倉庫の在庫商品全てを担保に取る・・・

倉庫の在庫商品全てを担保に取る・・・

判例では、在庫商品のような商品の集まりに対しての担保権の設定を認めています。

在庫商品という商品の集まりである集合物は、売却する度に商品は減少しますが、一方では仕入れにより補充され、流出・流入はあっても、これらの集合物は、これを構成する個々の商品と離れて一体として独自の価値を持つと考えられるのです。

集合物の担保の仕方は、譲渡担保という方法をとり、判例でも、在庫商品の譲渡担保はこれを構成する個々の商品を離れた1個の集合物とみて、その1個の所有権を担保目的で移転する契約であるとしています。

譲渡担保とは、担保の目的である所有権を移転することをいい、所有権の移転などは、引渡とは登記とかいうように第三者に対する対抗要件が必要ですが、譲渡担保のときは、「所有権を引き渡し、今後は債権者のために占有します」という占有改定が対抗力となります。

新たに流入した商品について、その都度占有改定をする必要があるかという問題については、判例は、いったん集合動産について占有改定がなされると、後に加入する個々の物は集合動産の構成部分として当然に譲渡担保に服し対抗力を取得するとしています。

また、判例で、目的動産の種類及び量的範囲を債務者の倉庫及び敷地内いっさいの在庫商品として指定した譲渡担保設定契約は1個の集合物を目的とするものとして有効としています。

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将来の売掛金を担保に取る・・・

会社が取引先に対して現在有する売掛債権、将来発生する売掛金を集合的に担保に供することについて、判例で認められています。

このような債権を担保にとることを、集合債権譲渡担保といいます。

集合債権は、既に発生している売掛金債権と、将来発生が予想される売掛金債権になります。

将来発生が予想される未発生の売掛金というのは目的物がないので無効ではないかという問題について、判例は、特段の事情のない限り、現在既に債権の発生原因が確定し、その発生を確実に予測しえるという理由で、このような債権の譲渡も有効としました。

取引先と継続的取引契約があって取引をしている場合には、既に発生原因が確定し、その発生を確実に予測できるということになるのですが、単に事実上継続的に取引をしているだけの場合には、発生原因が確定していないから譲渡性は認められないことになります。

そこで、債権の発生の確実性は当事者の価値判断にゆだね、有効・無効の基準としなくてもよいのと考えもあります。

集合債権を譲渡担保にする場合には、譲渡契約において、債権を特定し、あるいは特定可能なものでなければ無効となります。

集合債権の譲渡も通知や承諾の対抗要件が必要で、将来債権の場合にも、債権譲渡の通知は有効であるとされています。

法人が債権譲渡する場合には、譲渡する債権について法務局の債権譲渡登記ファイルに登記する方法があります。

譲渡債権の債務者に対しての対抗要件は、登記事項証明書を交付して通知します。

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今までの売掛金の支払方法の変更・・・

これまでの売掛金を一括して契約する方法は、未払金の合計を確認して、分割又は一時期に支払ってもらうという債務弁済契約による方法と、未払金の合計額を消費貸借に切り替えて、これについて分割又は一時期に支払ってもらう準消費貸借契約による方法があります。

商法では、債権の消滅時効は5年と定めていますが、特別規定又は他の法令により、これより短い時効期間がある場合は、短い方が適用されます。

商品の代金債権は2年の短期消滅時効が定められていますから、これが適用されます。

売掛金を切り替えて支払い方法を変える契約は、時効を中断することになります。

債務弁済契約では契約時点で時効の中断はされますが、そのまま売掛金ですから2年の消滅時効のままです。

しかし、準消費貸借契約は、消費貸借に切り替えられますから、消滅時効期間は5年になります。

準消費貸借契約とは、消費貸借以外の債務を消費貸借に切り替えるという契約です。

つまり、売掛金を一旦支払ったことにして、また同額を借りるという意味なのです。

ですので、この機会に保証人をつけてもらったり、担保物権を提供してもらうことができれば債権の保全になります。

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