仮差押と仮処分とは・・・
訴訟は時間がかかり、その間に被告がお金や物を隠したり他人名義にした場合、訴訟で勝ったとしても、強制執行できなくなります。
そこで訴訟の前に、あらかじめ相手の財産を差押たり、処分を禁止したりするために仮差押や仮処分の制度があります。
これを保全手続とか、保全処分といい、民事保全法に規定されています。
本来の訴訟が終わるまでの一時的な措置ですので、「仮」となっているのです。
これは、申し立てた側の言い分だけを聞いて一方的に行いますので、相手方の言い分を聞きませんから、裁判所は申立が本当かどうかわかりません。
このため、仮差押や仮処分を決定する時は申立人に保証金を積ませ、嘘であったとき、相手がそこから損害賠償金とします。
仮差押は次の2つの要件を満たさなければなりません。
①本訴で請求する予定の権利の存在
どのような権利であり、それが間違いなくあること。
②保全の必要性の存在
被告の倒産の恐れなど、本訴の前に仮に差押えておく必要があること。
ですので、申請書にはこの点が裁判官にわかるように記載する必要があります。
申し立てる裁判所は、原則として正式の訴状を出す裁判所になります。
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仮差押命令申請書ひな形・・・
動産仮差押命令申請書
平成**年**月**日
**地方裁判所 御中
債権者 山田太郎 印
〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
債権者 山田太郎
〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
債務者 鈴木一郎
債権の表示
別紙債権目録記載の通り。
申請の趣旨
債権者が債務者に対して有する後記債権の執行を保全するため、債務者所有の有体動産はこれを差押える。
との裁判を求める。
申請の理由
1、被保全権利
債権者は別紙債権目録の約束手形の所持人である。
債権者は前記手形の支払期日に支払場所である**銀行にこれを呈示したが、支払を拒絶された。その理由は***とのことであるが債権者はこのような理由で支払を拒絶されるのは承諾できない。よって前記手形金を請求するため、提訴の準備中である。
2、仮差押の必要性
本件債務者は他にも多大な負債があるようで、財政困窮の状態であり、債権者の追及を免れるため、財産を隠匿又は他に譲渡する気配がある。よって、後日勝訴判決を得た場合の執行保全のため、本申請に及ぶ次第である。
疎明方法
1、疎第1号証 約束手形
2 疎第2号証 上申書
付属書類
1、疎明書類 各1通
2、資格証明書 2通
当事者目録
〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
債権者 山田太郎
〒***-**** 東京都**********
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
債務者 鈴木一郎
債権目録
1、金***万円也
ただし、後記の約束手形金債権。
額面 金***万円也
満期日 平成**年**月**日
支払地 東京都杉並区
振出地 東京都杉並区
支払場所 株式会社**銀行**支店
振出日 平成**年**月**日
振出人 鈴木一郎
受取人兼第一裏書人 田中次郎(支払拒絶証書作成義務免除)
被裏書人兼第二裏書人 佐藤三郎(支払拒絶証書作成義務免除)
被裏書人 山田太郎(原告)
上申書
1、私は*****の商売を営んでいるものですが、平成**年**月**日、佐藤三郎より金***万円、支払期日平成**年**月**日の約束手形を裏書により受け取りました。ところが支払期日に支払場所である**銀行にて右手形を呈示したところ、支払を拒絶されました。振出人の鈴木一郎では****の理由で支払えないと言っていますが、私としてはそのような理由は知らないことであり、鈴木一郎に対し訴訟で請求しようと準備中です。
2、鈴木一郎の資産状況を調査したところ、多額の債務を負担し、倒産寸前の様子です。このまま放置すれば鈴木一郎の財産は隠されたり、他の債権者に持っていかれたりすることが明らかですので、同会社の財産を押さえていただきたく、お願いする次第でございます。
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仮差押の流れとは・・・
仮差押の申請書を、裁判所に受け付けてもらいますと、その日のうちに裁判官に面会し、事情を聞かれます。
ただし、簡易裁判所の場合は面会を省略する場合もあります。
申立が認められる場合は、保証金を積むよう言渡しがあります。
保証金は、仮差押えの債権額の20%から30%ぐらいです。
保証金の額とその期間が決まったら、その期間内に保証金を積みます。
期間内に積まなければ、仮差押申請が却下されてしまいます。
保証金を積むには供託し、その供託書を裁判官へ提出するという方法と、銀行へ定期預金をして銀行の保証書を提出する方法があります。
供託は各地の法務局か地方法務局、またはその出張所で行います。
供託できるのは現金又は裁判所が許可した一定の有価証券です。
供託が終われば、供託書が渡され、その供託書を裁判所へ提出します。
保証金の供託がすめば、仮差押命令の決定正本を出してもらえます。
動産の仮差押えは、この決定正本を持っていって、執行官に仮差押えをしてもらいます。
執行の際には執行官が債権金額に相当する適当な金額を差押えます。
本訴の裁判を待ち、勝訴判決により執行を継続して競売をします。
その間、差押えた動産を勝手に処分したりすると、封印破棄罪で2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処せられます。
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