにとらわれず、子供の状態に合わせて柔軟に実施することが望ましい。

子供が年齢を重ねると友人との交友が大事になってくるので、その友人関係より優先させて常に非監護親との面会交渉を強制することは、子供の健全な社会性の発達を阻害するおそれがある。

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