贈与の減殺・・・

贈与の減殺・・・

贈与が、遺留分権利者の遺留分を害する場合、贈与者の死亡する前1年間にしたもの、及び1年前の日より前にしたものでも、贈与者、受贈者の双方が遺留分権利者に損害を加えることをしっていたときは、減殺を受けることになります。

第1029条

1. 遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。

2. 条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。

第1030条

贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

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贈与税の納付義務者・・・

受贈者は贈与税を納める義務があります。

また、贈与者は受贈者に連帯して贈与税を納める責任を負います。

贈与者と受贈者との間で贈与税を、贈与者が負担する旨の合意をすることがあります。

負担の方法としては、次の方法があります。

①贈与者も贈与税を連帯納付する責を負うことから、連帯納付義務者として自ら贈与税を納付することを約束するとともに、それにより贈与者に求償権が発生するときはこれを放棄する趣旨で合意する場合

②贈与税は本来の納税義務者である受贈者が納付するが、贈与者は贈与税に相当する金額を受贈者に贈与することによって贈与税を実質的負担する趣旨で合意する場合。

相続税法34条

1、同一の被相続人から相続又は遺贈(第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産に係る贈与を含む。以下この項及び次項において同じ。)により財産を取得したすべての者は、その相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について、当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付の責めに任ずる。

2、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者は、当該被相続人に係る相続税又は贈与税について、その相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付の責めに任ずる。

3、相続税又は贈与税の課税価格計算の基礎となつた財産につき贈与、遺贈若しくは寄附行為による移転があつた場合においては、当該贈与若しくは遺贈により財産を取得した者又は当該寄附行為により設立された法人は、当該贈与、遺贈若しくは寄附行為をした者の当該財産を課税価格計算の基礎に算入した相続税額に当該財産の価額が当該相続税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額に相当する相続税又は当該財産を課税価格計算の基礎に算入した年分の贈与税額に当該財産の価額が当該贈与税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額に相当する贈与税について、その受けた利益の価額に相当する金額を限度として、連帯納付の責めに任ずる。

4、財産を贈与した者は、当該贈与により財産を取得した者の当該財産を取得した年分の贈与税額に当該財産の価額が当該贈与税の課税価格に算入された財産の価額のうちに占める割合を乗じて算出した金額として政令で定める金額に相当する贈与税について、当該財産の価額に相当する金額を限度として、連帯納付の責めに任ずる。

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第三者が無償で子に与えた財産を親権者に管理させない意思表示・・・

無償で子に財産を与える第三者は、親権者にその財産を管理させない意思表示をすることができます。

通常、第三者が、無償で未成年の子に財産を与えた場合、その財産は親権者が管理し、その財産に関する法律行為も親権者が子を代表します。

第三者は、親権者が行う子の財産の管理を欲しないときは、子に対して財産の無償贈与を見合わせることもあり、そうなると、子は折角の財産取得の機会を失います。

そこで、無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父又は母に、これを管理させたくない場合、その旨の意思表示をしたときは、その財産は父又は母の管理に属さないものとして、第三者の意思を優先させ、このような事情のある場合における財産の無償贈与がしやすいようにされています。

第三者とは、親権者及び未成年の子以外の者をいいます。

親権者に財産を管理させない旨の意思表示が認められるのは、第三者が無償で、未成年の子に財産を与える場合であり、これに該当する無償行為は贈与及び遺贈です。

第三者が、無償で未成年の子に与える財産の管理を親権者にさせない意思表示は、その贈与契約又は遺言においてしなければなりません。

第三者の未成年の子に対する無償贈与財産を親権者に管理させない意思表示があると、その財産は親権者の管理に属さないものとなります。

親権者の一方に贈与財産の管理をさせない意思表示をしているときは、他の一方の親権者が単独で、その財産を管理します。

また、財産管理者の管理の目的を達するために親権者の処分行為は認められず、親権者が子を代理してした処分行為は本人に対して効力はないとされています。

第三者が親権者である父母双方に未成年者に対する贈与財産の管理をさせない意思表示をした場合、第三者は自ら財産の管理者を指定することができます。

指定管理者は、この財産につき、未成年者の子の法定代理人として第三者が指定した範囲でその権利を行使し、権限のないときは、管理権のみを有します。

家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求に基づき、指定管理者が管理する財産の保存に必要と認める処分を指定管理者に命ずることができます。

指定管理者は、第三者から授権された範囲でその権限を行使しますが、この権限を越える行為については、その許諾を第三者から得られないときは、家庭裁判所の許可を得て行います。

家庭裁判所は指定管理者に対し、未成年者の財産の管理及び返還について、相当の担保を提供を命ずることができます。

指定管理者に対する報酬については、第三者の定めるところによります。

第三者の定めがないときは、指定管理者の申立に基づき、家庭裁判所が報酬付与の審判を行い、指定管理者は子の財産の中から、その支払を受けます。

指定管理者の任務が終了した場合、緊急処理をしないと損害を被るおそれのあるとき、指定管理者は子又は法定代理人が事務を処理できるようになるまで、必要な処分を行わなければなりません。

指定管理者の任務が終了した場合、その終了事由は、これを相手方に通知し、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、財産管理の終了を相手方に主張することができません。

指定管理者の死亡又は、破産手続開始の決定若しくは指定管理者が後見開始の審判を受けることによってその権限が消滅した場合、又は改任するする必要がある場合に第三者が更に管理者に指定しないときには、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって管理者を選任します。

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財産管理者の選任・・・

無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父母双方にこれを管理させない意思を表示し、第三者が管理者を指定しなかったときは、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によって、その管理者を選任します。

第三者が管理者を指定したときでも、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも同じです。

①申立権者

子、その親族、検察官

②管轄

子の住所地の家庭裁判所。

数人の子の住所地が異なるときは、その一人の子の住所地の家庭裁判所。

③添付書類

申立人・子・親権者・贈与者の戸籍謄本。

候補者の戸籍謄本・住民票。

贈与契約書(遺言)の写し。

不動産登記簿謄本。

④審判手続

親権者に財産管理をさせない第三者の意思表示があること、第三者が財産管理者を指定していないこと、候補者が財産管理者として適任か、などの点が審理されます。

審理の結果、申立が相当と認められたときは財産管理者選任の審判がされます。

この場合、第三者が管理させない意思を表示した父又は母の身代わりのような者は不適任です。

財産管理者選任の審判は、財産管理者に告知されて効力を生じます。

申立が不相当であると認められたときは、却下の審判がされ、この審判は申立人に告知され効力を生じます。

認容又は却下の審判には不服申立は認められません。

家庭裁判所が選任した財産管理者は、その財産における未成年者の権限の定めのない法定代理人であり、管理権のみを有します。

未成年者が自ら財産を管理することができるようになったとき、又は死亡したときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の申立によって、その命じた処分を取り消します。

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