債権者が訴えられる場合・・・

債権者が訴えられる場合・・・

民事訴訟では、債権者が常に裁判の原告になるとは限りません。

債権者なのに、民事裁判の被告として、法廷で争われる場合があります。

例えば、債権者が抵当権をもっている場合、債務不存在確認並びに抵当権設定登記抹消請求などという訴訟があります。

これは、不動産の登記済証と実印を預けていたら、勝手に債務を負担させられたとか、抵当権を勝手につけられてしまった、などが根拠になっています。

また、公正証書正本で、債務者や保証人の財産を差押をした場合、保証人から請求異議という訴訟を起こされることがあります。

これは、公正証書作成の権限を与えていないのに、印鑑証明と実印を濫用されたなどが根拠となっています。

これらの訴訟の場合は、債権者は当然受けて立たなければなりませんが、債権については、債権者側からも、請求の訴訟を提起して、全面的に応戦しなければなりません。

債務者から訴訟を提起されたままでは、その債権の存在自体が危険だからです。

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仮差押や仮処分が必要な場合・・・

訴訟を提起する際に考えなければならないのは、仮差押や仮処分が必要かどうかです。

仮差押が必要な場合は、次の場合をいいます。

①債務者が不動産などの資産は持っているが、隠匿の心配がある場合。

②手形を不渡りにするため、手形交換所に異議申立て提供金が供託されている場合。

③資産はなく、給料などが唯一の収入の場合。

④銀行預金や商品を押さえたい場合。

仮処分が必要な場合は、次の場合をいいます。

①商品などの動産を売ったが、代金が支払われる前に債務者が倒産したとき、なおその商品が債務者方に存する場合。

これは、動産売買の先取特権という担保権を守るためです。

(動産の先取特権)
民法第311条 次に掲げる原因によって生じた債権を有する者は、債務者の特定の動産について先取特権を有する。
1.不動産の賃貸借
2.旅館の宿泊
3.旅客又は荷物の運輸
4.動産の保存
5.動産の売買
6.種苗又は肥料(蚕種又は蚕の飼養に供した桑葉を含む。以下同じ。)の供給
7.農業の労務
8.工業の労務

②抵当権を設定する契約は結んだが、印鑑証明、登記済証がそろわずに、抵当権設定登記がなされていない場合。

仮差押が必要ない場合とは、債務者が資産、信用を有している場合か、全く資産がないような場合です。

家庭生活に使うような動産50万円ぐらいを仮差押するのに、保証金を15万円ぐらい供託し、仮差押をして、5万円くらい執行費用をかけても、競売すると5万円ぐらいにしかならない場合が多いようです。

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債権回収の訴訟の証拠・・・

債権回収の訴訟を行う場合、勝訴するための確信と根拠は、証拠だけです。

債権を証明する書類としては、借用証、金銭消費貸借契約書、領収証、連帯保証書、抵当権設定契約書などのほか、記名押印に添付された債務者、保証人の印鑑証明などになります。

商品の代金債権、売掛債権でも、回収してきた手形、小切手の有価証券なども完全に証拠になります。

しかし、商品売買では、契約書を作ることが少なく、継続的取引契約書は債権額そのものの証明にはならず、売掛帳簿、商品の送り状、受領証、注文書、注文請書の控え、請求書控えなどの一連の伝票関係書類が必要です。

次に証人ですが、証人は、証拠書類が真正に成立したことを証明し、かつ書類では欠けている部分を補うものとして証言してもらいます。

証人の証言だけで、他に全く証拠書類がないような場合は、証拠能力が低いとされます。

証人は、自分が直接経験したことを陳述するのが原則で、又聞きは証言として証拠能力は低いとされます。

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