担保物権の性質とは・・・

担保物権の性質とは・・・

<附従性>

担保物権という権利は、債権者の有する債権を担保する事を目的としています。

担保している被担保債権が発生しなければ担保物権も発生しませんし、また被担保債権が消滅してしまえば担保物権も消滅します。

これを担保物権の附従性といいます。

<随伴性>

被担保物権が他の者に譲渡されたりして移転する時は、原則として担保物権もこれにともなって移転します。

移転先の新しい債権者のための担保になるわけです。

これを担保物権の随伴性といいます。

<不可分性>

債権者はその有している債権の全部について弁済を受けるまで、担保物についてその権利の行使をすることができます。

債務者は債務の一部だけを弁済したからといって、その一部分の担保物権の消滅を主張する事はできないわけです。

これを担保物権の不可分性といいます。

<物上代位性>

担保物権は担保物が他に売却されたり、賃貸されたり、焼失してしまったりして、売買代金に代わったり、保険金や損害賠償請求権が発生したりする場合には、これらの代金や損害賠償請求権のうえに効力を及ぼすものとされます。

これを担保物権の物上代位性といいます。

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約定担保物権とは・・・

約定担保物権とは、債権者と担保設定者との間の契約に基づいて設定される担保物権をいいます。

約定担保物権として、質権と抵当権があります。

これらの担保物権は、担保方法が約定担保物権でありますから、その契約と同時に担保設定を行います。

質権は、債務者などの質権設定者から債権者が目的物である質物を占有することによって成り立ちます。

質物が不動産などの場合に、不動産を質権設定することもできますが、債権者はその占有や管理することが難しくなります。

債権者としては、担保の設定者から不動産の占有を取り上げることなく、そのまま担保設定者に利用させながら、担保物の交換価値のみを支配しておき、債務の弁済が行われない時に不動産から債権の回収を図れる抵当権を利用するほうが現実的です。

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留置権とは・・・

民法が定めている担保物権の中には法定担保物権といって、法律上一定の要件をみたす場合に当然に発生する担保物権があります。

この法定担保物権は、質権や抵当権のように当事者が契約によって設定するものではありません。

この法定担保物権には、留置権と先取特権があります。

留置権とは、他人の物を占有している者が、その物に関して生じた債権を有する場合に、その債権の弁済を受けるまで債権者がその物を留置する事ができる権利のことをいいます。

一般民事の留置権でいえば、自動車の修理を依頼されたが、その修理代金が支払われない時、その自動車を留置するというように、債権と留置する物との間に関連があることが要求されます。

民事の留置権では、被担保債権が留置する物に関して発生していることが必要です。

商人間においては、双方にとって商行為に当たる行為によって発生した債権についても、その債権が弁済期にあるとき、債権者はその支払を受けるまで、債務者との間の商行為により自らが占有するに至った物を留置する事ができます。

この権利を商事留置権といいます。

商事留置権では被担保債権と留置する物との関連を必要としません。

商事留置権の場合は、債権発生の原因となった物でなくても、取引によって保管している債務者の物や有価証券を留置する事ができます。

商事留置権では、相手方がある取引について債務を支払わない時、債権者はその相手方との間の別口の取引によって保管している、相手方の所有物を留置できます。

留置権者は、こうして留置した物から生ずる利益を取得し、これを他の債権者に先んじて自分の債権に充てることもできます。

留置物について保管のため必要な費用を支出した時は、留置物の所有者にこれを償還させる事もできます。

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先取特権とは・・・

民法が定めている担保物権の中には法定担保物権といって、法律上一定の要件をみたす場合に当然に発生する担保物権があります。

この法定担保物権は、質権や抵当権のように当事者が契約によって設定するものではありません。

この法定担保物権には、留置権と先取特権があります。

先取特権とは、法律の定める一定の権利を有する者が、その債務者の一定財産から、他の債権者に優先して弁済を受ける事ができる担保物権のことをいいます。

本来、債権はその種類、発生の時期などに関係なく、全て平等の効力を持っています。

ですので、債務者の財産が整理される時、各債権者はそれぞれの有する債権額に比例して弁済を受けるのが原則です。

これを債権者平等の原則といいます。

しかし、それだと多大な不利益を被る債権もあるわけです。

従業員の給料などはそれであり、他の一般の債権者に分配する前に、まず従業員の給料債権を先に支払い、給料生活者の給料債権保護を図ろうと法律はしたわけです。

先取特権とは、このような権利を持ち、いくつかの種類があります。

そして、どの先取特権も法律が一定の配慮から、特にどの債権よりも強く保護する目的で規定されています。

先取特権者は先取特権の目的物から他の債権者に優先して弁済を受ける事ができます。

その手段として先取特権者は目的物を競売する事ができます。

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