併合訴訟とは・・・
一人の相手に対していくつもの訴訟を起こしたい場合があります。
手形の支払いと、売買代金の支払いと、貸した店舗の明け渡しとを一緒に請求するような場合です。
その場合、別々に訴訟を起こして進めていくのはお互いに不便ですから、1つの訴状で1度に併合して訴えを起こし、そのまま一緒に訴訟を進行することができます。
これを併合訴訟といいます。
このような場合、請求の趣旨の箇所に、3つの請求の趣旨を連続して書きます。
ただし、金銭の請求の場合は、請求の趣旨としては合計額を書きます。
請求の原因の欄には、3つの請求原因を続けて書きます。
事件名は「手形等請求事件」と「等」の字を加えます。
ただし、手続が違うために併合できない事件もあります。
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数人の一括訴訟とは・・・
多くの人を相手に訴訟をする場合も、関連のある事件であれば、1つの訴状で一括して訴訟をすることができます。
数人の連帯保証人やその他の連帯債務者にそれぞれ全額支払いの請求をするように、権利義務が共通な場合が1つです。
また、ある交通事故を原因として、運転手とその会社との両方に損害賠償を請求する場合や、土地の明け渡しを請求するために、建物の持ち主に対しては建物の収去を求め、建物の居住者に対しては退去を求めるように、事実上及び法律上、同一の原因に基づいて請求する場合もです。
また、何人もの手形振出人に対する各手形の手形金請求だとか、何人もに対する同種の売掛金だとか、数軒の借家の家賃の請求の場合もです。
ただし、この場合は、権利義務が共通でもないし同一の原因に基づく請求でもなく、ただ同種の請求だというだけであって、被告同士は何の関係もありませんから、その裁判所の管轄に属さない者を勝手に併せて被告にするわけにはいきません。
管轄の違う相手は、別に管轄裁判所で訴訟しなければなりません。
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管轄裁判所とは・・・
訴訟を起こす時、第1審は地方裁判所か簡易裁判所ですることになります。
訴額が140万円以下の事件なら簡易裁判所で、140万円を超える事件は地方裁判所の管轄になります。
不動産に関する事件は、140万円以下でも、地方裁判所で行うことになっています。
60万円以下の金銭請求に限って起こすことのできる小額訴訟手続も、簡易裁判所の管轄になります。
1個の訴訟で多くの事件を併合して起こす場合は、各事件の訴額を合計して、合計額が140万円を超えれば地方裁判所の管轄になります。
被告が1人で請求が数個の場合も、被告が数人の場合も同じです。
訴額を算定するのは、訴えを起こす時ですから、訴訟が始まった後で目的物が値上がりしたとしても、管轄裁判所は変わりません。
簡易裁判所の管轄事件でも、当事者の申立により地方裁判所に移される場合もあります。
次に、簡易裁判所も地方裁判所も全国にいくつもありますから、どこに申し立てるかですが、原則として、訴訟は被告の住所地で起こすことになっています。
住所が無い時は、居所の裁判所に起こします。
また、被告が会社その他の団体である時は、主たる事務所の所在地の裁判所、事務所や営業所の無い時は、主たる業務担当者の住所地の裁判所に訴訟を起こすことになっています。
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管轄裁判所の例外とは・・・
原告は、原則として被告の住所地の裁判所で訴訟を起こすことになっています。
しかし、次の場合であれば、例外として管轄裁判所を選ぶことができるとされています。
①義務履行地の裁判所
金銭支払いなどの義務は債権者のところへ持参して支払うのが原則です。
権利者の住所が義務履行地になっていますから、この規定により、大抵の訴訟は権利者である原告の住所地の裁判所に起こすことができます。
②手形・小切手支払地の裁判所
③事務所や営業所所在地の裁判所
ただし、その事務所や営業所での業務に関する訴訟に限ります。
④不法行為地の裁判所
交通事故や詐欺などの不法行為による損害賠償請求は、その不法行為のなされた地の裁判所に訴訟を起こすことができます。
⑤不動産所在地の裁判所
ただし、その不動産に関する訴訟に限ります。
⑥被相続人の住所地
ただし、相続や遺贈に関する訴訟に限ります。
また、契約上あらかじめ一定の事項についてどこの裁判所で訴訟をするか合意してあった場合や、裁判が起きる前に原告被告双方が合意した場合、その合意書を出せば、どこの地域の裁判所にでも訴訟を起こすことができます。
これを合意管轄といいます。
原告が管轄違いの裁判所へ訴訟を起こした時、被告が異議なく、訴訟の実質的な内容についての答弁をしたときは、合意があったと同じとみなして、そのときに新たに管轄が生じたものとされます。
これを応訴管轄といいます。
この例外に当てはまらない裁判所に、間違えて訴えた訴訟は管轄違いとして正しい管轄裁判所へ移送されます。
却下されるのではなく、正当な管轄の裁判所で訴訟が審理されるのです。
管轄裁判所が遠距離のとき・・・
管轄の裁判所が遠距離で、どうしてもその裁判所で訴訟をしなければならない場合、地元の裁判所で起こせる事件をくっつけて、併合訴訟を起こす方法があります。
原告の住所に持参して支払わなければならない金銭債権の請求訴訟を見つけて起こすとします。
この訴訟を起こすと、一応原告の住所地の裁判所が管轄権を持つことになります。
本来の目的である請求も、同一の訴状に併合して起こせば、これも同じ裁判所でできます。
ただし、裁判所に見破られて被告の住所地の裁判所に移送されることもあります。
最後まで審理を行わなければならないような請求であれば、その可能性は低いでしょう。
遠隔地の裁判所でも、テレビ電話などを使って審理することもありますから裁判所に問い合わせてみてから対策をとるのが賢明です。