占有移転禁止の仮処分・・・

占有移転禁止の仮処分・・・

取引先から機械を購入する契約を締結し、代金も全額支払ったのですが、その取引先が機械を引き渡してくれず、また噂では、倒産寸前だと聞いたのですが?

まずは、その取引先と面談して、本当に倒産寸前であるのかなどを調査する必要があります。

取引先が実際に倒産寸前ということであれば、その機械を隠匿したり、債権者が持ち去ってしまう危険性がありますので、これを防ぐ必要があります。

考えられるのは、占有移転禁止の仮処分で、これは、機械自体の引渡を求めるものではありませんが、取引先の下に機械の占有を凍結させ、将来の引渡請求を確実にする効力があります。

実際には、取引先の占有を解いて執行官に保管させることになります。

占有移転禁止の仮処分の申立ての趣旨は、債務者が別紙物件目録記載の物件に対する占有を他人に移転し、又は占有名義を変更してはならない。

債務者は、右物件の占有を解いて、これを執行官に引き渡さなければならない。

執行官は、右物件を保管しなければならない。

執行官は、債権者が右物件の占有移転又は占有名義の変更を禁止されていること及び執行官が右物件を保管していることを公示しなければならない、としています。

占有移転禁止の仮処分の場合には、執行手続きを完了する必要があるのです。

ですので、保管を命じた執行官の裁判所に申立書を提出し、執行官に現地へ赴いてもらい、保管、公示してもらうことが必要になります。

仮処分が出された後、14日を経過すると執行できなくなります。

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断行の仮処分・・・

当社は、山田工業から部品を購入し、代金を全額支払ったのですが、山田工業は部品を引き渡してくれません。

また、当社は、その部品を製品化して、その製品を田中商会に販売する販売契約を締結しており、その期日が迫っております。

どうしても山田工業から購入した部品が必要なのですが?

この場合には、早急に部品の引渡しそのものを受ける必要があります。

商品の引渡が遅れると多大な損害を受けるため、商品の引き渡しそのものを受ける必要がある場合に利用されるのが、断行の仮処分といわれるものです。

断行の仮処分は、単に商品の占有を凍結するのではなく、商品の占有そのものを自ら獲得してしまうものです。

この仮処分は、債権者等にこの上ない不利益を与えてしまうことが考えられます。

この仮処分が認められるためには、被保全権利についての疎明の程度も高度なものでなければなりませんし、保証金の額も、他の仮処分の場合に比べて高くなります。

保全の必要性についても、ある程度厳格なものが要求され、田中商会への販売契約の履行期が目前に迫っており、部品の引渡を受けることが、その履行のために必要であって、部品の引渡を受けられない場合に被る債権者の損害が著しい、といった特別の事情が必要です。

断行の仮処分は、現実の断行行為が完了しない限り、意味がありません。

ですので、早急に裁判所に仮処分の執行を申立て、執行官に部品の引渡をしてもらうことが必要となります。

断行の仮処分の例としては、会社の従業員が不当解雇された場合に、当座の生活費を要求して地位保全の仮処分と共になす賃金仮払仮処分や、交通事故の被害者が、当座の治療費などを保険会社に請求するためになす保険金仮払い処分などがあります。

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不動産を仮差押する際の調査・・・

取引先から大量の商品注文があり納品したのですが、取引先は資金繰りに困っているようで支払ってもらえず、また、取引先の財産は自社ビルだけなのですが?

このような場合には、裁判を起して、判決を得て、取引先のビルを差押えて回収することが考えられます。

しかし、裁判は時間がかかり、判決を得た時点では取引先がもっている自社ビルを第三者に売却しているかもしれません。

考えられるのは、取引先のビルに不動産の仮差押をすることなどで、仮差押をしておくと、取引先は他人に売却したり、銀行に担保を設定するなどの一切の処分が制限されます。

その後、代金支払の判決をもらい、それを競売にかけることになります。

不動産に仮差押をする場合に、それ以前に、抵当権や根抵当権がついており、担保余力がなければ仮差押をしても意味がなくなります。

仮差押をする際には、保証金を供託しなければならず、保証金額は、債権額か、又は固定資産課税台帳登録証明書の評価額を参考基準として算出した不動産の価格のいずれか低い方の額の1割ないし3割の範囲内で保証金が決定されます。

結構な保証金を供託しなければならないので、まずは不動産の登記簿謄本や自社ビルの時価を調査の上で、手続きを行う必要が出てきます。

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