失踪宣告取消の効果・・・
失踪宣告が取り消されると失踪宣告はなかったものとされるのが原則です。
しかし、失踪宣告後その取消前に善意をもってした行為は、その効力に変わりないものとされ、失踪宣告によって財産を得た者は、その取消により権利を失いますが、現に利益を受けている限度においてのみ返還の義務を負います。
民法第32条の1
失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
失踪宣告後にされた契約が宣告の取消にかかわらず効力を存するには、契約当事者の双方が善意であることが必要です。
Bは不在者Aに対する失踪宣告により、家督相続をして、本件不動産を承継後、これをCに売却し、CはDに売却しました。
BとDは本件不動産を各売買当時、Aの生存を知っている場合、Cの善意悪意にかかわらず、失踪宣告取消により、本件土地所有権はAに復帰します。
妻の失踪宣告の取消が、夫の再婚前であれば、失踪宣告取消によって婚姻は回復します。
夫Aの失踪宣告の裁判確定により、妻Bが復氏届をし、この夫婦の子Cが、妻Bの氏を称する入籍届をし、妻Bの氏を称して婚姻届をした後、夫Aの失踪宣告が取り消された場合、管轄地方法務局の長は、子Cの入籍届については、民法32条1項但し書の規定を適用し、戸籍法24条2項の規定による戸籍訂正を許可すべきではないとされています。
戸籍法第24条
1.戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合には、市町村長は、遅滞なく届出人又は届出事件の本人にその旨を通知しなければならない。但し、その錯誤又は遺漏が市町村長の過誤によるものであるときは、この限りでない。
2.前項の通知をすることができないとき、又は通知をしても戸籍訂正の申請をする者がないときは、市町村長は、管轄法務局又は地方法務局の長の許可を得て、戸籍の訂正をすることができる。前項ただし書の場合も、同様である。
3.裁判所その他の官庁、検察官又は吏員がその職務上戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを知つたときは、遅滞なく届出事件の本人の本籍地の市町村長にその旨を通知しなければならない。
失踪宣告によって死亡とみなされた妻につき、失踪宣告取消の審判確定後、他の男と再婚している場合、失踪宣告審判が確定し、その取消の審判が確定するまでの間に出生した妻の子を、再婚後の男との嫡出子として出生届があれば、受理して差し支えないとされています。
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失踪届の届出・・・
不在者の生死が一定期間不明であるときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により失踪宣告の審判をすることができます。
民法第30条
1. 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2. 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
失踪宣告の審判が確定した場合には、申立人は失踪届をしなければなりません。
戸籍法第63条
1. 認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
2. 訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。
戸籍法第94条
第63条第1項の規定は、失踪宣告又は失踪宣告取消の裁判が確定した場合においてその裁判を請求した者にこれを準用する。この場合には、失踪宣告の届書に民法第31条の規定によつて死亡したとみなされる日をも記載しなければならない。
届出人は、失踪宣告の申立をした者です。
届出期間は、失踪宣告の審判が確定した日から10日以内です。
届出期間は初日を算入します。
戸籍法第43条
1.届出期間は、届出事件発生の日からこれを起算する。
2.裁判が確定した日から期間を起算すべき場合に、裁判が送達又は交付前に確定したときは、その送達又は交付の日からこれを起算する。
届出地は、届出事件の本人である失踪宣告を受けた者の本籍地、又は届出人の所在地(住所、居所、一時的な滞在地)です。
戸籍法第25条
1.届出は、届出事件の本人の本籍地又は届出人の所在地でこれをしなければならない。
2.外国人に関する届出は、届出人の所在地でこれをしなければならない。
関係市町村役場の数と同数の失踪届書を提出します。
本籍地外で届出をするときはさらに1通必要です。
戸籍法第36条
1.2箇所以上の市役所又は町村役場で戸籍の記載をすべき場合には、市役所又は町村役場の数と同数の届書を提出しなければならない。
