不動産の抵当権の変更申出・・・

不動産の抵当権の変更申出・・・

取引先の山田さんに、山田さんの父親の担保価値のある土地を担保として融資を行ないました。

その後、山田さんから自ら土地を買ったので、この自分の土地に抵当権設定を変更して欲しいといわれたのですが?

まずは、両方の土地の最新の登記簿謄本を確認する必要があります。

土地の登記の乙区に抵当権などの担保や賃借権などの利用権が登記されていないか確認します。

先順位の担保権や利用権が存在しないか、存在したとしても担保価値があるかを確認します。

また、土地の甲区に仮登記がついていないか、山田さんの売主などを確認します。

また、山田さんの土地の現地に行って確認する必要もあります。

土地上に建物があれば、法定地上権によって担保価値が低くなる場合もあります。

(法定地上権)
民法第388条 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

また、建物がなくても、例えば、その土地について造成工事が行なわれていれば、その工事代金について先取特権が生じ、これが登記されると、抵当権より後の登記であるにもかかわらず先取特権の方が優先しますから、担保価値が低くなる可能性も出てきます。

基本的には、抵当権の変更に応じる必要はありませんから、今のままで担保価値があるのでしたら、そのままでよいのです。

抵当権の変更によって、担保を減少させるようなことがあると、他に保証人や担保提供者がいる場合には、担保保存義務違反として、それらの人の責任まで減少してしまうこともあります。

(債権者による担保の喪失等)
民法第504条 第500条の規定により代位をすることができる者がある場合において、債権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させたときは、その代位をすることができる者は、その喪失又は減少によって償還を受けることができなくなった限度において、その責任を免れる。

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抵当権を設定した建物が喪失・・・

抵当権を設定し、担保に取っていた建物がなくなっているような場合、まずは原因を調査する必要があります。

例えば、建物が取り壊された場合、抵当権が設定されている建物を取り壊すことは、通常は抵当権者の権利を侵害するものです。

第三者が取り壊した場合には、損害賠償請求することになります。

建物所有者には、所有権侵害行為として、損害賠償請求権がありますから、債権者が代位行使もできますし、抵当権侵害を理由として直接損害賠償請求できます。

建物所有者自身が取り壊した場合や事情を知らない第三者に取り壊させた場合には、建物所有者に対して抵当権侵害を理由として損害賠償請求をすることができます。

また、例えば、建物所有者の建物が借地上に建築されたものである場合に、地主との関係で地代の不払いなどの債務不履行となり、借地契約の解除と建物収去土地明渡しを命ずる判決がなされて、この判決の強制執行として建物が取り壊されることがあります。

この場合にも、建物所有者の責任ですから、損害賠償を請求できます。

また、建物が火災等によって焼失し、建物に保険がある場合には、抵当権に基づいてその保険金に対して物上代位することができます。

ただし、支払がなされる前に差押える必要があり、他の債権者が差押・転付命令を受けてしまうと優先弁済を受けられなくなります。

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抵当権の建物の担保価値の低下・・・

抵当物件の建物は、抵当にとった当初は綺麗で担保価値があったのですが、所有者が外国住まいをしたりして、手入れをしないため、担保価値が下がっているのですが?

担保不足が生じた場合には、所有者に対して相当な担保を追加するよう請求することになります。

所有者が当然になすべき手入れをしなかったことによって、建物の価値が下落し、損害を被った場合には、不法行為に基づく損害賠償請求ができます。

ただし、当該建物の価値の下落によっても債権額を上回る場合には、損害が発生していないことになりますので、請求するためには担保価値の調査が必要になります。

また、どの段階で損害賠償請求ができるかが問題となり、判例は、弁済期以後であればいつでも抵当権実行ができるのであるから、訴訟提起のときの時価を基準として損害発生を確定でき、競売をするまでもなく、抵当権侵害を理由として損害賠償請求訴訟を提起することができるとしています。

ですので、増担保の請求をせずに、民法137条に基づいて、期限の利益を喪失させたうえで、損害賠償請求を提起し、他方で抵当権の実行をして優先弁済を受けてしまうこともできます。

(期限の利益の喪失)
民法第137条 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
1.債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2.債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
3.債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

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