特別代理人選任審判手続・・・

特別代理人選任審判手続・・・

申立の実情に記載された行為が利益相反の関係にあるか否かが審理されます。

その結果、当該行為は利益相反に当たらないことが明らかになったときも、申立を取下げないで却下の審判をしてもらい、特別代理人選任の請求を指示した機関に却下審判の謄本を提出します。

特別代理人の欠格事由を定める規定はありませんが民法847条が類推適用されます。

民法第847条

次に掲げる者は、後見人となることができない。
1.未成年者
2.家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
3.破産者
4.被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
5.行方の知れない者

また民法826条1項の規定に基づいて選任された特別代理人と未成年者との利益が相反する行為については、右特別代理人は、選任の審判によって付与された権限を行使することができず、仮にこれを行使しても無権代理行為として新たに選任された特別代人又は成年に達した本人の追認がない限り無効であるとされています。

民法第826条

1. 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2. 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

民法第860条

第826条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。

民法第851条

後見監督人の職務は、次のとおりとする。
一 後見人の事務を監督すること。
二 後見人が欠けた場合に、遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること。
三 急迫の事情がある場合に、必要な処分をすること。
四 後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること。

定型申立用紙には、申立人が代理人候補者の記載をするようになっていますが、家庭裁判所は、これに拘束されることなく子(被後見人)の利益をもっとも考慮できる立場にある者を特別代理人に選任します。

特別代理人選任審判の主文には、利益相反行為の内容を具体的に特定して特別代理人の権限の範囲を明確にしておくと後日の紛争の防止になります。

選任審判は特別代理人に告知されて効力を生じます。

却下審判に不服申立の方法はありませんが、例外的にこれを認めた事例があります。

未成年者とその祖父母と養子縁組につき、養母から申し立てられた特別代理人選任申立を却下した原審判を取消して特別代理人を選任した事例があります。

即時抗告を認めた理由を、このような縁組も直ちに無効とは言いがたく、家事審判規則には特別代理人選任却下の審判に対して即時抗告をすることができる旨の定めはないが、原審判は縁組無効を理由に申立を却下しているから、再度特別代理人選任申立をするという通常の方法によって対処することができないという特別の事情があり、このような事態を救済する手続として、即時抗告を適法なものと認めるとしています。

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特別代理人の規定・・・

特別代理人、臨時保佐人、臨時補助人に関しては、その性質上適用の可能性のない規定を除き、基本的には成年後見人に関する利害関係人による選任請求、善管注意義務等、選任に考慮事情、辞任、欠格事由、後見事務の費用などの規定は、その性質上、いずれも特別代理人に類推適用され、特別代理人が被後見人の居住用不動産を処分する場合には、家庭裁判所の許可を要し、また報酬の付与を認めるのが相当であると解されています。

(受任者の注意義務)
民法第644条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

(受任者による報告)
民法第645条 受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。

(委任の終了の対抗要件)
民法第655条 委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。

(後見人の辞任)
民法第844条 後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

(後見人の解任)
民法第846条 後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。

(後見人の欠格事由)
民法第847条 次に掲げる者は、後見人となることができない。
1.未成年者
2.家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
3.破産者
4.被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
5.行方の知れない者

(財産の管理及び代表)
民法第859条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2 第824条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。

(支出金額の予定及び後見の事務の費用)
民法第861条 後見人は、その就職の初めにおいて、被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年支出すべき金額を予定しなければならない。
2 後見人が後見の事務を行うために必要な費用は、被後見人の財産の中から支弁する。

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特別代理人の追認・・・

共同相続人7名の遺産分割協議の際、未成年者であった乙丙丁の各特別代理人としてABCがそれぞれ協議に参加し、甲が本件建物を取得したが、分割協議がなされ、協議書が作成された当時ABCは家庭裁判所による特別代理人としての選任がなされていなかった場合、右協議は乙丙丁につき無権代理人によってなされたものであり、ABCの協議は無権代理行為となりますが、このような場合でも、ABCが家庭裁判所の審判の結果、当該未成年者乙丙丁のため特別代理人として選任されたときは、その後においてその選任された特別代理人の参加のもとに改めて分割協議をすることがなくても、選任後特別代理人において従前なした分割協議を追認した場合には、これによって右分割協議は当初に遡って有効になるとし、本件ではABCが甲に印鑑証明書を交付したことが黙示の追認となり、これにより右協議は当初に遡って有効となったとした事例があります。

民法第826条

1. 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2. 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

民法第20条

1 制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条第1項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、1箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
3 特別の方式を要する行為については、前2項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
4 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第17条第1項の審判を受けた被補助人に対しては、第1項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

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利益相反行為の効力・・・

利益相反行為を親権者自身が代理したときは、無権代理行為であり、未成年者が成年に達したのち追認することができますが、特別代理人又は成年に達した子の追認のない限り、その行為は無効です。

民法第826条

1. 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2. 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

民法第860条

第826条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。

民法第851条

後見監督人の職務は、次のとおりとする。
一 後見人の事務を監督すること。
二 後見人が欠けた場合に、遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること。
三 急迫の事情がある場合に、必要な処分をすること。
四 後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること。

民法第20条

1 制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条第1項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、1箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
3 特別の方式を要する行為については、前2項の期間内にその方式を具備した旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
4 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第17条第1項の審判を受けた被補助人に対しては、第1項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。

利益相反関係にない行為を特別代理人がした場合、その効力について、これを無効と解する立場と、家庭裁判所が特別代理人選任の審判をした場合、その審判は当然に無効ではなく特別代理人は子に代わって有効に当該行為をすることができると解する説とに分かれます。

特別代理人は、家庭裁判所の審判によって特定された行為が終わると任務は終了します。

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