代物弁済予約実行の通知・・・

代物弁済予約実行の通知・・・

代物弁済の予約が担保手段となっている場合に、債務の弁済が行われないときは、債権者は代物弁済予約の目的物件につき、担保の実行することになります。

代物弁済の予約では、まず、債権者は予約完結の意思表示を相手方に対して行わなければなりません。

この意思表示は法律上の重要な意味をもつものだから、後日の立証のために内容証明郵便で行います。

次に、仮登記担保法は債権者が仮登記担保契約によって目的不動産の所有権を取得しようとするときは、債権者において、あらかじめ債務者又は物上保証人に対し、仮登記担保権の実行通知をし、その通知が債務者らに到達した日から2ヶ月が経過しなければ債権者は目的不動産の所有権を取得することができないとしています。

この実行通知もする必要があり、債権者はこの実行通知で、清算金の見積額と清算期間が経過したときの土地等の見積価額、債権、債務者が負担すべき費用で債権者が代わって負担したものの額を明らかにしなければなりません。

この仮登記担保の実行通知は、予約を完結する意思を表示した日、停止条件が成就した日その他のその契約において所有権を移転するものとされている日以後に、債権者がなすべきこととなっていますので、代物弁済予約完結の意思表示をした日に仮登記担保権の実行通知をしてもよいとされます。

ですので、予約完結の意思表示の通知と仮登記担保権の実行通知と2回の通知が必ずしも必要ではなく、債権者において予約完結の意思表示と実行通知とを同一の書面により行うのであればそれでも要件を満たすことになります。

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代物弁済予約完結と清算金の通知書書式・・・

平成**年**月**日
東京都**********
株式会社山田工業
代表取締役 山田太郎 殿
東京都********
田中商会株式会社
代表取締役 田中五郎
通知書
当社は、貴社当社間の平成**年*月**日付金銭消費貸借契約書に基づき、貴社に対し金***円を弁済期平成**年**月**日、利息年**%、遅延損害金年**%の約定で貸し渡し、貴社は上記債務を弁済期に弁済することができないときは、後記不動産(以下「本件不動産」という。)をもって代物弁済とする旨の予約をされました。しかし、当社は平成**年**月**日をもって、代物弁済予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記を終了しました。
しかしながら、貴社は弁済期日が経過したにもかかわらず、未だに債務を弁済されませんので、当社は代物弁済の予約契約に基づき、本件不動産の所有権を取得すべく、ここに代物弁済予約完結の意思表示をいたします。
なお、本書面到達の日から2ヵ月後における本件不動産の見積額及び当社が貴社に対して有する債権額は、次のとおりです。
本件不動産の見積価格  金***円
債権額  合計 金***円
内訳
(1)元本     金***円
(2)未払い利息  金***円
(3)遅延損害金  金***円
したがって、本件不動産の価額は、債権額よりも金***円超過することになりますので、上記金額を清算金として、本書面到達の日から2ヶ月経過後、直ちに本件不動産の引渡並びに本件不動産についての所有権移転の本登記手続と引換にお支払いいたします。
不動産の表示(略)
以上

代物弁済予約完結と清算金の通知書書式WORD

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仮登記担保の後順位担保への通知・・・

債権者は、債務者ら宛てに仮登記担保権の実行通知をすることを要しますが、目的不動産につき、債権者の仮登記がなされた後に先取特権、質権、抵当権又は担保仮登記の担保権の登記を受けている後順位の担保権者がいる場合は、債務者らへの仮登記担保権実行通知後、遅滞なく、これら後順位担保権者らに対し、一定の事項を通知しなければなりません。

後順位担保権者に通知すべき事項は債務者らに実行通知したこと、その通知の到達日、及び債務者に通知したのと同一の事項です。

後順位担保権者が通知を受けた清算金の額に不満がないときは、後順位担保権者において、債務者らの有する清算金請求権について物上代位し、優先弁済を受けることができます。

この場合は清算金の払戻がある前に差押をしなければなりません。

この物上代位をすることができる権利者の中には後順位の担保仮登記の権利者も含まれます。

後順位担保権者において債権者の見積額に不満があるときは、目的不動産について、清算期間内に競売を請求することになります。

ただし、後順位の担保仮登記の権利者は清算金請求権について物上代位をすることはできますが、競売の請求することまでは認められていません。

後順位担保権者が競売手続に進んだ場合は、その手続に仮登記権利者の参加を求め、仮登記担保権者の参加を求め、仮登記担保権者にも抵当権と同じように優先弁済権を認めて、配当がなされます。

競売の手続に入ってしまうと、仮登記担保権者は所有権を取得することはできなくなってしまいます。

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