面接交渉を制限したい場合・・・

面接交渉を制限したい場合・・・

面接交渉は子供の福祉・利益を実現するためのものですから、逆に、面接交流を認めることがかえって子供の福祉に反するような場合には、面接交渉の制限が認められることになります。

例えば、同居しているときにひどい暴力を受けたため精神的に苦痛を受けているような場合です。

制限の程度としては、面接交渉を全面的に制限してしまう方法もありますが、面接の回数を減らしたり、直接会う方法から電話などの間接的な方法に変更したり、第三者立会いのもとで短時間の実施にとどめるようにしたりするなど、一部の制限にとどめる方法などあります。

全面的に制限せざるを得ないような場合にも、写真やビデオなどを用いて交流することもできます。

一般的な制限の方法としては、話し合いによる方法と調停による方法とがあります。

特に、話し合いで一度取り決めた面接交渉を制限しようとする場合は、相手に制限理由を説明する必要があります。

制限が必要な場合であっても、相手は子供の様子や状況を十分知ることができませんから、一方的に面接交渉を拒否しても、相手は受け入れられないこともあり、争いになってしまうからです。

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面接交渉の全面的制限の判例・・・

両親の離婚後、父親が、親権者である母親に対して、3歳の子供との面接交渉を求めた場合に、両親の離婚の原因が父親の暴力にあり、父親も自己が加害者であることを認め、母親に対する暴力を反省し、治療を受けているものの、なお加害者としての自覚が乏しいこと、実母はPTSDと診断され、心理的にも手当が必要な状況にあり、母子の生活を立て直すために努力していることなどから、現時点で面接交渉を実現させることは母親に大きな心理的負担を与え、その結果、母子の生活の安定を害し未成年者の福祉を著しく害するおそれが大きいとして父親と子供との面接交渉を認めなかった事例があります。

子供が1歳になる前に両親が離婚し、子供のいなかった父親の姉夫婦の養子となり、養父母を実の両親と信じて平和な生活を送っていたという状況で母親が面接交渉を申し立てた場合で、申立人が母として面会すると子供の純粋な童心を傷つけ、その精神面における健全な成長を阻害し、ひいては養父母との平和な家庭生活に波乱を引き起こす危険性が極めて高いとして面接交渉を認めなかった事例があります。

両親の離婚後、4歳と6歳の子供が、母親と同居し、ようやく新住居での生活に慣れ、情緒的に安定し始めた一方で、父親との同居における父親の深酒や暴力等の行為に対する畏怖感が消えず、父親との面接を嫌悪している場合で、面会を認めると子の情緒面での安定に悪影響を及ぼし、また面会をめぐって夫婦間での感情的対立を激化させる危険が強いとして、父親との面接交渉を認めなかった事例があります。

両親の離婚後、子供2人が母親と同居をしていたが、子供らはこれまでの言動から父親に親近感を抱いておらず、過去2回の面会の後も、子供が終始おどおどして落ち着かず面接に強い嫌悪感を抱くに至り、また、面会後1週間ほど、情緒が安定せず、学習意欲も減退し、面会に対する強い拒否反応を示している場合で、たとえ父親と母親の間で調停の際に面接交渉の取り決めをしていても、被親権者との面接が子供らの情操をそこねると認められる事情が生じたときは、そのような事情が存在する間は面会を求めることはできないとして父親と子供らの面接交渉を認めなかった事例があります。

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面接交渉の一部制限の判例・・・

両親は離婚後、月に3回父親に7歳の子供と面会させ起居をともにする、面会時は酒気を帯びないなどの条項で面接交渉を定めたが、父親はこれを守らず、また、2度にわたり子を不当に連れ去るなどしたため、母親から面接交渉の全面制限が申し立てられた場合で、父が過去を反省し、今後円満に子に面会できる場合、子に対し養育費の仕送りをしてもよい旨言明していること、子は現在母の監護教育のもとに母子家庭の環境にも慣れ、平穏に通学していることなどを考慮し、春、夏、冬の各休暇中の適当な日時、場所において年3回調査官の指示に従い面会させるのが相当であるとして、父と子の面接交渉を認めた事例があります。

離婚後に父親が親権者となり、母親から面接交渉の申立があったものの、父親がこれを強く拒絶していた場合で、裁判所が、本件の面接交渉の支障となる事由は専ら大人の側の問題であり、このような大人側の事情により、本来普通に行なわれれば子の福祉に適うべき母子面会の機会を子供が得られないのは妥当ではなく、これら大人の側の事情は種々の方策を工夫してできる限り面会を実施しえるよう図るべきとして、回数は年1回とし、日時・方法を詳細に定め、条件として、母親には母親の父母又は弁護士である代理人の少なくとも1名が同行し、父親から要求がある場合には父親の指定する親族か弁護士である代理人にうち1名が子供に付き添うことなどを定めて面接交渉を認めた事例があります。

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