担保と保証とは・・・

担保と保証とは・・・

債権は不確かな要素を持っており、債務者からの給付を内容としていても、その債務者が倒産するなどの事態になると、各債権者の債権額による按分比例によって債権の一部しか弁済を受けられないこともあります。

債権者としては、他人の債権はどうなろうと、とにかく自分の債権だけはなんとか回収したいわけです。

債権者が自分の債権だけは特に強い効力を持たせておきたいというのであれば、あらかじめ債権者としては、そのための方法を講じておく必要があります。

それは、自分の債権だけは確実に回収する保障として、担保を取ることです。

物による担保である物的担保をとっておけば、その担保物に関する限りは他の債権者に優先して弁済を受ける事ができますし、また保証人などの人的担保であれば、債務者本人が弁済できなくても保証人が債権者に弁済する義務を負ってくれていますから、そこから弁済してもらえます。

債権を確保するために結ぶ担保の契約は、債権者と担保提供者との間で結ばれます。

人による人的担保であれば、保証人などと債権者の間の契約になります。

物による物的担保であれば、担保提供者としての債務者本人か第三者と債権者との間で担保を結ぶ事になります。

この場合には、債務者自身が担保を提供する場合もあるでしょうし、物上保証人として第三者が債権に対して担保を提供する場合もあります。

債権者としては、担保契約に当たって、契約の当事者である保証人や担保提供者の意思を直接、十分に確認のうえ、当事者その人によって契約書に署名押印してもらっておくことが大切です。

例えば、親の債務を担保させるために、子の名義ななっている不動産に担保を設定したいという債務者がいる場合、子が成年に達していれば普通の担保契約となります。

子が未成年の場合には、注意が必要です。

未成年の子の法律行為については親権者や後見人といった法定代理人の同意を得てから行為をするか、または法定代理人によって代理して行為をしなければなりません。

しかし、親の債務を担保するために未成年の子の財産に担保を設定する事は、親と子の利害が一致していません。

このような行為を、利益相反行為といいます。

判例も、親権者が他人から金銭を借り入れるに当たり、その子において連帯債務を負担させ、子の所有不動産に抵当権を設定する行為は利益相反行為だとしています。

このような親と子との利益相反行為については、親も親権者として、未成年の子を代理する事はできないとされているのです。

こういう場合は、家庭裁判所に請求して、その子の為に特別代理人を選任し、その特別代理人が子に同意を与え、また、子を代理する事になります。

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担保の調査とは・・・

担保を設定する対象の物については、債権者として調査する事が必要です。

担保提供者の所有物かどうかを調査するのはもちろんのこと、その目的物について第三者の権利がついているかどうかも調査する必要があります。

担保を設定する不動産の所有権が担保提供者になかったり、あっても、それは全体の何分の一かの持分しかない場合もあります。

その不動産については、すでに第三者の抵当権が設定されていたり、第三者による用益上の権利である地上権や借地権が設定されている事もあります。

担保物に、すでに第三者の抵当権が設定されていれば、その後に同じ不動産に設定する事となる抵当権は、その第三者の権利が設定されていることを前提のうえ、設定されますから、その第三者の権利の後順位の効力となります。

不動産についての財産権のうち、特に所有権とか地上権、質権、抵当権などの物権については、その権利を第三者に対抗するためには登記を経ることが法律上要求されています。

また、担保にとる不動産の調査は登記簿の閲覧で全て終わりとしていては不十分です。

その不動産を現地におもむいて、検分してみる事も大切です。

建物登記簿によって調査した登記簿上の建物と、実際に現地に所在する建物とが同一かどうかという点も調べておく必要があります。

登記簿に記載されている建物は、すでに焼失したり、取り壊されたり、その後に同じような建物が建てられていることもあります。

その場合、新しい建物について、すでに焼失したり取り壊されたりで滅失している建物の登記を新築物件に流用しても、その登記は無効と考えられているからです。

また、担保権を実行するとき、例えば抵当権を実行する際の担保物の処分価額は、普通の売買における処分価額よりも低い価額で決まります。

抵当権実行の際の担保物の価額は、大体時価の60%~70%ぐらいで見たほうがよいとされています。

また、自分より優先する権利が担保物に設定されているのであれば、それが優先されて配当されますから、これも控除して考えなければなりません。

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担保の種類は・・・

民法がもともと担保として予定していた物による担保には、質権、抵当権、留置権、先取特権という4種類の担保物件があります。

また、実際の取引社会から生まれてきた担保物権として、譲渡担保あるいは売渡担保、再売買の予約、買戻し、所有権留保、代物弁済の予約・仮登記担保などがあります。

債権者としては債務者や担保提供者の個別的な具体的状況をつかんで、その相手の状況に応じた種類の担保をとるようにしなければなりません。

また、人による担保もあります。

人による担保というのは、債務者以外の第三者が保証人とか連帯保証人として、本来の債務者がその債務を履行しない場合に、履行の責を負うものです。

人による担保は、保証人や連帯保証人となる人の信用や一般財産をあてにしているので、不確かな要素があります。

担保に取るものには債務者の資力や状況、債権の種類や内容に応じ、臨機応変に決すべきです。

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物的担保の対抗要件とは・・・

物による担保の場合では、債権者は自己の取得した担保を第三者に対抗しうるようにしておく必要があります。

せっかく物による担保を取得したからといって、ほかの第三者に対して、その担保から優先弁済を受ける事を主張するための手続を怠っていては、優先弁済を受ける事が不可能になります。

この第三者に対して自己の物的担保を主張するための要件を、法律上は対抗要件といいます。

債権者も、取得した物的担保についてこの対抗要件を備えないと、権利の優先順位を争う第三者に対して自分が優先的に弁済を受ける権利を主張できないわけです。

この対抗要件の形式・方法は、権利やその目的物が何かによって異なります。

例えば、不動産についての質権である不動産質、抵当権等の対抗要件は登記と定められています。

動産を目的とする質権である動産質などの対抗要件は占有の継続となっています。

そのほか債権、社債、国債などの権利を目的とする質権である権利質の対抗要件はそれぞれ、普通の債権が第三債務者への通知またはその承諾、記名社債が社債原簿への質権設定の旨の記入、記名国債が証書の継続占有などと定められています。

債権者としては、物的担保の取得、管理に当たっては担保・権利の種類に応じて、それぞれ定められている対抗要件をそなえなくてはなりません。

対抗要件をそなえない担保の権利は、担保として不完全なわけです。

<対抗要件>

抵当権 登記
不動産質権 登記
動産質権 占有の継続
権利質権 第三債務者への通知・第三債務者からの承諾

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