債権の取立てと刑事責任・・・

債権の取立てと刑事責任・・・

債権の取立ては法律に従って行わなければならず、度を過ぎた取立てをすると、刑事責任を問われることもあります。

債務を支払わないからといって、債務者の承諾なく債務者の在庫商品などの財産を持って行ってしまうと、窃盗罪に問われます。

これは債務者が倒産した場合も同じで、倒産したと分かった途端に、会社に押しかけて、在庫商品や原材料、機械、備品までとっていく行為は危険なことです。

また、債権者が債務者に対し債務の履行を請求する際に、暴力や脅迫を伴うと強盗罪ないし恐喝罪に問われるおそれがあります。

強盗とは、相手に暴力や脅迫を加えて、相手を反抗できない状態にした上で、強引に財産をとってしまうとうことをいいます。

恐喝とは、相手を脅して怖がらせた上で、財産を渡させることをいいます。

強盗と恐喝は、暴行・脅迫が相手方が反抗できない程度のものかどうかで区別され、包丁などの凶器を用いて脅せば強盗になり、言葉だけなら恐喝になります。

債権者が弁済をしない債務者に対して、ある程度強く請求するのはやむを得ないことですが、やりすぎてしまえば足元をすくわれてしまいます。

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債務を相殺するときの条件・・・

商取引では、お互いに債権・債務を持ち合わせる状態があり、この場合、支払う分から受け取る分を差し引いて、その差額があれば差額分だけ支払うことを相殺といいます。

相殺は、相手に対して「相殺します」という意思表示をすればよく、相手の承諾は必要ありません。

これに対し、相手と協議して合意の上で債権関係を消滅させるのは、相殺契約といいます。

相殺するときの意思表示も自由なのですが、証拠を残すために、配達証明付の内容証明郵便で通知するか、相手から相殺の通知を受けたという承認書などをもらうようにします。

相殺するときは、こちら側の債務と相手側の債務を特定しなければならず、取引年月日、取引商品、取引代金、支払期日などを明確にします。

相殺には条件があり、その条件が満たされている状態を相殺適状といい、次の状態をいいます。

①お互いの債務が同種の目的を持っていること。

金銭債務と商品引渡し債務はたとえ価格が同じでも相殺できません。

②いずれの債務も弁済期が到来していること。

自分の債務については弁済期が到来していなくても期限の利益を放棄して相殺に供することができますが、相手の債務については弁済期が到来している必要があります。

相手の期限の利益は、原則として一方的に失わせることはできません。

ただし、予め一定の状態になったら、請求によりまたは当然に期限の利益を喪失するという規定をすることができます。

③相殺できない債務でないこと。

自分が不法行為に基づく損害賠償債務を負っている場合、この債務を相殺することはできません。

これに対し、自分の方が被害者で賠償金を請求する立場のときは、相手に対する債務と相殺することができます。

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売掛金を債権譲渡で回収・・・

相手が第三者に対して債権を持っている場合、債権譲渡を受けて返済を受ける方法があります。

例えば、債務者が第三者に対し売掛債権をもっている場合に、それを譲り受けることなどをいい、これには債権を譲り受けることで弁済を受けたのと同じことにする代物弁済方式、もう一つは担保として譲り受ける譲渡担保方式です。

代物弁済方式の場合は、多少譲り受けた債権が自分の債権よりも高額でも、差額を返す必要がなく、逆に、譲り受けた後、第三者から回収できなくてもそれ以上は債務者へ返済請求はできません。

譲渡担保方式の場合は、債務者が返済をすれば、その担保を返却します。

一部の債権については、譲渡を受けることができないとされ、例えば、扶養請求権、恩給債権、労災補償請求権などです。

また、債務者と第三者との間で譲渡禁止の特約がある場合には、この特約を知っていた場合や、知らなかったことに重大な過失があると、譲渡が無効になります。

債権譲渡を受けるときは、必ず確定日付をとっておく必要があり、後に別の債権者が同じ債権を譲り受けた場合、先に譲り受けたことを主張できなくなります。

債務者から第三者に対し内容証明郵便で債権を譲渡した旨を通知してもらうか、第三者から債権譲渡を承認した旨を書いてもらい公証役場で確定日付を押してもらいます。

債務者に対し債権譲渡して欲しい旨話しても、債権譲渡をすると対外的に信用を落とすなどという理由で応じてもらえない場合には、債務者と一緒に第三者のもとに集金に行き、第三者から受け取った分を直ちに自分の債権に充当してしまう方法もあります。

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