2.本籍地外で届出をするときは、前項の規定によるものの外、なお、一通の届書を提出しなければならない。
3.前2項の場合に、相当と認めるときは、市町村長は、届書の謄本を作り、これを届書に代えることができる。
添付書類は、失踪宣告の審判書の謄本及びその確定証明書です。
届出書の提出方法は、届出人が市町村役場に直接出頭して届出をします。
また、自ら署名押印した届出書を郵送したり、使者に提出させることもできます。
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失踪宣告取消届の届出・・・
失踪者が生存していた場合又は失踪宣言によって死亡とみなされた時と異なる時に死亡したことの証明があるときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により失踪宣告を取り消さなければなりません。
民法第32条の1
失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
失踪宣告取消の審判が確定した場合には、申立人は失踪宣告取消届をしなければなりません。
戸籍法第63条
1. 認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
2. 訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。
戸籍法第94条
第63条第1項の規定は、失踪宣告又は失踪宣告取消の裁判が確定した場合においてその裁判を請求した者にこれを準用する。この場合には、失踪宣告の届書に民法第31条の規定によつて死亡したとみなされる日をも記載しなければならない。
届出人は、失踪宣告取消の申立をした者です。
届出期間は、失踪宣告取消の審判が確定した日から10日以内です。
届出期間は初日を算入します。
戸籍法第43条
1.届出期間は、届出事件発生の日からこれを起算する。
2.裁判が確定した日から期間を起算すべき場合に、裁判が送達又は交付前に確定したときは、その送達又は交付の日からこれを起算する。
届出地は、届出事件の本人である失踪宣告を取り消された者の本籍地、又は届出人の所在地(住所、居所、一時的な滞在地)です。
戸籍法第25条
1.届出は、届出事件の本人の本籍地又は届出人の所在地でこれをしなければならない。
2.外国人に関する届出は、届出人の所在地でこれをしなければならない。
関係市町村役場の数と同数の失踪宣告取消届書を提出します。
本籍地外で届出をするときはさらに1通必要です。
戸籍法第36条
1.2箇所以上の市役所又は町村役場で戸籍の記載をすべき場合には、市役所又は町村役場の数と同数の届書を提出しなければならない。
2.本籍地外で届出をするときは、前項の規定によるものの外、なお、一通の届書を提出しなければならない。
3.前2項の場合に、相当と認めるときは、市町村長は、届書の謄本を作り、これを届書に代えることができる。
添付書類は、失踪宣告取消の審判書の謄本及びその確定証明書です。
届出書の提出方法は、届出人が市町村役場に直接出頭して届出をします。
また、自ら署名押印した届出書を郵送したり、使者に提出させることもできます。
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認定死亡とは・・・
水難、火災その他の事変によって死亡した者がある場合には、その取調べをした官公署は、市町村長に死亡報告をしなければなりません。
戸籍法第89条
水難、火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し、外国又は法務省令で定める地域で死亡があつたときは、死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。
これらの場合には、通常の死亡届出をすることは困難であり、かつ、届出義務者による届出よりもその事故を取り調べた官公署の直接の資料に基づく死亡の報告による方が正確です。
また、死体の確認があれば問題はありませんが、死体の確認ができない場合もあり、戸籍法89条の規定により、確証はないが、状況から見て、死亡したことが確実と認められる者については、取調べをした官公署が死亡と認定してその旨を報告しなければならないとされているのです。
この死亡の認定の制度を認定死亡といいます。
認定死亡の先例としては、次のようなものがあります。
①炭鉱爆発事故の場合
②海難の場合
③震災の場合
④水難の場合
⑤軍艦爆発の場合
⑥戦時の船舶事故の場合
⑦空襲その他敵の攻撃による死亡の場合
⑧軍人・軍属の復員前の死亡の場合
⑨山津波の場合
⑩南極越冬中の事故の場合
⑪航空機が海中に墜落した場合
⑫特に一家全員殺害又は自殺など
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